2011年のインテル加入以来、戦力外に近い立場からの復活劇をたびたび演じている長友。その都度、人々は驚き、そして称賛の言葉を惜しまない。写真は11節ヴェローナ戦。 (C) Alberto LINGRIA

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 名門復活への期待が高まっているインテルにおいて、改めて評価されているひとりが、日本代表の長友佑都だ。

 クラブの専門サイト『fcinternews』は現地時間11月2日、新加入のダウベルトとのポジション争いを制してレギュラーを務めている長友を称賛している。
 
 近年、常に左SBが強化ポイントと指摘されていたインテルは、今夏に約2000万ユーロ(約26億円)という大金を投じてダウベルトを獲得した。だが、開幕から11試合のうち8試合で先発出場したのは、放出候補とされていた長友である。
 
 昨シーズンの長友は、ナポリ戦で決勝点に繋がる致命的なミスを犯すなどして、メディアやサポーターから酷評されていた。
 
 fcinternewsも、ナポリ戦でのミスがインテルにおける長友のキャリアのどん底だったと指摘。だが、今シーズンから指揮を執るルチアーノ・スパレッティ監督が、この日本人選手を復活させたと報じている。
 
 スパレッティ監督は開幕前から、「長友は重要な選手だ。過小評価してはいけないよ」と、日本代表SBに賛辞を寄せていた。fcinternewsは、指揮官が長友に「信頼性」を求めたと解説。攻撃面での貢献は大きく期待できないものの、守備により注力するように指示したという。
 
「長友はそれに見事に応え、ここまでは実質的に、汚点のないパフォーマンスを見せている。人に対して速く、両足を使え、監督が求めていたことをまさに実践している。人目は引かないが正確。自分の限界を知り、深くまで行ってクロスを上げることは稀だが、守備を疎かにすることもない。今の長友はもちろん怪物ではないが、機能しているひとりだ」
 
 ただ、大金を投じて獲得しただけに、インテルがこのままダウベルトを起用しないとも考えにくい。fcinternewsも「24歳でこれだけの金額が費やされた選手は、セリエAでレギュラーになる準備ができていなければならず、そうでないなら、何かがうまくいっていないということだ」と指摘する。
 
「熱狂させるパフォーマンスではないが、安定している長友か、失敗もあり得るが、素晴らしいサプライズにもなり得るダウベルトに賭けるのか。これまで多くの選手が入れ替わってきた左SBの“呪い”から生まれた、コインの表裏のような状況だ。さらなる飛躍のために、スパレッティ監督はこの呪いを振り払いたいと願っているだろう」
 
 長友はシーズンの最後まで、ダウベルトからレギュラーのポジションを守り切れるか。そして現在、セリエAで2位につけるインテルは、復活を果たすことができるだろうか。