Facebookが作った企業向けSNSの正体は? なぜFacebookではダメなのか?
Facebookは世界中で使われているSNSだ。しかし、ターゲットはあくまで個人ユーザーで、企業がそのまま使うことは難しい、そこで開発されたのが「企業用のFacebook」だ。
では、「企業用のFacebook」の正体は? ここでは、その詳細を説明しよう。
●企業がFacebookを業務で使うのは危険?
現在、Facebookは企業向けに「Workplace by Facebook」というSNSを提供している。次がその画面だ。
Workplace by Facebookの画面。見た目、機能はFacebookと似ている。
見てのとおり、個人向けのFacebookと見た目はとてもよく似ている。
文章や画像、動画を投稿できてライブ配信もできる。記事のシェアや、いいね!ができるのも共通だ。
機能も操作性も変わらないなら、個人向けのFacebookを、企業でもそのまま利用すればよさそうに思える。実際にFacebookを仕事で使っている企業もあるかもしれない。
しかし、現実に企業がFacebookを使いはじめると、根本的な問題に突き当たる。それは、次の2つだ。
誰とでもつながれる
ユーザーの活動が見えない。
Facebookは、友達申請し、相手が承認すれば誰とでもつながることができる。ユーザーがつながると、さまざまな情報をシェアできる。それは、個人にはとても便利だ。
ところが、企業にとってはそれがリスクになる。
誰とでもつながれるということは、社員が社外の人と自由につながれることを意味するからだ。
そのようなサービスでは、とても社内の機密情報や個人情報をやりとりすることはできない。
ユーザーの活動が見えないことも企業にとっては困る。
誰がどのようなグループを作って、誰とどんな情報をやりとりしているのかがわからないと、そもそも社員が仕事をしているのかどうかさえも確認できない。
もっと困るのは、情報漏洩などのトラブルが起きたときだ。
情報が漏洩したら、企業は必ず原因究明と再発防止を求められる。
ところが、ユーザーの活動がわからなければ、原因も追及できないし、対策も立てようがないからだ。
以上から、企業が業務でFacebookを利用するのは非常に危険なのだ。
というわけで、その問題を解決したSNSが求められた。
それが、Workplace by Facebookだ。
その特長は、次の2つである。
特定の人とだけつながれる。
ユーザーの活動が見える。
なお、Workplace by Facebookには、有料版の「Workplace Premium」と無料版の「Workplace Standard」の2種類がある。
無料版のStandardは、必ずしも上記2つの条件を満たしていないので、以下では、有料版の「Workplace Premium」を前提に説明しよう。
●ユーザーが同一ドメインに限られ、管理者がいるのがWorkplaceの特徴
Workplace by Facebook(以下、Workplace)は、企業単位で申し込み、利用する。
1つのWorkplaceを利用できるのは、原則として同じドメインに属しているユーザーだけだ。
この場合のドメインとは、メールアドレスの「@」以降の部分のこと。
たとえば、「inoue@xxx.co.jp」というメールアドレスなら「xxx.co.jp」を指す。
同じ会社のユーザーは、同じドメインのメールアドレスを使っているので参加できるが、それ以外の無関係な人は参加できない。
会社の人とは自由につながれるが、それ以外の人とはつながれない仕組みになっているのである。
もう1つの特徴が、「管理者」が存在していることだ(無料版の「Standard」にはこれがない)。
そして、管理者は自分が管理しているWorkplaceのメンバーとその活動を、必要に応じて確認・管理できる。
Workplaceを利用するメンバーを追加・削除したり、誰がどんなグループを作って、どんな情報をやりとりしているのか調べたりできるので、企業は安心して利用できるのだ。
Workplace by Facebookの管理者が利用する管理画面。利用するメンバーを管理できる。
管理者は、メンバーのWorkplace上での活動を確認することができる。
なお、1つのWorkplaceを利用できるのは、同じドメインに属しているユーザーだけだが、管理者が設定すれば、別のドメインを追加することもできる。
これにより、たとえばドメインの異なるグループ会社の社員も1つのWorkplaceに参加することができる。
●基本的な仕組みはグループを中心とした情報共有
Workplaceのもう1つの特徴であり、Facebookとの大きい違いが「グループ」が重要な役割を持っていることだ。
Facebookでもグループを作って仲間だけで情報を共有できるが、必要がなければグループを作る必要はない。
これに対して、Workplaceではグループを作り、そこに参加しているユーザーと情報を共有するのが原則となる。
・プロジェクトごとのグループ
・部門のグループ
・趣味・サークルのグループ
など、ユーザーはグループを自由に作ることができる。
もちろん、別のユーザーが作ったグループにも参加できる。
グループを公開/非公開にすることも可能だ。
さらに、異なる会社間で共有グループを作る機能も用意されている。
筆者は現在、Workplaceを実際に使っているが、最も戸惑ったのが「グループ」だった。しかし、グループの扱いに慣れてしまえば、それ以外はFacebookと大差はない。
なお、WorkplaceはWebブラウザ版のほかに、iOS版/Android版のアプリも提供されている。ただし、管理者として利用する場合は、Webブラウザ版を使う必要がある。
Workplaceはグループを作って情報共有する。画面は作成するグループの種類を設定しているところ。
スマートフォン用のアプリも提供されている。
●利用料金は?
気になる料金は、次のように設定されている。
・月間アクティブユーザーが1000人まで……1人あたり月額$3
・次の9000人……1人あたり月額$2
・月間アクティブユーザーが10000人を超えた場合……1人あたり月額$1
月間アクティブユーザーとは、過去30日間にWorkplaceにアクセスしたり、通知を受け取ったりしたユーザーとされている。
なお、90日間の無料体験期間も用意されているので、気になる企業は試してみてはいかがだろうか。
・ Workplace by Facebook
井上健語(フリーランスライター)
では、「企業用のFacebook」の正体は? ここでは、その詳細を説明しよう。
●企業がFacebookを業務で使うのは危険?
