旦那と一緒に家事・育児を回すには? ガチで考える【後編】

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表題のテーマについて、前編では≪真剣に離婚を2回考えたことがある私の家庭の「ダメだった点」→「改善に向かう道筋」→「改善のための心構え(夫婦編)」≫という流れでお伝えをした。

旦那と一緒に家事・育児を回すには? ガチで考える【前編】
http://mamapicks.jp/archives/52227971.html


後編では「改善のための心構え(妻編)」→「具体的な案」→「今の私の状態」と話を進めていく。

■改善のための心構え(妻編)


実母が完璧な専業主婦だったからなのか、私は「家事も育児も全部できる」と思い込んでいた。その理想と現実の違いが、辛さの原因にもなりそうだ。

●「家族も好きだけど、自分も好き」と肯定する
「良妻賢母」な母親は「自己犠牲+無償の愛情を家族にそそぐもの」みたいなイメージがあるだろう。でも、結婚・出産するまで社会に出てそれなりに働いて、評価と報酬をオノレで得ていた人からすると、それは自己の空洞化を意味すると思う。だから、自分を否定されたように感じて、辛くなるのだと。

だったら、開き直って、家族も自分も同じくらい好き、としてしまった方が健全である。
家族も自分も大事にして、笑っていれば、家庭にハッピーな空気が広まるだろう。

(一方で、私はそれを子どもたちにも伝えているのだが、たまに反発を食らう……。母親たるもの、子どもを最優先に一心に愛さないといけないらしい。どこでその価値観をもらってきたのだろう……)

●育児と家事はフェーズごとに取捨選択をする
「母親たるもの、家事も育児も仕事もきっちりこなしたい」そういう意識を持っているお母さんは、実のところけっこう多いのではないかと推測する。

だが、独身時代だからできたこと(例えば隔日で掃除)、子なし結婚時代だからできたこと(例えばおかず3品)、子ども一人だからできたこと、二人だからできたこと……と環境は変わっているのに、同じことを同じ時間とコストで達成できるはずはない。

そして残念ながら、数年でいきなり家事育児のスキルなんて伸びない。ここをよく肝に銘じる必要がある。

「今までと同じ状態を達成するために、自分の時間と労力を投資する必要はあるのか?」

を問いながらやる・やらないの仕分けをしていいのではないか。
(なのでウチは掃除の回数を減らし、劇的に家が汚くなった。しかし、それでよい。)

そして言っておきたいのが、この状態をお母さん自ら、そしてメディアがうっかり「手抜き」と表してしまうことだ。

「家事は手抜きで」なんて書いてる雑誌も私からしたら、立派に手を出しているから手抜きではない。

いいですか!奥さん、手をかけないで勝手にキレイになる部屋なんてないんですよ!(ルンバだって手入れが必要。からまった髪の毛を取るのが一苦労!)

つまり「手抜き」とは、単なる自虐、言葉のアヤであることを知っておく必要があり、現場に手を入れる余裕がなくても自分を責めないで良いと思うのだ。あくまで家事の取捨選択の結果、掃除より皿洗いが大事と判断して、掃除が行き届いていないだけなのである。「家事リテラシーが高い」と言いかえておこう。

●「母親の自己犠牲=愛情」ではない
♪母さんが夜なべをして、手袋編んでくれた〜(哀愁)
この昭和な世界もいいが、私なら100均で手袋を買う。

最近読んだ本『母と娘はなぜこじれるのか』(NHK出版)によると、母親が家族に尽くして幸せを得られるタイプでなければ「夜なべ手袋」的行動をしないほうがいいようで、深く深く同感した。

なぜなら、納得しないで自己犠牲をしてしまうと、子どもへの「労苦の押しつけ」が懸念されるからだ。

「私(母親)はあなたのために苦労したのだから、(子ども)はもっと〇〇するべき」というよからぬ心が湧いて出るかもしれない。

これを子どもにぶつけると、どうやら流行りの「毒母」になっていくらしい……あなたが無償の尽くしに対価を求めない「聖母」ならOKだと思う。

これと関連して、今の子育てはこぞって「子どもを一人の人格者として対等に扱え」と言う。ならば「母親に偏重した家事・育児を求めるな」と言いたい。母親と父親が対等な一人格でない家庭で、親と子が対等な立場になれるワケはないだろう。

そして、子どもへの愛情表現は「こんなに尽くしてアゲル」という自己犠牲で「察してもらう」のではなく、子どもの目を見て、「大好きだー!」と抱きしめた方が伝わるのではないだろうか。大人である夫が察せないんだから、子どもはもっと察せない。

●母親はやりたいことが「本当にできないのか?」と考えてみる
とはいえ、お母さんたちは立場上やはりどうしても、一歩ひいてしまうことがあるだろう。
「飲みに行きたい、買い物に行きたい、学びたい」と思って、すぐ実行できるちびっ子の母さんは少ない。

しかしここでひるんではいけない。私は脇汗をかきながら、「えいやっと夫に稟議書を出す」ようにしている。「やりたいです!」を表明するのはタダ。共同経営者(夫)から決済が下りなかったらあきらめる。

これまた育児界でまかり通る「子どものやる気を伸ばす」教育をしたいのなら、自分のやる気を解放して知識を深め、スキルを伸ばしたい。アラフォーだって発展途上(体力以外は)。背中で語れる母さん、かっこいいと思うんだけど!

