今週末11月12日、京都競馬場では3歳以上牝馬によるGIエリザベス女王杯(芝2200m)が行なわれる。

 3冠戦線を戦ってきた3歳馬と古馬との能力比較など、さまざまな見どころがあるレースだが、今年は”悲願のGI制覇”を狙うスマートレイアー(牝7歳・大久保龍志厩舎)とルージュバック(牝5歳・大竹正博厩舎)の2頭に注目したい。


7歳牝馬スマートレイアーが京都大賞典で牡馬勢をなで斬り

 まずはスマートレイアー。今年7歳となるベテランだが、3歳4月のデビューから大きな故障もなく毎シーズン競馬場に姿を見せており、今回が28戦目となる。

 通常、競走馬のピークは4〜5歳が一般的だが、スマートレイアーは3歳時からGI秋華賞(京都・芝2000m)2着など一線級で実力を発揮し、前走のGII京都大賞典(10月9日/京都・芝2400m)では牡馬の強豪も破り、これまでのキャリアで最も格と賞金の高いレースを制している。これほど長い期間において能力を維持し続け、衰えを感じさせない牝馬というのは極めてまれな存在である。

 レースぶりも変幻自在だ。秋華賞は京都の芝2000mだったが、翌年のGII阪神牝馬S(阪神・芝1400m)では短距離も難なく対応。6歳時にはGIII東京新聞杯(東京・芝1600m)、GII阪神牝馬S(阪神・芝1600m)を逃げて連勝と、突然の脚質転換にも動じることなくあっさりと結果を残している。

 そして、昨年暮れのGI香港ヴァーズ(シャティン・芝2400m)で世界の強豪相手の5着に入ってからは中距離戦線で安定した走りを続け、今年のGII京都記念(2月12日/京都・芝2200m)では前年の香港ヴァーズ勝ち馬サトノクラウンの2着。そして、京都大賞典では4コーナー14番手からの差し切りで、重賞4勝目を挙げている。どんな戦法でも対応できる自在性は大きな強みで、名手・武豊の手綱さばきに注目したい(※)。
※9日午後に武豊騎手が今週の騎乗を取りやめることを発表。スマートレイアーは川田将雅騎手に乗り替わり

 かたやルージュバック。2歳時の新馬戦から3連勝で牡馬混合のGIIIきさらぎ賞(京都・芝1800m)を勝利。2馬身差の圧勝から、前年に引退したジェンティルドンナに次ぐ”女傑”候補として大きな期待を受け、GI桜花賞では単勝1.6倍の圧倒的1番人気に推された。しかし、同レースを9着に敗れると、続くGIオークスでも単勝2.7倍の1番人気に推されたものの2着に終わった。

 4歳時には牡馬混合のGIIIエプソムC(東京・芝1800m)、GII毎日王冠(東京・芝1800m)を連勝。果敢にGI天皇賞・秋(東京・芝2000m)、GIジャパンC(東京・芝2400m)に出走したが、7着、9着と敗れ、4歳時もGIを勝てずに終わっている。

 そして5歳を迎えた今年。春はGII金鯱賞(3月11日/中京・芝2000m)を8着、GIヴィクトリアマイル(5月14日/東京・芝1600m)は10着といいところがなかったが、秋初戦の前走、GIIオールカマー(9月24日/中山・芝2200m)を快勝してここに臨む。

 一昨年もエリザベス女王杯には出走しているが、当時はオークス以来約6カ月ぶりの実戦で、スタートでつまずきながらも外を回り、勝ったマリアライトから0秒1差の4着。敗れはしたが中身の濃いレースを見せている。

 今回はここを目標に、キッチリと前哨戦を勝って万全の状態で臨む。オールカマーは好位4番手から内を突く快勝で、後方からの競馬が多かったこれまでを考えると成長ぶりが見てとれる。今回も好走は必至だろう。2010年、2011年とスノーフェアリーでこのレースを2度制している世界の名手ライアン・ムーア騎手が鞍上なのも心強い。

 京都大賞典、オールカマーと牡馬の一線級の多くが出走するレースを制してここに臨んでくる2頭。歩んできた過程は大きく異なるが、2頭とも屈指の実力馬だけに、どちらにも悲願のGI制覇を果たすチャンスはあるだろう。筆者があえてどちらかを選ぶとすれば、潜在能力の高さを評価しているルージュバックを採りたい。どちらにせよ、2頭にはいいレースを見せてほしい。

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