竹達彩奈、“中途半端なお姫様”がファンとともに紡いできた、5年間の物語。

livedoorニュースへの登場も今回で4回目。リラックスした雰囲気のなか、竹達彩奈はキュートな表情を次々に見せる。ところが、大きなチキンを両手に持っての撮影になると、その表情が一転。「お肉に対して本気すぎて、顔が厳しくなっちゃう」とつぶやきながら、ひとくちでガブッといったのち、「シンプルに、鳥の旨味が詰まっています」と食レポまで披露してくれた。「ドレスもダンスもメイクもヒールも苦手」と語る、彼女のまっすぐな思いが詰まったベストアルバム『apple feuille』(アップルフィーユ)がいよいよリリースされる!

撮影/川野結李歌 取材・文/とみたまい 制作/iD inc.
スタイリング/hana ヘアメイク/you

『ライスとぅミートゅー』は“竹達彩奈のキャラソン”

11月29日の“いい肉の日”にリリースされる、音楽活動5周年突破記念ベストアルバム『apple feuille』。ファン投票で選ばれた楽曲トップ14に新曲をプラスした内容ということで、リリースにあたっての思いを聞かせていただけますか?
5年間も音楽活動を続けることができた自分に驚いているし、「気がついたらベストアルバムを出せるくらい、いっぱい音楽を作らせていただいていたんだ。」って思うと、なんだかすごく感慨深い気持ちですね。素敵な節目に、ベストアルバムというかたちで音楽をみなさんにお届けできることも、とてもありがたいです。
ファン投票にした理由を教えてください。
ベストアルバムに入れる楽曲を自分で選ぶこともできたのですが、なにをもって「ベスト」とするのか……自分にとってのベストなのか、みんなにとってのベストなのかって考えたときに、やっぱりファンの人に「そうそう、これだよね!」って思ってもらえないと、ベストアルバムの意味がなくなってしまうんじゃないかと思ったので、投票というかたちを取らせていただきました。
ファン投票で選ばれた14曲ですが、意外な結果だったものなどはありますか?
思っていた以上に手堅い印象でした(笑)。『らっきーちゅーん♪』が9位に入ったのはちょっと意外でしたね。
それはなぜでしょう?
選ばれた曲のほとんどが表題曲のなか、『らっきーちゅーん♪』は9thシングル『Miss. Revolutionist』のカップリング曲なので……ライブで歌うことはありましたが、なにかのタイアップ曲とかでもなかったんです。CDを買って聴いてくださっている方はたくさんいらっしゃると思いますが、ほかにもランクインしそうな曲がけっこうあるので、『らっきーちゅーん♪』が9位に食い込んだのは、すごい快挙だなと思いました。
1位の『ライスとぅミートゅー』は予想通りでしたか?
そうですね。予想通りではありましたが、安心しました。「これが1位じゃなかったらどうする? ランクインしてなかったらどうする?」って、作曲の(小林)俊太郎さんと話していたんです(笑)。
ドキドキですね(笑)。
「ライブのたびにアンコールで歌っているけど、意外とみんな好きじゃなかったらどうする? 僕らは『この曲!』って思ってセットリストに入れているのに、ランキングに食い込んでなかったらどうしよう。僕、音楽やめたくなっちゃうかも」みたいな話をしていました(笑)。だから、みんなの投票結果を見て「よかったね、ちゃんとランクインしていたし1位だったよ! 嬉しいね」って喜びました。
それだけ思い入れのある、大事な曲なんですね。
そうですね。なんかもう“アイデンティティ”と言っていいくらい。“竹達彩奈のキャラソン” みたいな (笑)。大切な曲になっていますね。
ベストアルバムのタイトルを『apple feuille』にしたのはなぜでしょう?
竹達彩奈=“肉”っていうイメージもありますが、もともと私の音楽活動は“アップル”をモチーフにしているんです。ですから、「最初はリンゴをモチーフにして、可愛くやっていこうと思っていたんですよ」と原点回帰しました(笑)。今だって、ちゃんとリンゴをマークに使っているんですが、思ったよりもお肉のほうが有名になっちゃって(笑)。
初心に返る感じ?
ですね。「アップル」という言葉を使って、『アップルなんとか』とか『なんとかアップル』にしようと思って、いくつか候補を挙げたなかで……ある日喫茶店に行って、ミルフィーユを見たときに、「おいしそうだなあ」って思ったんですね。私、普段あんまりケーキとか食べないんですが、たまたまそのミルフィーユが目に留まって、「食べたいな」って思ったんです。そのときに「あ、ミルフィーユっていいかも!」ってひらめきました。
アップルとミルフィーユで『apple feuille』ということなんですね。
そうなんです! 音楽活動での思い出や、5年間で歌ってきた曲がミルフィーユみたいに何層も積み重なって、1枚のアルバムになったんだよっていう意味と、「feuille」は「葉っぱ」を意味するので、葉っぱのようにニョキニョキ伸びて、こんなに大きく育ったよっていう意味も込めてつけたタイトルなんです。
今回は2種類のジャケットがありますが、それぞれどういったイメージで作られましたか?
限定盤はリンゴをイメージさせるような赤い衣装で、周りのプレゼントは……思い出や今までの曲を、ひとつひとつプレゼントボックスに込めました、という意味ですね。
通常盤のほうは?
みなさんに懐かしい気持ちで見ていただけるといいなと思って、1stアルバムを彷彿とさせるような白い衣装を選びました。1stアルバム『apple symphony』も白い衣装でリンゴやオモチャを散りばめたジャケット写真でしたが、同じような感じで今の竹達彩奈を撮ったらどうなるんだろう? とイメージして作りました。

