12月3日に行なわれるGIチャンピオンズC(中京・ダート1800m)。下半期の”ダート王”を決める一戦は、同時期に開催されていたGIジャパンカップダート(2007年まで東京開催、2008年からは阪神開催)を引き継ぐ形で、2014年から現在の形となり、今年で4年目となる。

 そして今回も、ダート界を代表する一線級の”役者”たちが顔をそろえた。前年の覇者で、地方交流GIのJBCクラシック(11月3日/大井・ダート2000m)を制したサウンドトゥルー(せん7歳)に、6月の地方交流GI帝王賞(6月28日/大井・ダート2000m)を勝って、JBCクラシックでも2着に入ったケイティブレイブ(牡4歳)、さらに昨年のJBCクラシック(川崎・ダート2100m)の覇者アウォーディー(牡7歳)に、前走でGIIIみやこS(11月5日/京都・ダート1800m)を圧勝した上がり馬テイエムジンソク(牡5歳)など、頂上決戦にふさわしいメンバーが集結し、ハイレベルな争いになることは間違いない。

 まさに強豪同士の熾烈な戦いとなるが、過去の歴史を振り返ると、意外にも波乱ムードが漂う。実は現在の条件となってから、過去3回とも穴馬が台頭。中京開催となった初年度(2014年)は、8番人気のナムラビクターが2着に突っ込み、2015年にはなんと12番人気のサンビスタが大金星を収めた。そして、昨年も10番人気のアスカノロマンが3着入線を果たしているのだ。

 こうした過去の結果を見れば、波乱が起こると踏んで、穴馬狙いに徹するのも悪くない。そこで今回は、出走馬の中から先述した3頭に類似するタイプを探して、今年の穴馬候補を見つけ出してみたい。

 まずは、2014年のナムラビクターのようなタイプはいるのか。

 同馬は、春にオープン特別とGIIIアンタレスS(阪神・ダート1800m)を連勝。その後、GIII平安S(京都・ダート1900m)で5着と健闘し、休養を挟んでからもGIIIシリウスS(阪神・ダート2000m)で2着、GIIIみやこS(京都・ダート1800m)で3着と、重賞戦線で善戦を続けていた。

 にもかかわらず、同馬は人気の盲点になった。3戦連続で好走するも勝ち星を挙げられなかったこと、加えて前走がみやこS組よりもJBCクラシック組のほうが上と評価されたことで、8番人気の低評価にとどまったのだ。

 つまり、狙い目となるのは、近走で善戦を繰り返していながら、JBCクラシック組との比較によって人気薄になる、みやこS組からの参戦馬である。

 今回の出走馬で該当するのは、キングズガード(牡6歳)だ。

 今春のGIフェブラリーS(11着。2月19日/東京・ダート1600m)ではまだまだ力が及ばなかったものの、その後は地方交流重賞、オープン特別で連続2着と好走し、GIIIプロキオンS(7月9日/中京・ダート1400m)で重賞初制覇。以降、秋を迎えてからも、地方交流GIのマイルCS南部杯(10月9日/盛岡・ダート1600m)で3着、前走のみやこSでも3着と奮闘してきた。

 まさしく善戦を繰り返してきたタイプではあるが、今年もJBCクラシック組のほうが前評判は上。おそらく、人気が上がることはないだろう。しかし、重賞勝ちもあるように、中京は得意舞台(4戦1勝、2着1回、3着2回)。ナムラビクター同様、重賞戦線で善戦してきた強みを生かして、上位に食い込んでもおかしくない。

 次に、2015年に12番人気で優勝したサンビスタ。同馬も、直近で好成績を収めていながら人気の盲点になったタイプだ。その年、地方交流重賞で3勝を挙げ、前走でも地方交流GIのJBCレディスクラシック(大井・ダート1800m)で2着と堅実な走りを見せていたものの、ほぼ無印だった。

 というのも、好走したすべてのレースが”牝馬限定戦”だったからだ。牡馬一線級が集まる舞台では、さすがに通用しないと見られて人気が急落した。

 それでも、近走の好調ぶりを生かして戴冠。ものの見事に強豪・牡馬勢を蹴散らした。このサンビスタの結果からわかるのは、好結果を続けていながら、それらのレースの相手レベルや条件に疑問符がついて嫌われてしまう馬が狙える、ということだ。

 今年、そのタイプに近いのは、コパノリッキー(牡7歳)である。


中央、地方交流合わせてGI通算10勝のコパノリッキー

 中央・地方交流合わせてGI10勝の実績を誇る同馬は、今年もかしわ記念(5月5日/船橋・ダート1600m)と、マイルCS南部杯と地方交流GIを連勝。前走でも、地方交流GIのJBCスプリント(11月3日/大井・ダート1200m)で2着と好調を維持している。

 にもかかわらず、今年好走しているレースはすべて1600m以下の短距離戦。しかも、どのレースもメンバーが手薄だったという見方が強い。実際、1800m戦のチャンピオンズCでは過去3戦とも惨敗し、一線級が集った今年2月のフェブラリーSでも14着と大敗を喫した。

 その結果、GI10勝の肩書きがあっても、今回は人気落ち必至の状況だが、サンビスタの例からして、好走したレースの条件を過少評価して軽視するのは禁物だ。もともと2000m戦でも結果を出しており、2014年、2015年にはフェブラリーSを連覇した馬。実力の高さはピカイチの存在で、苦手な条件とはいえ、今の調子のよさなら一発あっても不思議ではない。

 最後に取り上げるのは、10番人気で3着となった昨年のアスカノロマン。こちらは、その年の春に重賞を2勝し、フェブラリーSでも3着になるなど、トップクラスの実力を見せていた。

 ところが、夏前の地方交流GI帝王賞で6着に敗れると、休養明け後のマイルCS南部杯でも4着、直前のみやこSでも2番人気に推されながら14着と大きく期待を裏切った。

 こうして完全に下降線をたどっていたため、アスカノロマンは一気に人気を落としてしまったが、本番ではきっちり復調。3着入線を果たした。とすれば、もともと力のある馬なら、調子を取り戻しさえすれば、人気が落ちた瞬間に馬券的においしい大駆けの可能性があるということだ。

 その観点から注目したいのは、グレンツェント(牡4歳)だ。

 3歳時にはGIIIユニコーンS(東京・ダート1600m)で3着と好走し、GIIIレパードS(新潟・ダート1800m)では今回も人気のケイティブレイブを下して優勝。さらに今年の1月には、骨っぽいメンバーを相手にGII東海S(1月22日/中京・ダート1800m)を1番人気で快勝した実力馬である。

 だが、東海Sを勝ったあと、GIIIアンタレスS(4月15日)では1番人気ながら9着と惨敗。続く平安S(5月20日)でも2番人気を裏切って10着に沈んだ。そのうえ、休み明けの前走JBCクラシックでも5着に敗れた。

 この3連敗によって、今回は人気もかなり落ちそうだが、秘めた実力は相当なもの。何かをきっかけにして能力を存分に発揮できれば、アスカノロマンのように復活する可能性は大いにあるはずだ。 師走の中京に集うダートの猛者たち。激しく砂塵舞うハイレベルな決戦の中、その薄闇からゴール前に姿を現すのはどの馬か。多くのファンがあっと驚くような伏兵馬が突っ込んでくることを期待したい。

◆「いや、中京ダートならサウンドトゥルーに逆らえない」という根拠>>

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