売上高で日本最大のカフェチェーンになったスターバックス コーヒー ジャパン。業績は苦戦しているのか、意思ある踊り場なのか(撮影:今井康一)

上場廃止から2年余り。売上高で日本最大のカフェチェーンにのし上がったスターバックス コーヒー ジャパンの業績はどうなったのか。

同社は昨年と同じ12月13日、日本経済新聞朝刊に決算公告を掲載した。2016年10月〜2017年9月期決算は、売上高1709億円(前期比6.4%増)と増収ながら、営業利益143億円(同4.2%減)で減益の着地だった。純利益については法人税の負担が減ったことで、86億円(前期比11.9%増)と過去最高を更新した。

既存店は好調に推移


上場廃止になったものの、スタバは律義に決算公告を掲載している(記者撮影)

店舗数は9月末で直営店が1218店、空港やサービスエリアなど特殊立地向けのライセンス店を含めると1304店に達した(2016年末は1212店)。

スタバは、1995年に米スタバ本社と日本のサザビーリーグが折半出資する形で設立し、2001年にナスダック・ジャパン市場(当時)に上場。その後、米本社が完全子会社化を決め、2015年3月に上場廃止になり、現在に至る。

直近決算で注目すべきは1700億円に達した売上高の規模だ。同社はここ数年、年間80店規模の出店を続けながらも、「既存店は引き続き好調」(会社側)という。主力商品である氷菓飲料フラペチーノの売れ行きが順調のようだ。1店舗当たりの売上高は年間約1.4億円とマクドナルド(1.65億円)には届かないもののドトールコーヒーやコメダ珈琲を大きく突き放す。


外部の顧客満足度調査では低迷

一方で本業の儲けを示す営業利益は、わずかながらマイナスで着地した。変則決算を除けば、2011年3月期以来の営業減益となる。

会社側の説明によれば出店加速による減価償却費が膨らんだほか、中期的な成長を見越したインフラ整備を加速させているのが要因だという。「人件費も伸びているが、それほど大きなインパクトではない」(会社側)。

上場廃止後もスタバの出店や新商品の動向は話題を集めている。JSCI(日本版顧客満足度指数)の調査結果では、カフェ部門で2014年に1位を達成したものの、2017年度は6位にまで順位を下げた。混雑度や値段の高さがネックになっている。

外食チェーンの成長は1店当たりの売上高を増やすか、店舗網を増やすか、の2つしかない。2017年9月期のスタバの1店舗当たりの売上高は前期比で微減。会社側は「あくまで新規出店のタイミングによるもの」と説明する。出店時期が後半に集中したことが影響したとみられるが、既存店売上高の伸び率が鈍化している可能性もありそうだ。

なお、今年2月に東洋経済オンラインで解説した債務超過については現在も純資産が218億円のマイナスと解消されていない。

スタバは店舗数で首位のドトール(2017年8月末1347店、星乃珈琲を除く)に肉薄している。店舗網を拡大しながら、1店当たりの売上高を伸ばし続けることはできるか。スタバの底力が試されている。