どうもすっきりしないのだ。

 E−1選手権は12月12日に男子の大会2日目を迎え、日本は中国を2対1で下した。北朝鮮戦に続いて結果は残したが、内容に厚みがないのである。

 残り時間が10分を切ってから先制し、88分には昌子源が驚きの超ロングシュートで加点した。後半アディショナルタイムの失点は不要だが、得点経過だけを見れば「勝負強く戦った」と言うことができるかもしれない。

 この試合の日本は15本のシュートを記録している。しかし、相手GKを脅かしたと言えるシーンは、後半の84分が初めてだった。小林悠が先制点を決めるまで、決定機と呼べるものはなかったのである。

 中国にとっての今大会は、マルチェロ・リッピ監督によれば「試験的なもの」である。ロシアW杯の出場を逃しているチームに直近のターゲットはなく、経験の少ない選手をテストする機会との位置づけだ。

 さらに言えば、11月4日に国内リーグを終えている。12月3日までJリーグを戦っていた日本の選手に比べて、ゲーム体力やゲーム勘が整っていなかったと言うことはできるだろう。

 そのチームを相手に、終盤まで決定機を作り出せなかったのだ。チームとしての練度を高める時間が与えられていないとしても、「攻めあぐねた」という表現が適切である。

 より根本的な話をすれば、「このサッカーで本当にいいのだろうか」との疑問が沸き上がる。タテに速いサッカーを北朝鮮戦よりも強調されたこの日は、奪ったボールをかなりの頻度で前線へ蹴り出した。最前線の小林悠はCBとのバトルを繰り返し、ドリブルが得意の伊東純也も右ウイングの位置から背後へ抜け出した。彼らにボールが収まった場面もあるが、あっさりと攻撃の権利を失うことも少なくなかった。

 タテに速いサッカーが悪いとは、もちろん言わない。ポゼッションだけでは世界で対抗できないが、ハリルホジッチ監督のサッカーは日本人の特徴を生かしきっているのだろうか。W杯で結果を残すための最善の策なのだろうか。

 アップダウンとデゥエルを繰り返せば、肉体的な消耗は激しくなる。チームのクオリティを保つために、選手の使い分けは避けられない。国内組のテストという大義のある今大会なら、思い切った入れ替えに違和感はない。それによって運動量を担保できるが、同じことをロシアW杯でもするのだろうか。ブラジルW杯のアルジェリアのような選手起用で、グループリーグを勝ち抜けるのだろうか。グループリーグを勝ち抜いてもなお、余力が残っているだろうか。

 終盤までチャンスと言えるようなシーンもなく、デゥエルの応酬に率先して持ち込んだゲームを、ハリルホジッチ監督は「美しい勝利」と表現した。それがどうにも、すっきりしないのである。