「KinectからMiiverse、Vine、AIMまで──2017年に「終了」した18のガジェットとサーヴィスを振り返る」の写真・リンク付きの記事はこちら

どんなよいものにも終わりは来る。今年わたしたちはお気に入りのガジェットたちが、時代遅れのテクノロジーが眠る棺桶の中に入っていく様子を目にした。さあ、2017年のテックの“犠牲者”たちを偲んで、献杯しようじゃないか。

PHOTO: AP/AFLO

AOL Instant Messenger

12月15日、AIM(AOL Instant Messenger)が最後のアウェイメッセージを投稿した。学校の友だちとのヒップな連絡手段としての地位からは長らく遠ざかっていたAIM。しかし、このインスタントメッセンジャーによって、ひとつの世代が自分のオンラインアイデンティティを築いたのだ。いまとなっては、恥ずかしいスクリーンネームもみんなまとめてお墓の中である。

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iPod Nano、iPod Shuffle

アップルは今年ついに、主力商品だったミュージックプレイヤーに解雇を告げた。同社はiPod NanoとShuffleを“殺した”のだ[日本語版記事]。もちろん、いまではあなたもSpotifyやApple Musicを使って音楽をストリーミングしていることだろう。しかしだからといって、わたしたちがiPodを恋しく思わないわけではないのだ。iPodは現代の音楽のかたちの火付け役だった。そして多くの人々が、若いころの自分を象徴する曲が詰まったプレイリストをつくった場所でもあったのだ。

Vine

動画がもてはやされるようになる前から、Vineは存在していた。そこには「カウベルでリズムを刻む犬」や「リーアム・ニーソンのラップ」、「煙を使った一発芸を兄弟に台無しにされた動画」、「ゴミ箱がホワイトボードの絵になってしまうトリック」が並んでいた。去年TwitterはVineに解雇宣告をしていたが、今年1月まではサポートを続けていた。そのVineがなくなったことで、みんなが少し変なものをつくれるプラットフォームがまたひとつ減ってしまったのだ。

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Microsoft ペイント

マイクロソフトが「ペイント」をプリインストールのリストから外しても、それほどショックではないかもしれない。しかし、惜しまれることに変わりはない。堅固さを誇るわけでも、それほどいいソフトだったわけでもないが、下手な手描きミームたちの生みの親であるペイントは、わたしたちに最高の笑いを届けてくれた。

Twitterの140字制限

ツイッターは同社のSNSの一番の問題は、ハラスメント[日本語版記事]でも大統領のアカウントを消滅させてしまう自分勝手な従業員でもなく、ツイートの字数制限が短かすぎることだと判断した。というわけで、このSNSにはいまだに核戦争の兆候やヘイトスピーチが蔓延しているが、ツイッターは字数制限を従来の倍の280文字にするという“大改善”を行ったのだ。

App.net

ツイッターがアルゴリズムをいじったり字数制限を長くしたりと無駄な時間を過ごしているあいだに、オープンソース版Twitterともいえる類似サーヴィス「App.net」がその幕を閉じた。App.netは広告なしのミニブログを約束したが、そのビジネスモデルは長期的にはうまくいかないことを証明してしまったのだ。App.netはメインストリームになることこそなかった。しかし、ソーシャルゲームで勝つのは利他主義ではなく、変化を遂げるおせっかいな機能の数々だということを、わたしたちに思い出させてくれた。

Twitterの卵アイコン

ツイッターが卵アイコンを廃止したことで、インターネットヘイトの暴徒たちの滑稽さが少し薄れた。卵アイコン廃止の結果、ツイッターは新しい匿名のマスクに生を与えている。昔から使われてきた、何の変哲もない人型の画像だ。ハラスメントを減らすことはなかったが、少なくとも卵よりは人間のほうが怒りの対象にしやすいだろう。

GChat

グーグルのメッセージングアプリすべてに目を通すのは大変だ──Allo、Google+、Google ハングアウト、Duo(実際に使っているいる人なんているのだろうか?)。「GChat」はそんな同社の最初のアプリのひとつだった。いまではハングアウトがGChatに取って代わったが、そのハングアウトもそのうちグーグルがリリースするメッセージアプリに取って代われるのだろう。

