80万〜90万人の来場者数を見込む(筆者撮影)

10月28日から東京・有明の東京ビッグサイトで一般公開が始まった「第45回東京モーターショー2017」(11月5日まで)。乗用車をはじめ、商用車、二輪車、車体、部品など自動車関連サービスを含む総合ショーとして、世界10カ国から150社・団体の出展者が集結している。

将来のモビリティ社会がもたらす新しい価値や社会とのつながりをわかりやすく、参加型の3つのプログラム「インタラクティブ展示」「VR展示」「トークイベント」も用意した。

そんな「東京モーターショー」だが、もう1つの楽しみ方がある。それがグルメだ。特に「東京モーターショー」と「食べあるキング」のコラボレーションにより、西展示棟4F屋上展示場で開催されている「グルメキングダム2017」の注目度が高い(各日10時〜20時、日曜のみ18時まで)。


グルメキングダム会場には14店舗のキッチンカーが並ぶ(筆者撮影)

食べあるキングとは、「食を通じて日本を元気に!」を合言葉に、発信力のある食べ歩きの達人たちが、オールスターチームを結成。約30人のメンバーによるSNS時代を代表するグルメユニット。東京モーターショーとのコラボレーションも、今回で3回目となる。

成功のカギを握るさまざまな「仕掛け」

今回の「グルメキングタム」でも、実はいくつかの仕掛けが施されている。ポイントは5つだ。

まず、主催イベントとの調和だ。今回の「東京モーターショー」のメインテーマである「未来につながるモーターショー」を受けて、今回の屋外グルメイベントにおいて、今までにない「次世代」という概念をコンセプトに掲げた。単に有名店を誘致するのではなく、今度さらに発展してゆくであろう店舗などを集めた。


「格之進 Nikutell」の「格之進メンチカツ熟成肉カレー」(筆者撮影)

たとえば「格之進 Nikutell」。「格之進」は岩手県一関市の門崎(かんざき)によるブランドで、「いわて南牛」を中心とした、岩手県産黒毛和牛を、格之進独自の熟成方法でうま味を凝縮させた「門崎熟成肉」などを岩手や東京で提供している。「格之進 Nikutell」は東京・六本木の店舗で、門崎熟成肉や岩手食材をふんだんに取り入れたハンバーグやメンチカツが人気の肉ビストロ。黒毛和牛から創り出した調味料「牛醤(GYUSHO)」入りの無添加の門崎熟成肉カレーにメンチカツをトッピングした「格之進メンチカツ熟成肉カレー」を販売している。

グルメイベントの融合

第二に、ハイスペック型グルメイベントとしての位置づけを考慮した。近年、各地でグルメイベントが行われており、たとえば「ラーメンショー」「肉フェス」など、料理を単一の方向に絞ったタイプも多く開催されている。それらを融合したような意味合いを考慮したのが今回だ。

たとえば、全国のラーメンイベントに出店し、数々の記録を塗り替えた人気店である「麺屋 宗」が、唯一のラーメン店、いわば全国のラーメンイベントの代表として出店した。鶏と魚介のうま味を閉じ込めたスープに、こだわりの塩をブレンドした、スッキリとしながらも奥行きのある「金色香味塩らぁ麺」を販売している。


「西麻布 けんしろう」の「必殺!! けんしろうステーキ丼」(筆者撮影)

また「肉フェス」でも絶大な人気を誇る、高級焼肉割烹の「西麻布 けんしろう」も出店。唯一無二の料理として君臨する「けんしろう焼き」を、「必殺!! けんしろうステーキ丼」として販売している。

第三に、料理の多角化だ。単一の料理にこだわったイベントももちろん魅力的だが、今回のように、あくまで自動車、二輪車などがメインのイベントに付随したグルメイベントにおいては、料理を絞るよりも拡充したほうが、集客に結びつきやすい。そこで、今回は肉、魚、野菜といった食材の方向性、肉料理、丼、麺料理、ピッツァ、カレー、焼小籠包、ハンバーガー、サンドイッチ、スイーツといった料理の方向性も重視した。


「Shangri-La’s secret」の「秋香るキノコのブラックスープ&トリュフの和牛リゾット」(筆者撮影)

第四に、初登場の充実。各種イベントを見ていると、同一の飲食店が毎年、または各地で出店していることに気づく。だが、そのようなグルメイベントに出店していない飲食店が初出店することは特に目玉店舗となる。たとえば六本木の「Shangri-La’s secret」は、イベント初登場。「秋香るキノコのブラックスープ&トリュフの和牛リゾット」を販売している。


ほぼ日替わりで全国の有名ピッツァ職人も登場(筆者撮影)

今回のイベントでは既存の店舗ではなく、料理の協会が自ら出店するという超目玉ブースも。それがナポリに本部を置く、イタリア政府「真のナポリピッツァ協会」。全国から集まる人気ピッツァ職人が毎日薪窯でマルゲリータなどを焼くという驚愕のブース。ほぼ日替わりで全国の人気店が同じマルゲリータというメニューを作るが、それぞれに味、仕上がりが違うという話題ぶりだ。


「飄香(ピャオシャン)」の「汁あり担担麺」(筆者撮影)

第五に、店舗で味わえない、今回のイベント用のメニューを出品した点だ。たとえば井桁良樹氏がオーナーシェフを務める四川料理の「飄香(ピャオシャン)」は、通常では汁なし担担麺のみだが、会場では「汁あり担担麺」を提供。痺れや辛さも好みで調節可能にした。また、上述の「Shangri-La’s secret」のリゾットもイベント限定の1杯だ。

屋内スペースで飲食可能なスペースも計算

各種屋外型イベントの成功は天候の良しあしに左右されがち。今回のグルメイベントも屋外型だが、天候が悪くても、購入後はすぐに屋内へと移動でき、「TOKYO CONNECTED LAB 2017」の会場前のいすもある広い屋内スペースで料理を味わうこともできたり、屋外も雨の当たらない、ひさしのあるスペースを利用が可能なことも重要なポイントだ。

昨今のグルメブームにより各種イベントでもグルメブースは必ずといってよいほど設置されるが、そこには成功と失敗の両極端な結果が存在する。今回の東京モーターショーのグルメイベントははたしてどちらの評価が下るか。来場者の反響が、次回以降の材料となるだろう。