専門医に聞け! Q&A 口臭対策に唾液腺マッサージ
Q:人と話をしていて時々、顔をそむけられることがあります。口臭がするからでしょうが、私は虫歯もないし、歯や口腔は清潔にしています。ただし、仕事に追われて精神的に追いつめれると、口の中が乾き、ネバネバします。このことと口臭は関係があるのでしょうか。(22歳・ゲームソフト制作会社勤務)
A:口臭は口腔内の他、鼻や消化器の問題で発生することがあります。私の医院の患者さんの中にも、同様の悩みを訴える人が少なくありません。
口臭を調べる方法の一つに唾液検査があります。この検査は、唾液の量・質・機能が正常かどうかを調べて、口臭の有無を判定します。
唾液には、細菌を洗い流す効果、抗菌作用、溶けかけた歯を修復する効果、酸性になった環境を中和する効果などがあります。そのため、唾液の量や質によっても、虫歯のリスクが大きく違ってくるし、口臭にも関係します。
●サラサラ血液が口臭を予防
実は唾液には2種類あることをご存知でしょうか。唾液には漿液性、粘液性の二つ、つまり、サラサラとドロドロがあります。前者のサラサラ唾液は食事の時に出てくるし、後者のネバネバ唾液は緊張したりすると出てきます。
口臭予防には、このサラサラ唾液を出して口の中を潤すことが大事です。ご質問の方は、仕事で緊張すると口の中がネバネバするとのこと。そういうときに口臭が発生するのでしょう。口が乾燥すると、口臭はひどくなります。
ですから、そういう場合、サラサラ唾液の分泌を促進すればよいのです。そのために役に立つ方法の一つが「唾液腺マッサージ」です。
サラサラ唾液は、耳下腺から多く出てきます。唾液腺マッサージは耳下腺に直接的に働きかけ、唾液の分泌を促すのです。
下顎を親指、人差し指、中指の3本で耳後部からつまんで、口の方に滑らせていってください。唾液がジワッと出るのが分かるでしょう。
このように、口臭対策は、口の潤いを保つことでもできるのです。ご質問の方は、仕事中、この唾液腺マッサージを行うのを習慣にするとよいでしょう。
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。