水卜アナが朝も底力を発揮(公式HPより)

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 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、日テレの朝の顔にシフトした水卜アナのポテンシャルに注目。

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「好きな女性アナウンサーランキング」4連覇中で、今年、殿堂入りを控えるのが日本テレビの「水卜ちゃん」こと水卜麻美アナウンサーだ。

 その水卜アナが10月2日から、同局8時からの『スッキリ』のMC陣に加わって一週間が過ぎた。まだ視聴率に大きな変化はないが、菊川怜が卒業した『とくダネ!』(フジテレビ系)のスタジオがややバタついていることもあり、今後、いい勝負が繰り広げられるのではないだろうか。

 実は、同時間帯の民放ワイドショー視聴率は、1位が『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)、2位が『とくダネ!』(フジテレビ系)で、『スッキリ』は3位が定位置となって久しい。

 加藤浩次にハリセンボンの近藤春菜を加えた時点で、日テレの狙いはF3(50才以上の女性)からF2(35〜49才の女性)やF1(20〜34才の女性)にシフトしたワケで、将来のことを考えれば、それは正しい選択だった。

 が、人口ピラミッドで圧倒的に数が多いのはF3というのは厳然たる事実。因って「世帯視聴率」は、一日を通じて圧倒的にF3層に強いテレビ朝日へと流れて行ったのである。

 水卜アナの前任の岩本乃蒼アナも決して悪くはなかった。爽やかで朝にピッタリのルックスの岩本アナは、学生時代、アミューズに所属し、『non-no』の専属モデルをしたり、『ZIP!』に出演したりしていた、日テレには珍しい“タレント”タイプの女子アナだ。

 今夏は『24時間テレビ』でチャリティーランナーのブルゾンちえみに併走し、知名度も好感度も上昇させたというが、実力や人気で言ったら、水卜アナにはまだまだ敵わない。しかも、加藤、近藤、岩本アナの3ショットは、なんとも軽く、そして若過ぎたものである。

 そんなことから、満を持しての水卜アナ登板となったのだが、内外から心配の声がゼロだったワケではないらしい。

 まずは入社2年目から『ヒルナンデス!』を担当してきた水卜アナは、バラエティ色が付きすぎているのではないかという心配だった。日テレでも、あまりにもバラエティに慣れ過ぎてしまって、他の番組をやりづらくなった宮崎宣子アナや脊山麻理子アナという“前例”がいた。結果、二人ともフリーになって頑張ってはいるが、局アナ時代に、アナウンサーとしての仕事や勉強をどれだけ幅広くやれただろうかといえば、「完璧」ではなかっただろう。

 だが、水卜アナの場合、メーンは『ヒルナンデス!』だったが、『24時間テレビ』の総合司会を任されたり、スポーツ中継のリポーターやニュース番組など、実はバランス良く担当していたのである。

 それでも、まだ心配はあったようだ。そもそも水卜アナの知名度を劇的にアップしたのは「大食い」と「ぽっちゃり」。女子アナらしからぬキャラクターと、その親しみやすいルックスで「好きな女性アナウンサー」第一位に輝いたので、「食リポをやらない水卜アナ」に、どこまで数字があるのか?ということだ。

「好きな女性アナウンサーランキング」でライバルの加藤綾子や夏目三久のように画面の中央に立つだけで数字があるのか。はたまた、田中みな実のように、良くも悪くもチャンネルを留めさせる力が水卜アナにあるのか、という心配だ。

 件の人気女子アナらと水卜アナの違いは一目瞭然。華やかで男性ウケする女性アナウンサーに水卜アナが勝てる点は、「女性に嫌われない」という、やや消極的な理由。なので、番組の起爆剤になるのか否かは未知数だったというワケだ。

 が、そんな心配は無用だった。いや、そうした心配を跳ね返すほどの“アナウンサー力”が水卜アナにはあるのだということが、『スッキリ』出演の初週でよくわかった。

 まずは見た目の安定感だ。タレント同様、小顔が全盛の女子アナ界にあって、水卜アナは立っていても座っていても、その顔に“存在感”がある。愛嬌あるルックスと体形は、F3やM3が「息子の嫁にしたいタイプ」に間違いない。他の在京民放局を眺めてみても、近年、この年代でこのタイプの女子アナは皆無なのだ。

 そして、水卜アナは、表情を場面によってガラリと変えてくる。ワイプをきられた瞬間から完璧な表情で、ナレーションの文言に小さく頷いたり、VTRに驚いたり、くるくる表情を変える水卜アナ。しかも、いとうあさこに代表される“ワイプ芸”とは異なり、アナウンサーの範疇をキッチリ守っているものなのだ。

 同じ女子アナでも、『スッキリ』のコメンテーターで、既にタレントになって久しい高橋真麻のワイプ内の表情はもっと大げさだし、眉間にシワを寄せたり、口を尖らせたり、「ありえない!」というような顔もよくする。真麻の場合、ともすると、それらに、わざとらしさが感じられることもあるのだけれど、水卜アナに、そうした部分はゼロ。

 さらに、「日本テレビアナウンサー」という立場をしっかりわきまえているので、加藤浩次や近藤春菜に多少きついツッコミをされても、タレント的なリアクションをすることもないし、『ヒルナンデス!』で多発していた“アクション”もしっかり封印してきたのである。

 阿部祐二を始めとしたリポーター陣や気象予報士など、“出入り業者”にも、水卜アナは「出ていただいている」という姿勢で彼らに礼儀正しく接する。もっとも驚いたのは、出演者全員が厳しくツッコむ月〜木の「天の声さん」(山里亮太)に対しても水卜アナは終始丁寧で、コーナー終わりに一人、頭を下げるのだった。

 新卒で各局のアナウンサー試験を受けた際、唯一、手を挙げてくれた日テレに心から感謝し、「他局は見ない」とも言っていた水卜アナの愛社精神は元々高かったが、ここまで人気アナに成長しても尚、低姿勢で、局アナという立場をわきまえているのは立派すぎるだろう。

 今夏の『24時間テレビ』の番宣を兼ねて、『1周回って知らない話』のゲストにやってきた水卜アナが、大先輩の徳光和夫や羽鳥慎一と同じぐらい『24時間テレビ』についての知識が豊富で、深い愛情をもっていたことにも驚かされた。

 だが、徳光アナが解説する初回のエピソードや大物ゲストの歴史などには、スタジオに居る10代、20代の“イマドキの視聴者”と同じように大きなリアクションをし、「もっと知りたくなりました」「この先も見てみたいという気持ちになりました」と自身の役割を120%理解し、前のめりで番組に参加する水卜アナ。

 見た目でずいぶん得をしているのかもしれないが、過去の日テレのスター女子アナ、例えば笛吹雅子アナ、永井美奈子アナ、関谷亜矢子アナ、馬場典子アナ、西尾由佳理アナらの一生懸命さや前のめり感ともまた一線を画す水卜アナなのだった。

 そうかと思えば、「水卜会」なる食事会や飲み会を定期的に開き、男子でも女子でも後輩アナを招き、相談にのったり、アドバイスをしたりしている姉御肌的な面もある。

 最近は共演する芸人やタレントから二言目には「いつフリーになるの?」と聞かれる水卜アナだが、彼女に限っては、ならないのではないか。ここまで日本テレビを愛し、出過ぎることもなければ偉ぶることもなく、どんなネタが飛び込んできても真摯に取り組み、局アナとしてのルールを守りながら伝え続ける水卜麻美アナは、タダモノではない、女子アナの中の女子アナなのかもしれない。