受け継がれた画家一族の魂とフランドル絵画の魅力を知る「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」

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◆受け継がれた画家一族の魂とフランドル絵画の魅力を知る「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」

ピーテル・ブリューゲル2世《野外での婚礼の踊り》1610年頃 Private Collection
傑作「バベルの塔」で知られる、16世紀のフランドル(現在はベルギー)を代表する画家、ピーテル・ブリューゲル1世。その息子や孫など、150年にわたって素晴らしい画家を輩出してきたブリューゲル一族の作品を中心に、16〜17世紀のフランドル絵画を紹介する展覧会「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」が、2018年1月23日(火)から開催される。脈々と受け継がれた魂の系譜を、多彩な作品の中から感じ取ってみたい。

貴重なプライベートコレクションから選び抜かれた約100点は、ほとんどが日本初公開!
2018年1月23日(火)から4月1日(日)まで、上野の東京都美術館では「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」を開催。この展覧会は、2012年にイタリアで開催されて以来、フランス、ドイツ、イスラエルなどを巡回して好評を博し、日本での開催に至ったそう。

今回は貴重なプライベートコレクションを中心に、選び抜かれた約100点を通じて、ブリューゲル一族の150年にわたる画業をたどる。作品は、宗教画、風景画、寓意画、静物画などバラエティ豊かで、プライベートコレクションだけあって、ほとんどが日本初公開というのも見どころ。

上にある写真の作品は、ピーテル・ブリューゲル1世の長男ピーテル・ブリューゲル2世の作品《野外での婚礼の踊り》。長男のピーテル2世は人気の高かった父の作品の忠実な模倣作品(コピー)を多く描き、その作風を世に広めるのに大きく貢献したという。


ヤン・ブリューゲル1世《水浴をする人たちのいる川の風景》1595-1600年頃 Private Collection, Switzerland
縦・横30cm未満でも伝統的な細密絵画の手法で驚くほど細かく描きこまれた作品が多数
また、次男のヤン・ブリューゲル1世は、父であるピーテル・ブリューゲル1世の模倣だけでなく、花などの静物を積極的に描いて「花のブリューゲル」と呼ばれるほどに。

今回の出展作品には縦・横30cm未満の比較的小さい作品も多く含まれているけれど、いずれも細部が細かく描き込まれている。例えば写真の作品、次男ヤン1世の《水浴をする人たちのいる川の風景》は、わずか17×22cmの作品ながら、水面に映る人影まで細密に描かれているという。ルーペやオペラグラスを持って鑑賞するのも、おすすめ。


左:ヤン・ブリューゲル1世、ヤン・ブリューゲル2世《机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇》1615-1620年頃 Private Collection 右:ペーテル・パウル・ルーベンスと工房、フランス・スナイデルス《豊穣の角をもつ三人のニンフ》制作年不詳 Private Collection
親子の共作や工房作、ヤン1世の宮廷画家仲間・ルーベンスとの交流がうかがえる作品も
展覧会では、共作や工房作とされる作品も多く出展されている。共作というのは複数の画家が共同して一つの作品を描くことで、工房作は画家が弟子たちに指示して描かせた作品のこと。写真左の《机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇》は、次男のヤン1世と工房で弟子として修行した息子ヤン2世の手による貴重な作品。「花のブリューゲル」と称されたヤン1世のDNAを、息子がしっかり受け継いでいることがわかる。

また、右の作品《豊穣の角をもつ三人のニンフ》を描いたペーテル・パウル・ルーベンスは17世紀フランドル最大の画家で、ヤン1世と親しく交流し、しばしば共作を残しているそう。2人はともに宮廷画家として活躍し、ルーベンスはヤン1世の息子であるヤン2世との共作もしていたことから、家族ぐるみのお付き合いだったと言える。


そしてひ孫の世代まで。多彩な作品群で、画家一族とフランドル絵画の歴史を楽しんで
17世紀半ばには、ピーテル1世の孫やひ孫の世代が活躍するようになる。写真は、ひ孫にあたるヤン・ファン・ケッセル1世の作品で、彼は多才で異国趣味を持った画家のひとりと言われている。昆虫や小さい生きものを標本のように並べた独創的な習作を多く描いた。写真の作品は大理石に描かれた油彩画で、大変珍しい作例。

一方、同時期に活躍したひ孫のアブラハム・ブリューゲルは、一族の伝統を受け継いで静物画や花を描いた作品で知られる正統派だったとか。

伝統を受け継いだり、新しい試みを取り入れたり、さまざまな絵画から画家一族と当時のフランドル絵画の歴史を楽しんで。