画像はイメージです

写真拡大

Harakiri(腹切り)。Seppuku(切腹)。こんな物騒な日本語が、海外メディアの見出しに躍っている。

「サムライ・スーサイド――英国の刀の専門家、サムライブレードで『ハラキリ』自殺」。英国の大衆紙「ザ・サン」ウェブ版は2017年12月15日(以下、いずれも現地時間)、こんなタイトルの記事を掲載した。

直前に「刀」を受け取っていた

亡くなったのは、英国出身の51歳男性だ。地元メディア「サウス・ウェールズ・アーガス」などの報道を総合すると、男性はインドやオーストラリアなど各国を転々としたのち、近年は日本に家を持ち、英国の実家と行き来する日々を送っていたという。

男性は日本刀に興味を持ち、高じて自ら刀をコレクション、さらにその販売も手掛けるようになった。また現地メディアが紹介している家族の証言によれば、次第に日本刀だけでなく、「the samurai tradition(=武士道?)」にも関心を深めるようになっていった。メディアには、抜身の刀を手に、微笑む男性の写真が掲載されている。

友人とも親しく行き来するなど、快活だったはずの男性だが、2017年2月、実家に帰ってきたころには「体重も減り、寝室にこもりきり」とまるで別人に。そんな中、男性の元に一振りの刀が届く。もともと自ら所有していた刀で、ロンドンの専門家に預けていたものが返送されてきたのだという。刀の種類や来歴などは明らかではない。

そして直後の6月、男性は自らの腹部などに刀を突き立てた状態で発見された。

12月、この事件の「死因審問(不審死が発見された場合、その原因を調査するために開かれる審問)」が行われた。検死官は、男性が刀を使って自死したと鑑定したうえで、このように述べたとされる。

「日本の武士道では、こうした行為を『ハラキリ』と呼ぶ。だが、わが国では『自殺』だ」

「ハラキリ」の歴史など紹介

おそらくはこの発言がきっかけとなって、英国メディアはこぞってこの事件を書き立てた。

中でも英「デイリーメール」ウェブ版は、「名誉ある死、『ハラキリ(Hara-kiri)』という一節を設けて、

「セップクとしても知られるハラキリは、日本の軍事階級であるサムライが行ったことで有名な、儀礼的な自殺の形式である」
「記録に残る最初のハラキリは、源頼政が1180年代、バトル・オブ・ウジ(以仁王の挙兵)で行ったものである」
「江戸時代のサムライがハラキリをする際には、白い服を着て最期の食事を求める。デス・ポエム(辞世の句)を詠む人もいる」

など、やたらに詳しい解説を行う。

米「FOXニュース」や台湾「アップルデイリー」なども報じるなど、話題はなおも広がり続けている。