現在、Facebookは企業向けに「Workplace by Facebook」というSNSを提供している。次がその画面だ。
Workplace by Facebookの画面。見た目、機能はFacebookと似ている。
見てのとおり、個人向けのFacebookと見た目はとてもよく似ている。
文章や画像、動画を投稿できてライブ配信もできる。記事のシェアや、いいね!ができるのも共通だ。
機能も操作性も変わらないなら、個人向けのFacebookを、企業でもそのまま利用すればよさそうに思える。実際にFacebookを仕事で使っている企業もあるかもしれない。
しかし、現実に企業がFacebookを使いはじめると、根本的な問題に突き当たる。それは、次の2つだ。
誰とでもつながれる
ユーザーの活動が見えない。
Facebookは、友達申請し、相手が承認すれば誰とでもつながることができる。ユーザーがつながると、さまざまな情報をシェアできる。それは、個人にはとても便利だ。
ところが、企業にとってはそれがリスクになる。
誰とでもつながれるということは、社員が社外の人と自由につながれることを意味するからだ。
そのようなサービスでは、とても社内の機密情報や個人情報をやりとりすることはできない。
ユーザーの活動が見えないことも企業にとっては困る。
誰がどのようなグループを作って、誰とどんな情報をやりとりしているのかがわからないと、そもそも社員が仕事をしているのかどうかさえも確認できない。
もっと困るのは、情報漏洩などのトラブルが起きたときだ。
情報が漏洩したら、企業は必ず原因究明と再発防止を求められる。
ところが、ユーザーの活動がわからなければ、原因も追及できないし、対策も立てようがないからだ。
以上から、企業が業務でFacebookを利用するのは非常に危険なのだ。
というわけで、その問題を解決したSNSが求められた。
それが、Workplace by Facebookだ。
その特長は、次の2つである。
特定の人とだけつながれる。
ユーザーの活動が見える。
なお、Workplace by Facebookには、有料版の「Workplace Premium」と無料版の「Workplace Standard」の2種類がある。
無料版のStandardは、必ずしも上記2つの条件を満たしていないので、以下では、有料版の「Workplace Premium」を前提に説明しよう。
●ユーザーが同一ドメインに限られ、管理者がいるのがWorkplaceの特徴
Workplace by Facebook(以下、Workplace)は、企業単位で申し込み、利用する。
1つのWorkplaceを利用できるのは、原則として同じドメインに属しているユーザーだけだ。
この場合のドメインとは、メールアドレスの「@」以降の部分のこと。
たとえば、「inoue@xxx.co.jp」というメールアドレスなら「xxx.co.jp」を指す。
同じ会社のユーザーは、同じドメインのメールアドレスを使っているので参加できるが、それ以外の無関係な人は参加できない。
会社の人とは自由につながれるが、それ以外の人とはつながれない仕組みになっているのである。
もう1つの特徴が、「管理者」が存在していることだ(無料版の「Standard」にはこれがない)。
そして、管理者は自分が管理しているWorkplaceのメンバーとその活動を、必要に応じて確認・管理できる。
Workplaceを利用するメンバーを追加・削除したり、誰がどんなグループを作って、どんな情報をやりとりしているのか調べたりできるので、企業は安心して利用できるのだ。
Workplace by Facebookの管理者が利用する管理画面。利用するメンバーを管理できる。
管理者は、メンバーのWorkplace上での活動を確認することができる。
なお、1つのWorkplaceを利用できるのは、同じドメインに属しているユーザーだけだが、管理者が設定すれば、別のドメインを追加することもできる。
これにより、たとえばドメインの異なるグループ会社の社員も1つのWorkplaceに参加することができる。
●基本的な仕組みはグループを中心とした情報共有
Workplaceのもう1つの特徴であり、Facebookとの大きい違いが「グループ」が重要な役割を持っていることだ。
Facebookでもグループを作って仲間だけで情報を共有できるが、必要がなければグループを作る必要はない。
これに対して、Workplaceではグループを作り、そこに参加しているユーザーと情報を共有するのが原則となる。
・プロジェクトごとのグループ
・部門のグループ
・趣味・サークルのグループ
など、ユーザーはグループを自由に作ることができる。
もちろん、別のユーザーが作ったグループにも参加できる。
グループを公開/非公開にすることも可能だ。
さらに、異なる会社間で共有グループを作る機能も用意されている。
筆者は現在、Workplaceを実際に使っているが、最も戸惑ったのが「グループ」だった。しかし、グループの扱いに慣れてしまえば、それ以外はFacebookと大差はない。
なお、WorkplaceはWebブラウザ版のほかに、iOS版/Android版のアプリも提供されている。ただし、管理者として利用する場合は、Webブラウザ版を使う必要がある。
Workplaceはグループを作って情報共有する。画面は作成するグループの種類を設定しているところ。
スマートフォン用のアプリも提供されている。
●利用料金は?
気になる料金は、次のように設定されている。
・月間アクティブユーザーが1000人まで……1人あたり月額$3
・次の9000人……1人あたり月額$2
・月間アクティブユーザーが10000人を超えた場合……1人あたり月額$1
月間アクティブユーザーとは、過去30日間にWorkplaceにアクセスしたり、通知を受け取ったりしたユーザーとされている。
なお、90日間の無料体験期間も用意されているので、気になる企業は試してみてはいかがだろうか。
・ Workplace by Facebook
井上健語(フリーランスライター)