■具体的な夫婦協力案


さて、ビジネスシーンではプロジェクトや運営を成功させたいとき、「PDCA」(=Plan/計画 → Do/実行 → Check/評価 →Act/改善)の繰り返しがカギを握るといわれている。

つまり、他人どうしがひとつの物事を成し遂げるときに有効な手段といわれているので、夫婦にもざっくりこの感覚が要るなあと思っている。

え、ロマンがない?
そうなのだ、どうやらロマンは分娩室に置いてきたらしい。

というわけで、実際に成功・失敗したものを記すので、家庭のカラーによって参考にしてほしい。

1.話し合い(時間がないので、おもにLINE)
前項の心構えを共有しながら話し合えば、本来はだいたいのことに納得した結論が出るはず。でもその時間がない場合は、LINEで会議。「私は、〇〇したい!」などの稟議もここに提出し、話し合う。といっても、夫はだいたい「OK」なので、2往復で終わったりする。

2.話し合いの席についてくれない場合は、壊れる
前回告白したように、私は何度か噴火する。すると夫に緊急度が伝わる→解決という流れができている。そこで、夫に確実に伝えたい場合は、あえて壊れてしまうことも手だ。
泣く、わめく、叫ぶなど、童心にかえって感情を爆発させてもいいし、LINEなどで辛さを送るのもいいだろう。

私は第二子妊娠中のツワリ時に、第一子のイヤイヤ期がピークに達していた。で、夫が長期の海外出張中に限界を超え、メッセンジャーで「もう無理」と50回連続で送信したところ、夫にヤバさがくっきり伝わった。

3.家事の見える化
これは、合う家庭とそうでない家庭があるだろう。
まず、「見える家事・見えない家事」まですべてを紙に書いていく。例えば、朝は「ゴミを集める」「ごはんをつくる」「食器を洗う」「ゴミを捨てる」「あまったごはんを冷凍する」なども含める。

すると、無数のタスクを可視化でき、これを潰していくという共通の認識ができる。そこから担当を決めるというもの。なお我が家の場合、タスクを見ること自体に嫌気がさすというぐうたら気質のため、不採用としている。

4.育児の見える化
家事と同様に、子育てのやるべき項目を書きだす。保育園・幼稚園によって変わってくると思うが、これも単に送り迎えだけでは済まされない。ひらがなの練習、歌の練習、絵本の読み聞かせ、箸の練習などなどなど。

我が家はこれらをタスクと捉えると楽しくないと考え、私がざっくりと行っている。ひらがなは息子(年中児)の気がむいたら市販のドリルをやり、歌は風呂で、絵本は寝る前に読むといったような感じ。娘(2歳)は上の子を真似て、なんとなく何かができるようになっていく。

文字の練習に関しては、帰りの遅い夫のために、夕飯の現物+息子が書いたメニュー(例:さばしおせっと等)の写真を送るということをしていた。息子はパパに見てもらうとやりがいがあり、パパもほほえましい気持ちになれるのでおススメだ。

▼その他細かいテクニック
・保育園の緊急連絡先を夫にする
→先進的なママ友に教えてもらったもの。残念ながら我が家は私が在宅のため、第一連絡先は私である。

・ママ友の旦那さんを見たら育児面をほめておく
→するとママ友から夫へ返ってくる。パパは他のママから褒められる方が効くらしい。これも同じママから教えをこうた。

・買い物は体力のある夫に。妻が行く場合は一人で。
→子連れの買い物ほど厄介なものはない。一人で行くと5倍は早く済むし、買い忘れも少ない。会社帰りの夫にもしばしば頼んでいる。

・おむつやおしりふきの買い足しは夫担当
→重いものは通販を利用し、自分の足腰をいたわる。我が家は通販サイトで買っているので、なくなりそうなときは夫に頼む。これは自分でやらないことがミソ。おむつの消費量を体感し、次は自発的にポチッてもらうのだ。

・休日の預け合い
→髪を切りたいとき、仕事をしたいとき、休息したいときなど、あらかじめ時間が欲しいときは、LINEで相談。

・交代でスキあらば休む
→休日をまんぜんと過ごしていると、大人は休めない。なので、どちらかが公園に連れ出して他方はその間休むなどの連携プレーが必要。

・お母さんが太陽でいるための休暇
→妻も夫と同様に休暇が必要。家族から数時間でも離脱すると、驚くほどリフレッシュできる。私は仕事が終わらないと、平日夜にPCをもってカフェへ逃げ、夜風にあたる。独身時代に当たり前だったことが、ワクワクすることになっているものだ。

■今の家庭内状況


我が家はママ友からおそらく「現代風の価値観の家庭」と思われていて、両親からは「夫(義理息子)の負担が大きくかわいそう」と思われている。

そうなのだ、わが夫ながらすごいと思う。
ガツッと仕事をしたあとに、とりあえず頼まれた家事はやる。もくもくとやる。きっと心を無にしてやっている。

この前は麦茶が切れたと思ったら、すでにやかんに新しいものができていて驚愕した。家事の当事者でないと、これはできない。夫はもう「ワインが〜(前編参照)」男子ではなく、麦茶パパになったのだ。

子育て面では、私が一日いなくても、2人の子どもの面倒を見られるレベルに達している。

そのおかげで私は、自分のキャリアを伸ばすためのエネルギーを徐々に獲得している。こちらも「いる」以外に貢献できるモノを増やさねばという気持ちになり、ようやく同じような場所から、同じ方向を見ることができてきたなあと感じるのだ。

ここまで何年かかったか……えーと、9年!? 軌道にのせるためにはそれなりの労力が要る。だが、二人で価値観の基礎を作っておくと、きっとこれからの「すり合わせ」と「トライ&エラー」はスムーズだ。お互いの人生でやりたいことを押し込めず、健全な家庭を運営できたらいいなと思っている。

斎藤貴美子
コピーライター。得意分野は美容・ファッション。日本酒にハマり、Instagramの#SAKEISAWESOMEkimikoで日本酒の新しい切り口とコピーを思案中(日本語&つたない英語)。これからの家族旅行は酒蔵見学。二児の母。