厳選! 2歳馬情報局(2017年版)
第27回:ヴェルテアシャフト

 サラブレッドの名前には、多かれ少なかれ、それに関わる人たちの”思い”が込められているものだ。

 実は今週、「世界一の馬になってほしい」という願いから名づけられた2歳馬がデビューを迎える。栗東トレセン(滋賀県)の池江泰寿厩舎に所属するヴェルテアシャフト(牡2歳/父ディープインパクト)である。


デビューに向けて万全な状態にあるヴェルテアシャフト

 馬名のヴェルテアシャフトとは、ドイツ語で「世界制覇」を意味する。そこから、この若駒への期待の大きさが伝わってくるが、そう名づけたくなるだけの理由もある。

 第一に、一流の血筋であること。母のヒルダズパッションは、アメリカで現役生活を送り、GIバレリーナS(アメリカ・ダート1400m)を制覇したほか、GIIが3勝、GIIIも1勝を誇る名牝だ。

 さらに同馬は、引退後に日本で”母”となってからも、素質ある子どもたちを次々に送り出し、その血筋の優秀さを高めている。

 2013年生まれのジークカイザー(牡4歳/父ディープインパクト)は、デビュー戦、500万下特別と2連勝を飾った逸材。その後、ケガに悩まされてクラシック戦線には乗れず、復帰後も足踏みが続いているが、優れた素質を秘めていることは間違いない。

 2014年生まれのヨシダ(牡3歳/父ハーツクライ)は、日本で生まれたあと、アメリカに渡って現役生活をスタート。GIIIヒルプリンスS(アメリカ・芝1800m)を勝利し、他にGIIやGIIIで2着になるなど、重賞戦線で活躍している。

 そして、父は言わずと知れたディープインパクト。まさにヴェルテアシャフトは、「世界制覇」を夢見たくなるのもわかるほどの良血馬なのだ。

 同馬はすでにトレセン入りし、初陣となる12月2日の2歳新馬(阪神・芝2000m)に向けて、入念なトレーニングを積んでいる。そこで見せる同馬の動きから、スタッフ間での期待はより一層高まっているようだ。その様子を関西専門紙のトラックマンが伝える。

「この馬に対しては、池江調教師からも歯切れのいいコメントが飛び出しています。『(調教の)動き、タイムともにデビュー勝ちを意識できるレベル。もちろん、クラシックに乗せないといけない馬』と話していました。有力馬が多く、わりとジャッジが厳しい厩舎にあって、これだけのトーンで語るということは、ヴェルテアシャフトのレベルの高さがうかがえます」

 なお、兄は度重なるケガに悩まされているが、その兄との比較でも前向きなコメントが聞かれるという。先述のトラックマンが続ける。

「兄のジークカイザーは、能力はかなり高いものの、なかなか歩様(ほよう)がよくならず、(復帰するたびに)どこかしら痛めてしまうケースが続いています。しかし、弟のヴェルテアシャフトはそうした問題がなく、『歩様も非常にスムーズ』とのこと。また、池江調教師は『気性面についても、この時期の兄と比べて、とても落ち着いている』と好評価を与えていました」

 能力が高く、現状では不安要素もないというヴェルテアシャフト。何より、数々の名馬を育て上げ、今年も優秀な2歳馬を数多く管理する池江調教師から、これだけ威勢のいいコメントが聞かれるとなれば、期待せずにはいられない。 まずは初戦、「世界制覇」が現実的な目標となるのか、その走りに大いに注目したい。

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