2歳牝馬の女王を決めるGI阪神ジュベナイルフィリーズ(以下、阪神JF。阪神・芝1600m)が12月10日に行なわれる。

 今後の飛躍が期待される”才女”が集うなか、最も注目されているのは、新種牡馬オルフェーヴルの娘となる2頭。ロックディスタウンとラッキーライラックである。

 どちらも2戦2勝。ロックディスタウンはGIII札幌2歳S(9月2日/札幌・芝1800m)を、ラッキーライラックはGIIIアルテミスS(10月28日/東京・芝1600m)を制し、すでにトップレベルの強さを証明している。

 とはいえ、まだ幼さが残る2歳馬。キャリアも浅く、人気馬同士で決着するとは限らない。その分、波乱が起こる可能性は大いにある。

 ならば、今回も過去10年の結果を参考にして、穴馬を探し出してみたい。

 まず着目すべきは、新馬もしくは未勝利を勝ったあと、続く500万特別と2連勝を飾って挑んできた馬たちだ。

 例えば、2013年に8番人気で3着と奮闘したフォーエバーモアは、新馬、500万特別と連勝してこの舞台に臨んできた。翌2014年に5番人気で1着となったショウナンアデラも、デビュー戦で2着のあと、未勝利、500万特別と勝ち星を重ねての参戦だった。

 新馬もしくは未勝利を勝って、続く500万下のレースも連勝することは、実力がなければできない。通常、そういった馬は上位人気になりやすいが、連勝した内容や相手関係から、今ひとつ人気が上がらないケースも出てくる。また、同じ2連勝でも、連勝したレースがオープン戦や重賞だったりすると、そちらのほうがどうしても高く評価される。

 つまり、今回も狙うべきは、新馬(もしくは未勝利)→500万特別と連勝を飾りながら、人気が上がりそうもない馬だ。

 今年のメンバーを見ると、該当馬が3頭いる。マウレア(父ディープインパクト)、マドモアゼル(父ブラックタイド)、リリーノーブル(父ルーラーシップ)である。

 ただ、そのうちマウレアとリリーノーブルは、連勝したレースの内容やその血統背景から上位人気が予想される。”穴狙い”をモットーとするここでは、それら2頭は推せない。

 狙うなら、マドモアゼルだ。


阪神JFで一発が期待されるマドモアゼル

 同馬は、デビュー戦の2歳新馬(7月15日/福島・芝1200m)で2着と健闘すると、続く2歳未勝利(7月29日/新潟・芝1400m)をきっちり勝利。その後、2カ月の休養を挟んで、500万特別のりんどう賞(10月8日/京都・芝1400m)で2連勝を決めた。

 3戦2勝2着1回と大崩れすることなく、連勝して勢いがあるのは確かだ。しかし、これまでのパフォーマンスや血統が地味なことから、人気は上がりそうもない。加えて、マドモアゼルは先述のフォーエバーモア、ショウナンアデラと同じく関東馬。一発への期待が一層膨らむ。

 次に、穴馬の傾向として目についたのは、GIIIファンタジーS(京都・芝1400m)経由であることだ。

 このレースは例年11月に行なわれており、阪神JFへの重要なステップレースであることは間違いない。ところが、ファンタジーSの好走馬は、阪神JFでの1ハロンの距離延長が懸念されることが多い。その結果、本番で人気にならず、過去にもそうした馬がしばしば穴を開けている。

 2011年に8番人気で2着となったアイムユアーズがいい例だろう。同馬は夏のGIII函館2歳S(函館・芝1200m)で2着に入り、続くファンタジーSでは見事快勝するも、それまで1400m以下のレースしか走ってこなかったことから、距離延長が不安視されて低人気にとどまった。

 2009年に6番人気で3着に入ったベストクルーズも、ファンタジーSで2着と好走したものの、本番ではそこまで評価は上がらなかった。同馬は距離面でも不安はなかったが、優勝馬が派手な勝ち方をした分、そのレースぶりが地味に映って見過ごされたのかもしれない。

 そして今年も、ファンタジーSで勝ち負けを演じながら、さほど人気の上昇が見込めない馬がいる。コーディエライト(父ダイワメジャー)である。

 同馬は、GIII新潟2歳S(8月27日/新潟・芝1600m)で2着。続くファンタジーSでも2着と奮闘した。その安定感からそこそこ人気するかもしれないが、冒頭の重賞馬2頭や、前述のマウレア、リリーノーブルに比べると、派手さに欠ける。そのため、人気の盲点になりそうだ。

 地味とはいえ、今回が5戦目と経験豊富な馬。人気薄のファンタジーS組による過去の好走を考えると侮れない。大舞台で下克上を起こしても不思議ではない。

 阪神JFの穴馬として、最後に気づかされたのは”2歳牝馬らしい”馬の台頭である。

“2歳牝馬らしい”というのは、実力はあっても、若いゆえ成績に波があること。そうした馬たちは、その不安定さから馬券検討のうえでは嫌われることが多い。しかし”ここ”という舞台で本領を発揮する可能性はあり、過去の阪神JFでも、そういう馬たちが何度となく波乱を起こしている。

 その代表例となるのは、2012年に15番人気で2着に突っ込んできたクロフネサプライズ。勝った5番人気ローブティサージュとの馬連は、3万5990円という高配当となった。ちなみに、3着にも10番人気のレッドセリシアが入ったため、3連単の配当はなんと300万円を超えた。

 そのクロフネサプライズだが、デビュー戦で4着に敗れたあと、続く未勝利戦は難なく勝利を飾った。しかし、3戦目のGIII小倉2歳S(小倉・芝1200m)では9着と大敗。その後、500万特別では圧巻の逃げ切り勝ちを収めるも、そのムラのある走りからGIの舞台では人気が急落した。

 2015年に10番人気で2着となったウインファビラスも、新潟2歳Sで2着入線を果たしていながら、続くアルテミスSでは見せ場もなく5着に敗れた。そのレースぶりからプラス材料が見つからず、阪神JFでは人気がガタ落ちした。

 馬体はもちろん、精神的にも成長途上にある2歳牝馬。一戦ごとにパフォーマンスが大きく変わることは仕方がない。それで人気を落としてしまうが、秘めた実力を存分に出し切れば、ハイレベルなレースでも通用することがあるのだ。

 この観点から見ると、今年はサヤカチャン(父リーチザクラウン)が面白い。

 4戦目でやっと初白星をつかんだあと、続く500万特別のりんどう賞(10月8日/京都・芝1400m)では8頭立てで5着と完敗した。そのレースぶりからは、もはや上のクラスでは厳しいかと思われたが、続くアルテミスSでは逃げの手に打って出て、勝ったラッキーライラックからコンマ1秒差の2着と好走。前走の凡走が嘘のように、重賞の舞台でトップクラスの実力を示したのである。

 こういったタイプは、りんどう賞の内容から重賞での好走はフロック視されがち。さらにグレードが上がる今回は、人気落ち必至の状況だ。が、それなりの実力を備えていることは確か。さまざまな要素がかみ合えば、再び激走してもおかしくない。 2歳牝馬と言えば、まだまだ未熟な少女。未来への希望も膨らむが、反面、危うさも秘めている。だからこそ、とんでもない大波乱が稀(まれ)に見られる。今年はどんな結末になるのか。穴党には楽しみなレースである。

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