11月12日に行なわれるGIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)。今年は例年にも増して、豪華なメンバーがそろった。

 昨年のGI秋華賞(京都・芝2000m)の勝ち馬で、今春には海外GIのドバイターフ(3月25日/UAE・芝1800m)をも制したヴィブロス(牝4歳)をはじめ、一昨年のGIオークス(東京・芝2400m)と秋華賞の二冠を遂げたミッキークイーン(牝5歳)、今年の秋華賞(10月15日)を勝ったディアドラ(牝3歳)、さらに悲願のGI制覇が期待される古豪スマートレイアー(牝7歳)など、各世代のトップホースが集結。「女王決定戦」にふさわしいハイレベルな戦いが見られそうだ。

 どの馬が1番人気になるかさえも予想がつかない、まさに大激戦。ゆえに今年は、上位人気同士の組み合わせでも、それなりにオイシイ配当が望めるだろう。が、それほど熾烈な争いならば、狙うべきはさらなる高配当ではないか。女王の座を巡って積極的なレースを仕掛ける有力馬の間隙を縫って、馬券圏内に突っ込んでくる「穴馬」をここでは狙っていきたい。

 そこで今回も、過去10年の結果を参考にして、波乱を起こした馬をピックアップ。同様のパターンにはまる伏兵馬を探していきたい。

 まず取り上げたいのは、2012年に頂点に立ったレインボーダリア。同馬は、前々走のGIIIクイーンS(札幌・芝1800m)、前走のGII府中牝馬S(東京・芝1800m)と、ともに4着と健闘しながら、さらにメンバーの厚みが増すGIの舞台で7番人気の低評価に甘んじた。しかし、レースではその評価を覆(くつがえ)し、好走を続けてきた強みを生かして戴冠を果たした。

 そして今年も、同馬に似たような馬を見つけることができた。クイーンズリング(牝5歳)である。

 昨年のこのレースの覇者だが、それ以降は勝ち星がなく、メンバーの厚い今回は人気落ち必至な状況にある。しかしレインボーダリア同様、ここ2走はハイレベルな重賞で善戦している。

 2走前のGIヴィクトリアマイル(5月14日/東京・芝1600m)では、勝ち馬からコンマ4秒差の6着と奮闘。前走の府中牝馬S(10月14日)でもスローペースの中、後方から追い込むという苦しい展開を強いられながら、勝ち馬とはコンマ3秒差の4着まで押し上げた。

 ハマったときの強さは過去の大舞台でも実証済み。直前の状態もよさそうで、連覇を達成する可能性は十分にある。

 次にピックアップしたいのは、2015年に6番人気で優勝したマリアライトの例。同馬も直近の重賞で健闘しながら低評価に甘んじた口だが、どちらかといえば、同じ年の春に条件戦を連勝してオープン入りしたばかりの”上がり馬”という印象が強かった。実際、昇格後もGIIIマーメイドS(阪神・芝2000m)で2着、GIIオールカマー(中山・芝2200m)で5着と、勝利には届かなかったものの、手強いメンバーを相手に好レースを見せてきた。

 実はこのマリアライトと同じように、この春にオープン入りして重賞でも上位争いを演じてきた”成長株”が今年もいる。ジュールポレール(牝4歳)だ。


一発の魅力を感じる「上がり馬」ジュールポレール

 3連勝で今年の3月にオープン入りすると、続くGII阪神牝馬S(4月8日/阪神・芝1600m)で3着、ヴィクトリアマイルでも3着と立派な成績を残してきた。その後、クラス再編成によって再び1600万下の身となったが、前走の秋風S(9月30日/中山・芝1600m)を快勝し、再度GIの舞台に挑む。

 これまでマイル戦を中心に使われてきた同馬。ここでは距離不安も囁かれ、人気が上がりそうな気配はないが、ヴィクトリアマイルでは今回上位人気が予想される面々を抑えて、先着したことは事実だ。上り調子の今なら、その勢いに乗って、一気に女王の座に就いても不思議ではない。

 ところで、エリザベス女王杯では、やはり前哨戦の意味合いが強い府中牝馬Sから転戦してきた馬の好走が目立つ。そのうち、その前哨戦で結果を残しながらも、伏兵馬の1頭といった評価にとどまった馬が、しばしば本番で波乱を起こしている。

 2014年のレースで3着に入ったディアデラマドレがいい例だ。同馬は府中牝馬Sを制したものの、エリザベス女王杯では実績馬に人気を譲って6番人気止まりだった。しかしながら、強烈な末脚を生かして3着に食い込んだ。

 今年、そのパターンにハマりそうなのが、クロコスミア(牝4歳)だ。

 同馬は、2走前の1600万条件を勝ってオープン入り。前走の府中牝馬Sでは得意の逃げを打って、実力馬たちを蹴散らした。

 それでも、同レースの勝利はややフロック視されている感があり、豪華メンバーがそろった今回は伏兵馬の域を出ない。まさしくディアデラマドレと重なる。

 この馬が面白いのは、有力馬がけん制し合って単騎の逃げとなった場合だろう。2009年に11番人気で逃げ切りVを飾ったクィーンスプマンテの例もある。「大穴」を狙うなら、オススメの1頭だ。

「大穴」と言えば、昨年12番人気で2着となったシングウィズジョイが記憶に新しい。3番人気のクイーンズリングが勝利したものの、馬連は1万3710円の高配当となった。

 そもそもシングウィズジョイは重賞2勝の実績馬。それでも人気薄だったのは、とにかく好不調の波が激しかったからだろう。初の重賞制覇を果たしたあとは、ふた桁着順を3度繰り返した。その後、11番人気で2度目の重賞勝ちを収めるも、以降は15着、7着と惨敗。その成績でエリザベス女王杯に臨んだのだから、人気が上がらなかったのも当然と言える。

 そんなシングウィズジョイと似た馬が、今年もいた。マキシマムドパリ(牝5歳)である。

 同馬は年明けのGIII愛知杯(1月14日/中京・芝2000m)を制したが、続くオープン特別の大阪城S(3月5日/阪神・芝1800m)では13着と大敗。その後、次走のGIIIマーメイドS(6月11日/阪神・芝2000m)では一変して重賞2勝目を飾るも、以降は重賞を2走して7着、9着と惨敗を喫している。

 シングウィズジョイ同様、マキシマムドパリは重賞2勝馬でありながら、「ムラ馬」ゆえに信頼が置けない存在となっている。その分、ここではかなり評価を落としそうだが、「ムラ馬」だからこそ、一発があってもおかしくない。大荒れを期待するなら、面白い1頭だ。 有力馬がズラリと顔をそろえた秋の「女王決定戦」。歴史に刻まれるかもしれない名勝負を制して女王に君臨するのはどの馬か、見逃せない一戦である。

■競馬 記事一覧>>