バラマンディは、東南アジアやオーストラリア北部、中国南部、ペルシャ湾などに広く生息するスズキ目の魚。大きくなると全長2m、体重は60kgにもなる巨大な肉食魚だ。


主に世界の熱帯域の海原を泳ぐ海水魚でありながら、川や湖も往来できる不思議な特性も持ち、塩分濃度への対応力が高く、その生態をフルに活かして川から海へ、海から湖へと自在に移動しているという。そんなユニークな生態も、世界の釣り人を魅了する密かなポイントなのかもしれない。

メスに性転換する!? バラマンディの不思議な生態


学名でラテス・カルカリファと呼ばれるバラマンディ。その名は、オーストラリア先住民の言葉で“大きなウロコ”を意味している。オーストラリアでは“バラ”という愛称で呼ばれ、釣り人はもちろん、美食材としても人気が高い。

前述の通り淡水と海水を行き来できるが、淡水では産卵はしないなど、その生態は不思議がいっぱい。全てがオスとして生まれ、見た目を裏切らない旺盛な食欲で3〜4年かけて60cm前後にまで成長。5〜6年経つとメスに性転換するというから驚きだ。

ワニやサメ、鳥、植物までが大きく育つ巨大生物大陸、オーストラリア


巨大な肉食魚、バラマンディを育むオーストラリアは巨大生物の宝庫だ。例えば、大きくなると8mにもなるイリエワニや、映画『ジョーズ』シリーズのモデルになったホホジロザメはそのいい例だろう。大きいだけでなく危険な生物が多数生息しているのも、オーストラリアの特徴かもしれない。

他にも、世界最大級の淡水ザリガニであるタスマニアオオザリガニは、巨大なロブスターを思わせる。また、恐竜映画に出てくるような巨大シダ植物の森でひっそりと生息する飛べない鳥、ヒクイドリ(カソワリー)もオーストラリアを象徴する巨大生物だ。先住民のアボリジニたちは、ヒクイドリがナイフのように大きく鋭い爪を持つ危険生物であることを壁画に記し、子孫に伝えている。

愛らしい固有種の宝庫、オーストラリア


おどろおどろしい巨大生物ばかりがオーストラリアを象徴する生き物ではない。愛らしい見た目で日本でも人気のコアラや、のんびりとした姿がユーモラスなカンガルー、ずんぐりとしたフォルムに癒されるウォンバットなどの有袋類は、オーストラリアを代表する固有種だろう。

哺乳類や爬虫類、鳥類、魚類、昆虫類などオーストラリアに生息する生き物は1,300種以上もいる。その数もすごいが、約80パーセントが固有種とも言われており、まさに“固有種のパラダイス”なのだ。

また、ユネスコの世界自然遺産に登録されている、世界最大級の珊瑚礁・グレートバリアリーフや、2億年前から続く熱帯雨林の原生林なども残っている。スケールの大きな豊かな自然が残るオーストラリアだからこそ、巨大魚・バラマンディも伸びやかに育つのかもしれない。

そんな雄大な自然の中で悠然と泳ぐ姿を見せるバラマンディは、世界中の釣りファンの憧れになっている。オーストラリア北部の人気観光地、ケアンズから650kmほど南下した湖で、ルアーフィッシングで巨大バラマンディを狙う釣り人たちは、端から見ているだけでもわくわくする。世界最古の大陸とも呼ばれるオーストラリアで繰り広げられる、魚と人間とのホットなバトルを是非、堪能してほしい。

Writer:橘川有子
(記事提供:ヨムミル!Online 写真提供:(C)釣りビジョン)