MP3

MP3は、わたしたちの音楽の聴き方に変革をもたらした。MP3のおかげで、わたしたちは好きな曲をiPodやその模倣品に入れることができるようになった。多くの人は「LimeWire」で音楽を“盗んで”きていたことだろう。しかし17年、MP3の特許ライセンスが終了した。開発者たちが代替フォーマットとして推奨しているのは「AAC」だ──MP3ほど素敵な響きがないのだが。

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Remix OS

モバイルコンピューティングとデスクトップコンピューティングの融合が叫ばれて久しい。マイクロソフトは「Continuum」によって、スマホのようなデヴァイスを、シンプルな接続機器と周辺機器によってどんなデヴァイスにも変えることを約束した。いまではChromebookでもAndroidアプリが使える。一方、どんなPC上にもインストールでき、大きなスクリーン上でAndroidアプリを使えるようにする「Remix OS」は、Androidの友だった。その機能は最高だったが、大物にはなれる見込みがなかったのだ。

Windows Movie Maker

YouTubeや家の大きなテレビに動画をアップするために、みんながみんな「Adobe Premiere」や「Final Cut Pro X」の力を借りなくてはならないわけではない。12年から今年の配布終了まで、「Windows ムービーメーカー」は簡単な動画編集の道を提供することで、クリエイターや子どもを誇りに思う親たちのピンチを救ってきた。しかも完全に無料でだ。しかし「Windows ムービーメーカー」という名前は、昨今のヒップなガジェット好きにはダサすぎたようだ。マイクロソフトはムービーメーカーを廃止し、代わりに機能はほとんど同じだが見た目に新しさがある「Story Remix」をローンチした。

Yik Yak

米国の大学生たちは、キャンパス内を秘密の告白で溢れさせた匿名SNSアプリ「Yik Yak」の閉鎖に涙した。ルームメイトの食べ物を盗んだことから、酔っ払ったまま授業に出席したことまで、「Yik Yak」はその生涯にわたって若者たちの自白の場となっていた。

About.com

インターネット黎明期、質問がある人はその答えをAbout.comに探しに行っただろう。About.comはハウツーや説明で溢れていた。しかし残念ながら、絶えず変化するインターネット世界についていく方法はあまり知らなかったようだ。

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Kinect

マイクロソフトのモーショントラッキング用ハードウェアが最後に世界に残したジェスチャーは「バイバイ」だった。Kinectはマイクロソフトが考えていたような大変革をもたらすことはなく、また多くのゲーマーにとってその価格の高さは割に合わないものだった。

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Miiverse

今年任天堂は、わたしたちの17年のお気に入りガジェットのひとつ「ニンテンドースイッチ」の発売によって大ヒットを打ち立てた。しかしキラーコンソールをつくるために、任天堂はほかの寵児に死を言いわたす必要があったのだ。ユーザーが最高の落書き(最低の落書きも)をシェアしていた任天堂のヘンテコで愛らしいSNS「Miiverse(ミーバース)」は、今年11月にその幕を下ろした。

Club Penguin

Club Penguinは、子どもたちが魔法使いやリンゴの恰好をした匿名ペンギン(説明は求めないで)になることができるSNSだった。しかし有名なのはネット上で流行った、いかにはやくアカウントの利用停止を受けられるかを競うゲームだろう。運営元のディズニーは、このSNSを今年修了した。究極の利用停止だ。

Netflixの5つ星評価システム

あなたの好きなNetflixの番組は今年、あなたからの愛をいままでほど感じられなかったことだろう。Netflixが5つ星の番組評価システムを撤廃し、より情報性の少ない「サムズアップ(いいね)」「サムズダウン(よくないね)」システムを導入したからだ。この新しい評価システムとともに、Netflixがどのくらいの確率であなたがその番組を気に入ると予想しているかを示す「マッチ率」が導入された。残念なことに、Netflixの決定を気に入らなくてもサムズダウンする方法はない。

Microsoft Groove Music

音楽ストリーミングビジネスは荒っぽい。ストリーミング業界の巨人たちとの競争に敗れたマイクロソフトは、今年自社のSpotify競合サーヴィスを終了した。