ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 今年も、はや年の瀬。1年の総決算とも言えるグランプリレース、有馬記念(12月24日/中山・芝2500m)も刻一刻と迫ってきましたね。

 その前に恒例の2歳GI、阪神ジュベナイルフィリーズ(12月10日/阪神・芝1600m)と、朝日杯フューチュリティS(12月17日/阪神・芝1600m)が行なわれます。特に今週の阪神JFは、勝ち馬が最優秀2歳牝馬に選出される可能性が高く、まさしく「2歳女王決定戦」となります。

 前哨戦のGIIIファンタジーS(11月3日/京都・芝1400m)を勝ったベルーガが、追い切り後に故障が判明。直前で回避することになってしまったのは残念ですが、話題性のある馬が多く、今年も好メンバーがそろったと思います。

 この時期の2歳牝馬と言えば、人間で言えば小学生の頃合い。おかげで、ひと昔前のレースでは小学生の運動会といった趣(おもむき)で、紛れが起こりやすく、どの馬が勝つのかわからない競馬になることが多かったように思います。

 しかし最近は、新馬戦の開幕が早まり、それによって馬自体の仕上がりも早くなって、2歳の暮れという時点でもある程度、馬が完成されてきています。そのため、ここで好勝負した馬が、翌年のクラシック戦線でも主役を務めることが多くなってきているのだと思います。

 昨年は、勝ち馬ソウルスターリングがオークス馬に、3着レーヌミノルが桜花賞馬になりました。さらに2着リスグラシューも、「牝馬三冠」すべてのレースで準主役の活躍を見せました(桜花賞2着、オークス5着、秋華賞2着)。今年も、ここから来年のクラシック候補生が出現しそうですね。

 その筆頭と言えるのは、ロックディスタウンでしょう。今回はおよそ3カ月の休み明けとなりますが、前走のGIII札幌2歳S(9月2日/札幌・芝1800m)では牡馬相手に鮮やかな勝利を飾っています。

 そもそも同馬は、デビュー前からかなり評判の高かった素質馬。実際に、デビュー戦では圧巻の勝ちっぷりを披露しました。加えて、同レースで退けた2着タイムフライヤー(牡2歳)が、のちにオープン特別を勝って、重賞の京都2歳Sでも2着と好走。3着シャルドネゴールドも、そのあと未勝利を勝って、500万特別の葉牡丹賞で2着と奮闘するなど、ここに来てロックディスタウンの強さが改めてクローズアップされています。

 その初陣では、新馬戦でありがちな超スローの競馬において、好位の、しかも馬込みの中をピタリと折り合って追走。直線では、前が壁になって追い出しを我慢させられるところもありましたが、前が開くと弾けるように伸びて、上がり32秒5という決め手を繰り出して快勝しました。抜け出すときの重心の低い走りは、父オルフェーヴルを彷彿とさせるものがありましたね。

 2戦目の札幌2歳Sでは、メンバーも一層強力となり、厳しい競馬を強いられました。しかし、牡馬2頭の間に挟まれての叩き合いを制して先頭でゴール板を通過。「これは強い」と思わせる競馬でした。

 ここまでの競馬を見る限り、例年のクラシック候補生と遜色ないパフォーマンスを見せていると思います。

 懸念材料となるのは、休み明けの仕上がり具合。マイル戦での速い時計への対応。そして、関東馬にとって”鬼門”となる阪神遠征などですが、それらすべてをクリアする可能性は十分にあります。そうして、見事に結果を出せば、クラシックの最有力候補に挙げられることは間違いないでしょう。

 もう1頭のオルフェーヴル産駒、ラッキーライラックも有力な1頭です。

 まだまだ若さを見せながらも、デビューから2連勝。特に前走のGIIIアルテミスS(10月28日/東京・芝1600m)では、メンバーがそろっている中で強い勝ち方を見せました。それも、東京までの長距離輸送を克服してのもの。ロックディスタウンとは少しタイプが違いますが、精神的な強さを感じます。これは、牝馬にとっては大きなアドバンテージになります。

 鞍上を務めるのは、引き続き石橋脩騎手です。関西馬で、しかも関西で開催されるGIで、関東の中堅ジョッキーが起用されるのは珍しいこと。なにしろ、最近は勝っても乗り替わりがある厳しい世界ですからね。

 それでも、新馬戦で手綱を取って勝利し、続く重賞でもきっちりと勝ち星を挙げたからこそ、巡ってきた騎乗です。石橋騎手にはそのチャンスを生かしてほしいですから、応援したくなりますね。

 さて、このレースの「ヒモ穴馬」ですが、関東馬のマウレアを取り上げたいと思います。重賞馬である前述の2頭に比べて実績では劣りますが、同じく2戦2勝の負けなしで大舞台に挑みます。


デビュー2連勝を飾って阪神JFに挑むマウレア

 こちらは、いかにもディープインパクト産駒らしい、弾けるような競馬で2連勝を飾ってきました。それも、2戦とも馬込みの中で競馬をさせられてきての勝利ですから、価値があります。

 特に前走は、9頭立ての少頭数で大外枠からのスタートでしたから、そのまま外から外を回ったほうが楽な競馬ができたと思います。にもかかわらず、あえて馬込みに入れて競馬をしていたように見えました。これは、将来への期待が高い証拠です。

 今回の阪神JFに限らず、来年の桜花賞などのビッグレースでは、間違いなく多頭数の競馬になります。外を回すとロスが大きく、馬込みで我慢できるほうがアドバンテージは大きいでしょう。そして、実際に馬込みで我慢させる競馬で2連勝してきたこの馬は、ここでもアドバンテージがあるはずです。

 騎手の心理としても、馬込みに入れるとどうなるか不安がある馬より、大丈夫だとわかっている馬のほうが、どんな競馬にも対応できるため、自信を持って騎乗できます。手綱を取る戸崎圭太騎手もチャンスを感じているのではないでしょうか。

 楽しみな1頭です。

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