年末の大一番となるGI有馬記念(12月24日/中山・芝2500m)。このレースでは、しばしば「名馬の引退」や「3歳馬と古馬の対決」といったトピックが話題となる。そして今年も、まさにその状況となった。

 GI6勝を挙げている”現役最強馬”キタサンブラック(牡5歳)がこの1戦で引退。そのラストランへの関心が日に日に高まっている。

 同時に、今秋のGI戦線では3歳馬が躍動。有馬記念には、GI日本ダービー(5月28日/東京・芝2400m)で2着となったスワーヴリチャード(牡3歳)が挑み、キタサンブラックをはじめ、GIジャパンカップ(11月26日/東京・芝2400m)を制したシュヴァルグラン(牡5歳)など、古馬一線級との対決が大いに注目されている。

 このように今年も見どころ満載の”グランプリレース”だが、競馬ファンにとってさらに興味をそそられるのは、「荒れるGI」であるということだ。2007年に9番人気で優勝したマツリダゴッホや、2015年に8番人気で戴冠を果たしたゴールドアクターは、その代表例だろう。

 また、過去10年の結果を見てみると、ふた桁人気で馬券圏内(3着以内)に絡んだ馬が延べ5頭もいる。有馬記念では、名馬の引退や名勝負といった感動のドラマも見られれば、スリルに満ちた”波乱”の物語を目の当たりにすることもあるのだ。

 そこで今回も、過去10年で穴を開けた激走馬をピックアップ。それらに類似する馬を探し出して、年末の一攫千金を狙ってみたい。

 まず参考にしたいのが、2008年に14番人気で2着に突っ込んできたアドマイヤモナークである。

 同馬はその年の春、GII日経新春杯(京都・芝2400m)、GIIIダイヤモンドS(東京・芝3400m)と連勝。GI天皇賞・春(京都・芝3200m)でも6着と、まずまずのレースを見せた。

 そこから、夏を越して秋にはGI戦線での飛躍が期待されたが、GI天皇賞・秋(東京・芝2000m)で12着、ジャパンカップでも12着と、立て続けに大敗を喫してしまった。

 これによって、有馬記念ではまったく人気がなかった。しかし、春に重賞で示した強さは偽りではなかった。年末になってようやく、その力を存分に発揮することができたのだろう。

 今回、このアドマイヤモナークと重なる馬がいる。シャケトラ(牡4歳)である。


一発の可能性を秘めているシャケトラ

 今年1月、日経新春杯で2着になると、続くGII日経賞(3月25日/中山・芝2500m)を快勝した。その後、天皇賞・春では9着に敗れたものの、次走のGI宝塚記念(6月25日/阪神・芝2200m)では4着と健闘した。

 その結果、この秋にはさらなる活躍が見込まれたが、天皇賞・秋では15着、ジャパンカップでは11着といずれも惨敗。期待を裏切り続け、その評価は下がる一方である。

 だが、アドマイヤモナークの例を考えれば、見限るのは早い。秋3戦目で調子も上がる頃だろう。春に勝ち星を挙げた日経賞と同じ舞台というのも心強い。今年最後の大一番で、一矢報いてもおかしくない。

 続いて取り上げるのは、前述の2007年に大金星を挙げたマツリダゴッホ。同馬は無類の中山巧者だった。実際、重賞勝ちがあるのは中山のみで、6勝も挙げている。

 ただ、有馬記念を制する前は、GIでの好走歴がなかった。いくら中山を得意とするからといって、一線級相手には通用しないと見られていた。その評価を、マツリダゴッホは見事に覆(くつがえ)した。

 ということは、この舞台はそれだけコース適性が問われるということ。その点で今年面白いのは、サクラアンプルール(牡6歳)である。

 GII札幌記念(8月20日/札幌・芝2000m)で初の重賞制覇を飾った遅咲きだが、実はこの馬もかなりの”中山巧者”かもしれないのだ。

 これまで全6勝のうち、3勝が中山で挙げたもの。今年のGII中山記念(2月26日/中山・芝1800m)ではGI馬が多数出走する中、8番人気で2着と穴を開けている。

 そのレースぶりから、中山であればトップクラスとも対等に戦えると見ていい。鞍上も、マツリダゴッホの激走をサポートした蛯名正義騎手。一発の可能性は十分にある。

 最後に、ここ10年の有馬記念を振り返ると、ある”一族”がたびたび波乱を起こしていることがわかる。

 その一族とは、母トゥザヴィクトリーの子供たちだ。

 1頭は、2007年生まれのトゥザグローリー。2010年に14番人気で、2011には9番人気で、ともに3着入線を果たした。そして、2011年生まれのトゥザワールドも、2014年に9番人気で2着に食い込んだのである。

 そもそも母トゥザヴィクトリーも、2001年の有馬記念で6番人気ながら3着と奮闘している。まさに有馬記念との相性が抜群にいい血統なのだ。

 とすれば、この一族が出走したら、狙わない手はない。そして、今年のメンバーを見渡してみると、トゥザヴィクトリーの子がいた。

 トーセンビクトリー(牝5歳)である。

 これまでに牝馬重賞を1勝のみと、実績面では見劣りする。人気は下から1、2を争う存在かもしれない。

 だが、血統のよさからもともと期待の高かった馬。唯一の重賞実績も、GIII中山牝馬S(3月12日/中山・芝1800m)と、コース適性があるのは間違いない。

 そして何より、この一族が持つ、有馬記念との不思議な相性のよさは見逃せない。ビッグボーナスを狙うなら、この馬に賭けてみるのも悪くない。 2017年競馬界の集大成となる”ドリームレース”。ふところポカポカで明るい新年を迎えるための、自らの夢を託す馬は決まったか?

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