(写真)天井板の撤去工事時に撮影された笹子トンネル。作業員の足場になっているのが天井板で、上方の空間を左右に仕切っているのが隔壁板(国交省の調査・検討委員会の報告書から)

写真拡大 (全3枚)


 2012年に天井板が崩落して9人が犠牲となった笹子トンネル事故。事故原因を調べている専門家のグループがトンネル内部の高さを測ったところ、現場近くの天頂部が最大24センチ差の凸凹で波打っていることが24日までにわかりました。こうした凸凹が天井板落下の一因だった疑いがあります。(矢野昌弘)

 事故があった上り線トンネルでは、高さ制限超えのトラックが天井板と接触するトラブルが事故前に3回起きていました(本紙1月7日付既報)。特に2005年と08年の接触トラブルは、12年の事故で崩落した区間と重なります。

 崩落事故の区間は、路面から天頂部まで高さが10・2メートルある「L断面」です。同トンネルには「L断面」が2カ所あります。

東京側に集中

 接触トラブルが起きた地点は、出口寄りの東京側に集中しています。しかも、入り口寄りの甲府側では接触が「点」なのに、東京側では数百メートルにわたる「線」の接触です。

 この違いは何なのか。技術者などでつくる「笹子トンネルの真相を探る会」が4月、レーザー距離計で計測し、原因を調査しました。

 その結果、入り口寄りのL断面は、アンカーボルトを固定する天頂部が路面にほぼ水平だったことがわかりました。路面から天頂部までの高さが10・2メートルでほぼ保たれ、高低差は6・5センチでした。この区間は道路公団の資料によると、中堅ゼネコンの飛島建設が施工していました。

高さ保たれず

 ところが、出口寄りのL断面では高低差が24・2センチと、凸凹していることがわかりました。10・2メートルの高さに保たれておらず、10センチも下がった箇所があり、天頂部が波打つようになっていたのです。大手ゼネコン、大成建設が施工しました。

 調査した大阪経済大学の西山豊教授は「寸法を調整せずに天井板を取り付けたとするなら、天頂部が沈下した区間では天井板が下がっていたと考えられる」と指摘します。

 こうした低い位置にある天井板が、トラックと接触。その衝撃が天井板を吊り下げるアンカーボルトを損傷させ、崩落につながったのではないかと西山教授らはみています。

 西山教授は「天井板崩落は予知できた。原因には、中日本高速の点検ミスだけでなく、トンネルの設計・施工ミスの可能性がある。私たちの調査でも、ここまで解明できた。国交省や中日本高速には本格調査を求めたい」と強調します。

 大成建設は本紙の取材に「刑事告発をされていることですので、当社からのコメントは控えさせていただきます」と回答しました。

 国交省高速道路課は「調査が行われたことは認識している。国交省としては、有識者の検討委員会でアンカーボルトの経年劣化が原因と結論づけられ、天井板撤去も完了しており、再調査する考えはない」と答えました。

 L断面 笹子トンネルは、区間によってS、M、Lと高さが違います。事故前は、天井板で上下に仕切り、上側は換気ダクトでした。下側の道路空間は高さ4・7メートルで一定ですが、上側は区間によって高さが違います。最大のL断面は、天井板から天頂部までの高さが5・3メートルあり、他の断面より2メートル近く高くなっています。そのためL断面の点検には足場が必要ですが、中日本高速はそれを怠り、打音検査などを12年間しませんでした。