日産リーフ 17年型試乗記 2代目どう変わった? 英国仕様との違いも
もくじ
どんなクルマ?
ー 売上28万台 のべ56億kmを走る
どんな感じ?
ー リーフ英国仕様と日本仕様の違い
ー 内装は好印象 その他システムまずまず
「買い」か?
ー ひとり勝ちは長く続かないだろう
スペック
ー 日産リーフのスペック
どんなクルマ?
売上28万台 のべ56億kmを走る
日産リーフは売り上げでいうと世界ナンバーワンの電気自動車だ。この「お手頃価格のファミリー電気自動車のリーダー」は全世界で28万台を売り上げ、2011年の登場以来、のべ56億kmを走ってきた。
2015年の東京モーターショーで披露されたIDSコンセプトのシャープな外観を持ち、航続距離は380km、高速道路の同一車線半自動運転(ただし選択する仕様による)など技術の進化は著しい。
東京モーターショーに先立って、横浜にある日産のグローバル本社近くの一般道で行われたドライブ・イベントでわれわれ英国編集部が運転するのは、すでに市販されている日本仕様のリーフで、プロトタイプの試乗はすでに9月に行っている。
どんな感じ?
リーフ英国仕様と日本仕様の違い
今回の試乗車は英国仕様とは異なる。
英国仕様ではサスペンションはもう少し硬く、e-ペダルのスマート回生ブレーキ・システムはもう少し穏やか。そのうえ、ダッシュボードはマイクラ似となり、リアビューカメラとバックミラーのディスプレイは省かれる。
日本仕様のe-ペダルは少しアグレッシブで、英国のユーザーにはアクセルを緩めたときの減速がもう少し穏やかな方が良いと日産は考えている。どの程度というのは文字で表現するのが難しいが、ドライバーがアクセルから足を離した時に頭がゆすられる割合は減るだろう。
一方、アクセルを踏んだときのトルクは力強く、前モデルより20%大きい32.6kg-mだ。最高出力は150psで最高速は143km/h、これはちょっと心配ではある。
しかしながら、英国向けにサスペンションを硬くするのはあまり歓迎できない。すでにこのリーフは少し硬いのだ。でこぼこした道では低速でも思った以上に揺すられる。コーナリング性能が向上すると日産は言うが、それよりもまず、乗り心地を確保してほしい。
内装は好印象 その他システムまずまず
新型は初代リーフより少し背が低いが、そのスタイリッシュな外観からは想像できないほどヘッドルームは十分に広い。しかし外寸の幅はフォード・フォーカスとほとんど同じで、長さも高さもそれより大きい。
一方、浅いウインドウスクリーンと比べ、シート・ポジションは少し高すぎる。そのためインテリアは本来より少し狭く感じられる。
それ以外、ダッシュボードのボタンとスクリーンの比率は理想的で、インフォテインメントで重要な機能がサブメニューに格下げされているようなこともない。いずれにしろ、十分に整理されている。
ステアリングホイールの右側にあるのが、今回のリーフの最大の売りである半自動運転システム・プロパイロットの青いボタンだ。操作はアダプティブ・クルーズ・コントロールと同じくらい簡単で、速度を設定してシステムがレディになるのを確認したら、あとはお任せ。ただし、ステアリングから手を放すとハンドルに手を置いてくださいと丁寧に注意される。
プロパイロット・システムの拡張であるプロパイロット・パーキングは、ゆっくりとではあるが自動的に駐車をしてくれる。駐車の動作を速くすることはできないので、もちろん街中での駐車には適さないが、いつも正確。お望みの場所に駐車できる。時間さえかからなければ見事なものなのだが。さいわい、日産はこれも改良してくれるそうだ。
日本仕様のリーフの最大の弱点は、魅力のないステアリング・フィールだ。無感覚でまったくダイレクト感に欠けるフィールは、理想には程遠いものだ。で、どうなるか? 指摘したところ、これも改良するとのこと。
英国市場向けのクルマでは、ステアリングラックを強化しレスポンスを改善する。ロック・トゥ・ロックは日本仕様が3回転なのに対し、ほぼ2回転になる。
「買い」か?
ひとり勝ちは長く続かないだろう
英国での新型リーフの価格帯は、今のクルマとほぼ同じ。スペシャル・ローンチ・エディションの最初のクルマが£26,000(390万円)だ。
今のリーフは発売から何年もたっており、ライバルたちと比べ遅れているところも多いが、わざと少し目立つデザインにされた新型リーフは、すべてにおいて全体的に改善されている。
日産が英国向け車両に約束通りの改良を施してくれれば、走りの性能も全体的によくなっているはずだ。したがって、これは条件付きの控えめな判定となる。
もし約束通りの改良がおこなわれれば、新型リーフは素晴らしい電気自動車というだけでなく、このクラスの規範となるであろう。同時に、しばらくの間クラストップであり続けるだろう。
しかし競争は激化しているので、リーフのひとり勝ちは長くは続かないかもしれない。