秋のGI戦線に向けて、重要なステップレースとなるGII毎日王冠(東京・芝1800m)が10月8日に行なわれる。今年も、オークス馬のソウルスターリング(牝3歳)をはじめ、安田記念を勝ったサトノアラジン(牡6歳)、昨年のダービー馬マカヒキ(牡4歳)など、注目馬が多く参戦し、見どころ満載のレースと言えそうだ。

 こうした実績のあるスターホースが顔をそろえ、ごまかしの効かないコース形態ということもあって、穴党には手を出し難いレース、というイメージがある。しかし、このレースの歴史を振り返ってみると、たびたび波乱が起こっていることがわかる。

 過去10年の成績を見ても、3着以内に10番人気以下の大穴が飛び込んできたケースが5度もある。とりわけ荒れたのは、2014年。8番人気のエアソミュール、11番人気のサンレイレーザー、5番人気のスピルバーグという順で決まって、3連単の配当は38万8350円にも達した。

 3連単の配当が30万を超えたことは、他にも2回ある。イメージとは裏腹に、意外と波乱が起きやすいレースと言える。ならば、今回も過去10年の結果を参考にして、狙える穴馬をピックアップ。高配当ゲットを目指していきたい。

 まず、ひとつのポイントになるのは「夏場も順調に使われてきた馬」であること。

 その後のGIを目指す有力馬にとって、ここはあくまでも”叩き台”。夏場は休養して、このレースが始動戦となることが多い。そのため、休み明けで状態がまだ万全でないことがある。

 その隙を突くのが、夏場のレースを使われてきた馬たち。良好なコンディションの強みを生かして、上位に割り込んでくることがよくあるのだ。

 前述した2014年のエアソミュールとサンレイレーザーも、それぞれ夏の重賞を使っていた。前者はGII札幌記念(5着。札幌・芝2000m)、後者はGIII関屋記念(7着。新潟・芝1600m)に出走。いずれも結果は出せなかったが、夏場にひと叩きしたことが毎日王冠で功を奏したのだろう。

 また、6番人気の低評価を覆(くつがえ)して2着に入った2013年のジャスタウェイも夏の関屋記念に出走。そこで2着と結果を出して、毎日王冠での好走につなげている。

 さらに、2007年に8番人気で金星を挙げたチョウサンも、夏場に休みなく使われて9月上旬の条件戦を勝ってオープン入り。その勢いに乗って、この舞台でも連勝を飾っている。

 まさに、使っている強みが生きるレースであり、そういう馬たちがここで波乱を演出する穴馬候補となり得る。

 今年、その候補となるのは、アストラエンブレム(牡4歳)だ。

 同馬はGIII新潟記念(2着。9月3日/新潟・芝2000m)を経て、ここに挑んでくる。春から好調を維持しており、前走からおよそ1カ月という間隔も悪くない。

 近3走はすべて2着。詰めの甘さは感じられるものの、逆に言えば、必ず上位に来る力があるということ。状態面のよさが後押しとなれば、悲願の重賞初制覇を果たしてもおかしくない。

 夏場に使われてきた馬としては、ヤングマンパワー(牡5歳)も面白い存在だ。

 前走の関屋記念(8月13日)は4着と敗れたものの、勝ち馬とはコンマ3秒差と、内容的には決して悪くなかった。先述のエアソミュールやサンレイレーザーにしても、前走では結果を残せなかったが、それなりの競馬を見せて使ってきた強みをここで生かしている。

 また、エアソミュールとサンレイレーザーは、波のあるタイプではあるが、もともとオープン特別や重賞での好走実績があった。それは、ヤングマンパワーも同じ。2走前のGI安田記念(6月4日/東京・芝1600m)では16着と大敗しているものの、その前にはGIIマイラーズC(4月23日/京都・芝1600m)で3着と奮闘している。

 そもそも重賞3勝の実績を持つヤングマンパワー。甘く見るのは禁物だろう。

 穴馬候補としては、もうひとつ「3歳馬」という要素もある。過去、3歳馬が波乱の立役者となっていることが結構あるのだ。

 代表的なのは、2010年。1着アリゼオと2着エイシンアポロンはともに3歳馬で、前者が6番人気、後者が8番人気の伏兵だった。

 前述のジャスタウェイも、2012年に2着となったときは3歳時。そのときは、12番人気の大穴だった。

 この3頭は、3歳春のGIでは大敗を喫していた。その分、人気を落としていたが、伸び盛りの3歳夏。休養中に成長した能力が、休み明けでいきなり示されたのだろう。

 とはいえ、休養中の成長だけで、古馬相手の重賞で好結果が出せるはずもない。3頭はそれ以前に重賞を制したことがあり、いずれも高い資質を秘めていたのである。

 そこで今回、目に止まったのが、ウインブライト(牡3歳)である。


3歳馬の中でも最も人気薄なウインブライトが狙い目

 同馬も、前走のGI日本ダービー(5月28日/東京・芝2400m)で15着と惨敗。今回はそれ以来のレースとなり、人気は上がりそうもない。しかし、この馬もGIIスプリングS(3月19日/中山・芝1800m)を制覇。能力の高さの裏付けはある。

 しかもウインブライトにとって、今回の1800mはベストの距離。もし休養中に飛躍的な成長を遂げていれば、強豪古馬たちをアッと言わせるような走りを見せるかもしれない。 はたして、今後のGI戦線に向けて、実力馬たちがその力を見せつけるのか。それとも、夏を経て、思わぬ馬の台頭があるのか。”前哨戦”でこそ味わえるレースの面白味を存分に堪能したい。

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