“難産”だった歌詞も…『あやな公国』国歌に込めた思い

アルバムのラストを飾るのは新曲『apple*colorful*princess』ということで、これは竹達さんのファンクラブ『あやな公国』の国歌だそうですね。
そうですね。コンペ形式で、何十曲もあるなかから選ばせていただいた曲です。みんなでたくさんの曲を聴いて、そのなかから「これだね!」って選んだ1曲になりました。
最初に曲を聴いたときに、どんな印象を持ちましたか?
国歌っぽいというか……国の始まり感をイメージできる曲でしたね。ファンファーレとともに始まる気持ち良さがあったり、そこから一気にアップテンポで駆け上がっていく疾走感と、元気な明るさがあって、聴いていて幸せな気持ちになる曲だと思いました。
ご自身で作詞されていますが、どんなことを表現したいと思って書いた詞なのでしょうか?
完璧なお姫様ではなく、今の自分に近い……言ってしまえば “中途半端なお姫様”ですかね。歌詞の最初にもありますが、私は本来「『お姫様』なんて柄じゃない」ので(笑)。お姫様が食べるものよりも、牛丼が食べたいんです(笑)。
(笑)。とはいえ、やはりファンのみなさんにとって、竹達さんは『あやな公国』のお姫様です。
そうやって、改めて「お姫様」という役職をいただいたことへの……恥ずかしさや照れ臭さがあって、「どうしようかな?」っていう気持ちと、「みんなが喜んでくれて嬉しい!」っていう気持ち、さらに、「みんなが望むようなお姫様になれるといいな」といった願いも歌詞に込めました。
まさに、竹達さんの思いがたっぷり詰まった歌詞になっていると思いました。
ドレスもダンスもメイクもヒールも苦手なお姫様なので、一筋縄じゃいかない感じのキャラクターにはなってしまいました(笑)。ですが歌詞自体は楽しく書かせていただきました。
歌詞はスムーズに書けましたか?
1番と2番はあっというまに書けましたが、Cメロの「いつまでも忘れない」から「歌うよ」までの部分はすごい時間がかかりましたね。私はいつも、1日2日で詞が書けるのですが、この部分に関しては1週間くらいかかりました。
そこまで時間がかかったのはなぜでしょう?
こういったメロディが変わる部分って注目されるので、曲のなかでも大事なパートになると思うんですよね。しかもこの部分は、本線として歌うパートと、追っかけて歌うパートがあるので……たとえば、「いつまでも忘れない」が本線で、「思い出も」が追っかけという感じです。
歌詞が重なる部分ですね。
その本線と追っかけの部分を、どういう棲み分けにしようか考えるのがすごく難しかったです。本線は本線で、追っかけは追っかけで、それぞれきちんと意味が通じる歌詞にしたかったのと、どちらを聴いていてもお話が膨らむような内容にしたかったのですが、それがすごく難しくて、ハードなパズルをプレイしているような気持ちになりました。
文字にすると7行の1フレーズ程度ですが、1週間もかかって考えられたのですね。
そうですね。なるべくシンプルでみんなに伝わりやすく、でも気取ってなくて、まっすぐ届くような言葉ってなんだろう? とすごく悩み、なかなかの難産でした。
歌詞も歌も滑らかにつながっているので……こう言ったら申し訳ないのですが、そんな苦労をされたなんて全然感じられませんでした。すみません(笑)。
よかった!(笑) 「苦労が伝わってこない」って言っていただけるのは、すごく嬉しいし、ありがたいことだと思うんです。やっぱりそういうのって見せちゃいけないところだと思うので……うまく隠せていたなら安心しました(笑)。
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