ハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)、クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino) photo : Getty Images

長年にわたるセクハラ行為を告発されたプロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン。彼の秘蔵っ子クエンティン・タランティーノ監督がセクハラ行為を知っていたことを明らかにした。

今週初めに友人で女優のアンバー・タンブリンを介して「痛みや感情、怒り、思い出を整理するのにあと数日必要だ。それから公式に声明を発表したいと思う」と発表していたクエンティン・タランティーノ。どうやらダメージのもっとも少ない発表方法をようやく思いついたようで、10月19日(木)の新聞「ニューヨークタイムズ」のインタビューでワインスタインのセクハラについて語った。

「自分がこれまでにとってきた行動以上のことをするべきだとがわかっていました」というタランティーノ。つまりワインスタインのセクハラ行為に抗議するべきだと知りつつ、何もしなかったということ。「よくある噂話以上のものがありました。普通のゴシップ以上です。人から聞いたことではありません。僕は彼がそういうことをやっているのを知っていました」。

タランティーノは今では黙認していたことを後悔していると語る。「自分が聞いたことに対して責任を果たしていたらよかったと思う。そのとき僕がするべきだったのは、彼と仕事をするべきではなかったということです」。

クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)、ミラ・ソルヴィーノ(Mira Sorvino) photo : AFLO

ちなみにタランティーノの元恋人で女優のミラ・ソルヴィーノもワインスタインの被害者の1人。20年前以上に被害にあっていたことを先週告白していた。でもタランティーノはすでに事件当時、ミラから打ち明けられていたという。「僕はショックを受け、とても驚きました。彼がそんなにおおっぴらにそういうことをするなんて信じられませんでした。僕は『本当なのか?本当か?』って感じだった。そのとき、僕はハーヴェイが特に彼女に夢中になっていると考えました。人を操るような方法で彼女に固執しているのだと思っていました。彼はとてもミラに夢中になっていたから、超えてはいけない一線をひどく超えてしまったのだと」。またタランティーノは女優のローズ・マッゴーワンがワインスタインからセクハラを受け、示談で解決していたことも知っていたという。

それでもタランティーノはワインスタインと仕事を続けた。「僕はこれらの事件を無視しました。今僕が何を言っても、安っぽい言い訳にしか聞こえないでしょう」。また今回、ワインスタインのセクハラに関する報道を読んでも驚かなかったという。「ワインスタインの近くにいた人たちは、これらの事件を少なくともひとつは聞いたことがある。聞かなかったということはありえない」と、無視していたのは自分だけではないことを強調。

個性派監督として映画ファンから絶大な人気を獲得していたタランティーノ。ブラッド・ピットやティム・ロス、クリストフ・ヴァルツなど、彼と仕事をしたがる俳優も多い。今回の告白がタランティーノの今後に大きな影響を及ぼすのは間違いなさそう。

text : Yoko Nagasaka