1月開催の中距離重賞として歴史ある一戦、GIIアメリカジョッキークラブカップ(以下、AJCC。中山・芝2200m)が1月21日に行なわれる。

 実はこのレース、7番人気で勝った昨年のタンタアレグリアを除くと、過去10年の勝ち馬はすべて5番人気より上位。比較的人気馬の強いレースと言える。

 とはいえ、2014年に11番人気で2着に突っ込んできたサクラアルディートをはじめ、ともに9番人気で2着に入った2008年のトウショウナイトや2010年のシャドウゲイトなど、伏兵馬の台頭も何度かあって、波乱の展開も十分に想定されるレースだ。

 そこで今回も、かつて穴を開けた馬たちを参考にして、一発が期待できそうな存在を探し出してみたい。

 まず取り上げたいのは、先述のトウショウナイトとシャドウゲイト。この2頭はそれまでに重賞実績がありながらも、勝ち星から遠ざかっていたため、すっかり人気を落としていた。

 トウショウナイトは、1年2カ月前にGIIアルゼンチン共和国杯(東京・芝2500m)で重賞初制覇。その後も、GII京都記念(京都・芝2200m)で3着、GII日経賞(中山・芝2500m)で2着と重賞で好走歴があった。

 ただ、アルゼンチン共和国杯以降は勝ち星がなく、翌年連覇が期待された同レースで14着に沈むと、続くオープン特別でも9着と惨敗。そのあとのGIII中山金杯(中山・芝2000m)でも見せ場なく11着に敗れて、AJCCを迎えた。

 シャドウゲイトも、3年前の中山金杯と国際GIのシンガポール航空国際C(シンガポール・芝2000m)で重賞勝ちを決めたが、その後はまったく勝利に恵まれなかった。およそ8カ月前のGII金鯱賞(中京・芝2000m)2着という結果が目立つぐらいで、あとはことごとく馬群に沈んでいて直近の4レースも大敗を繰り返していた。

 とすれば、当然人気するはずもないのだが、2頭ともAJCCで久々に力を誇示したのである。その例にならって、ここ最近まったくいいところがないものの、重賞実績のある馬を今回も狙ってみてはどうか。

 面白いのは、マイネルミラノ(牡8歳)である。


昨秋、AJCCと同じ舞台のオールカマーで4着だったマイネルミラノ

 4歳の終わりにオープン入りし、以降は重賞戦線で奮闘。GIII戦で3着、2着と何度か善戦し、2016年のGIII函館記念(函館・芝2000m)で初の重賞勝利を遂げた。その後、昨春にオープン特別で勝ったものの、最近の成績はさっぱり。ここ3戦も、いずれもGIII戦で10着、6着、11着と振るわなかった。

 そうなると、今回も人気が上がる気配はないが、トウショウナイトやシャドウゲイトのように、馬の状態やレースの展開など何かしらハマれば、再び力を示してもおかしくない。

 実際、マイネルミラノからは大駆けの雰囲気が漂っている。前走の中山金杯は11着とはいえ、出遅れが響いたもの。その状況で勝ち馬からコンマ6秒差なら、むしろ「よくがんばった」という見方もできる。

 さらに、4走前には同条件のGIIオールカマー(2017年9月24日)では難敵相手に4着と健闘。舞台適性は高く、好スタートから自分の競馬ができれば、チャンスは大いにあるはずだ。

 続いて参考にするのは、冒頭でも触れた2014年の2着馬サクラアルディート。こちらはそれまでに重賞勝ちもなく、実績的には見劣る1頭だった。

 だが、GIIIとオープン特別に出走していた直近3走の内容が悪くなかった。着順こそ3走前が6着、2走前が5着、前走が9着だったものの、3走とも勝ち馬からコンマ2〜4秒差という僅差での敗戦だった。

 重賞実績がなく、近走の着順に目を奪われて人気は急落していたが、サクラアルディートには重賞で戦える力が着実に備わっていたのだ。同様のタイプが今年のメンバーにいないか探してみると、1頭の馬が浮かび上がった。

 ショウナンバッハ(牡7歳)だ。

 2015年秋にオープン入りしてから重賞戦線で戦ってきているが、いまだに勝ち星はない。しかし、直近の善戦ぶりには特筆すべきものがある。

 3走前のオールカマーで5着になると、続くGIII福島記念(2017年11月12日/福島・芝2000m)でも5着。前走のGIII中日新聞杯(2017年12月9日/中京・芝2000m)でも4着と、まずまずの結果を残してきている。

 しかも、3走とも勝ち馬からコンマ3秒以内の僅差負け。安定した力を発揮しており、展開の助けが少しでもあれば、馬券圏内(3着以内)に食い込む可能性は十分にある。軽視するのは禁物だ。

 ところで、AJCC過去10年の結果を改めて振り返ってみると、前走で白星を挙げながら”格下”と見られてか、思ったほど人気が上がらなかった馬がしばしば穴を開けている。

 例えば、オープン特別を勝って参戦した2009年のトウショウシロッコ。7番人気にとどまりながら、3着と好走した。

 また、2015年に2着となったミトラも、前走で重賞の福島記念を勝っていたにもかかわらず、7番人気の低評価だった。

 さらに、2008年には1600万下を勝って挑んだブラックアルタイルが6番人気で3着入線。3連単の配当が10万超えとなる波乱の一端を担った。

 つまり、狙うべくは前走で勝利していても、そのレベルや条件によってあまり評価されない馬。今年なら、トミケンスラーヴァ(牡8歳)がそれに当てはまる。

 同馬は目下2連勝中。1600万下の特別戦を勝つと、前走はオープン特別の万葉S(1月7日/京都・芝3000m)も勝利した。

 ただ、前走は3000mの長距離戦であり、メンバーに恵まれた印象が強い。その分、人気上昇は見込めないものの、AJCCの歴史を踏まえれば、その勢いは見過ごせない。 出走11頭という少頭数のため、有力馬の優位は動かないように見えるが、舞台はトリッキーな中山コース。流れや展開次第で、思わぬ馬の台頭があっても不思議ではない。

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