プレミアムフライデーは、企業にどれぐらい浸透しているのだろう。

 僕の周りでは、15時に帰るのは難しいとの声を聞く。いつもよりちょっと早めに帰るとか、残業をしないで定時に帰るぐらいかな、という人が多い。

 15時に退社できなくても、17時や18時に帰途へ着く。それならば、スポーツ界にとってもプレミアムな価値が生まれてくる。金曜日のリーグ戦開催が、現実的になってくる。

 サッカーJリーグの場合、平日のナイトゲームは歓迎されない。会社員も部活生も、19時のキックオフにスタジアムへ着くのは難しいみなされるからだ。

 ハーフタイムから入場できる割安のチケットを販売するクラブもあるが、有効な解決策となっていない印象がある。ハーフタイムからの観戦を考えるような人なら、試合経過をスマホなどでチェックしているはずで、前半のうちに大勢が決したり、応援するクラブがリードされていたりすると、スタジアムへ足は向かないだろう。

 プレミアムフライデーの当日なら、キックオフの瞬間をスタジアムで迎えられる社会人が増えそうだ。チケットの金額を少し安くするといった付加価値も、プレミアムフライデーとのセットで高まると予想される。

 ラグビーのトップリーグは、金曜日のナイトゲームを取り入れている。東京都内の秩父宮ラグビー場で、通常の金曜日は19時半開始で1試合を、プレミアムフライデーは17時と19時半からのダブルヘッダーを、それぞれ開催している。

 秩父宮の立地の良さもあって、観客の入りは悪くない。堅調だ。土曜と日曜のゲームよりも、スタンドが埋まることもある。観客動員がカードで左右されるところはあるものの、ラグビーファンからそれなりの支持を集めていると言えそうだ。

 金曜のナイトゲームを、Jリーグも考えてみたらどうだろう。

 リーグ戦の基本は同日開催で、それによって公平性が担保される。ただ、現状でもACLなどとの関連で、金曜日にゲームが行われている。そもそも、すべてのチームが同じ条件で試合を消化していくのは不可能で、長いリーグ戦では多少の不公平感も緩和されていく。実力が反映された順位に落ち着くものである。

 だとすれば、金曜日のゲーム開催にためらいはないだろう。

 8月開幕のトップリーグに続いて、バスケットボールのB1リーグが9月29日にスタートする。こちらも金曜日にリーグ戦を組んでいる。

 週末の可処分時間は、様々なレジャーの奪い合いだ。Jリーグのライバルにはプロ野球やラグビーだけでなく、遊園地、動物園、水族館、映画館とショッピングモールが合体した複合施設も含まれる。

 とりわけ首都圏では、選択肢が数多い。サッカーをチョイスしてもらうのは簡単でなく、消費者が選択できる幅をサッカー側から増やす必要がある。

 金曜日のナイトゲームは、そのひとつの方法として成立する。プレミアムフライデーを活用したスケジュールを、まずは検討してみたらどうかと思うのだ。