SNS上で先日「飲み会で堂々と寝る人」についての議論が行われました。きっかけは「5〜6人ほどで飲み会してて、一次会、二次会とお酒が進み、最終的にソファーで横になってしまう人のことをどう思いますか」との投稿。これに対し「ほっとく」「気にしない」「酔うと眠くなる体質の人もいるし仕方ない」「変に絡まれるよりはおとなしく寝ててくれる方がよい」という容認派と、「迷惑」「寝るなら帰ってほしい」「寝ない程度に酒の量セーブしろよって思う」という否定派に意見がはっきりと割れました。

 これについて「マナーのプロ」の見解はどのようなものでしょうか。オトナンサー編集部では、年間250本以上の講義やビジネスマナーの連載・執筆などをこなし、発売後たちまち重版となったベストセラー「入社1年目 ビジネスマナーの教科書」の著者で、マナー講師の金森たかこさんに聞きました。

関係性や体質によっては許されるケースも

Q.マナー的観点から、飲み会で堂々と寝る人についてどう思われますか。

金森さん「飲み会で堂々と寝る、その行為自体は同席者に対して失礼であると言えるでしょう。ただ、それが許されるかどうかは状況によるところが大きいため、一概には判断できません。同席者との日頃のコミュニケーションや関係性、その人自身のキャラクター、体質によっては、うっかり寝てしまっても周囲が容認してくれるケースもあるでしょう。しかし、上司や先輩が同席する飲み会や、自分のために開かれた会(歓迎会、送別会など)で寝る行為は失礼にあたるので基本的にNGです。また、仮に会社の情報がわかるもの(バッジやホルダーなど)を身につけたまま寝てしまい、それによって店や他のお客さんに不快な思いをさせてしまった場合、会社のイメージが悪くなる可能性もあります。状況によっては、自分が寝てしまったことによる影響が仲間内だけで終わらない場合があることも肝に銘じておきましょう。寝てしまいがちな人には『誰かが助けてくれる』『介抱してくれる』という甘えが少なからずあるのかもしれませんが『眠気をコントロールするためにお酒のペースや量を調整する』という、大人としての自覚も必要だと思います」

Q.飲み会中に眠くなってしまった時、どう振る舞うのがよいのでしょうか。

金森さん「基本的には、寝てしまわないように心掛けることが重要です。お手洗いに立ったり、席を移動したりするなど、意識的に『動く』ことで眠気を覚ますようにするとよいでしょう。男性であれば、洗面所で思い切って顔を洗ってみるのも効果がありそうです。どうしても眠気が取れない場合は、周囲の邪魔にならないようにできるだけ隅へ移動するなど、迷惑を最小限にとどめる行動をしましょう。飲み会の席で寝るという行為は、同席者の立場から考えると、決して気持ちのよいものではありません。起こす手間をかけさせたり、気を遣わせたりと、少なからず周囲に迷惑をかけてしまいます。また、店や他のお客さんを不快な気持ちにさせる可能性もあります。そのことを自覚し、同席者に対する声掛けや謝罪などを忘れないようにしましょう。もちろん、その場で眠らず、帰るという選択肢も持っておく必要があります。眠気や酔いなどで判断が鈍くなる前に、周囲に迷惑をかけないための行動を取ることが大切です」

Q.飲み会中に寝てしまった人がいる場合、周囲はどのように対応すべきでしょうか。

金森さん「マナーの基本は相手の立場に立つことですが、このケースでの『相手』には、店やその他のお客さんも含まれます。つまり、グループ内に寝てしまった人がいる場合、その人に対する周囲の目や影響に広く配慮する必要があります。特に小規模な店で席と席の間が近い場合は、寝ている人をそのまま放置すると他のお客さんに迷惑をかける可能性大。寝てしまった人を起こして隅に移動させるなど、周囲への気配りを忘れないようにしましょう。また、お店側にひと言断りを入れるなど、店とコミュニケーションを取ることも大切です」

(オトナンサー編集部)