今週末24日に阪神競馬場で行なわれるGII神戸新聞杯(芝2400m)は3歳馬による重賞。GI菊花賞(10月22日/京都・芝3000m)のトライアル競走で、3着までに菊花賞への優先出走権が与えられる。

 このレースでは、GI日本ダービーを勝ったレイデオロ(牡3歳/藤沢和雄厩舎)が秋初戦を迎える。同馬はこのレースの後は菊花賞ではなく、11月26日のGIジャパンC(東京・芝2400m)に向かうとのことだが、今回は秋GIシーズンのレイデオロについて考えてみたい。


日本ダービーを制したレイデオロ。鞍上はルメール騎手

 まずは日本ダービーの走りを振り返ってみよう。今年のダービーは1000m通過が63秒2という、重〜不良馬場も含め過去30年では最も遅いペースで展開した。レイデオロはスタート直後、後方を追走していたものの、鞍上のルメール騎手はスローペースを考慮して向正面あたりで外を回って前に押し上げ、早い段階で2番手にまでポジションを上げると、直線で逃げ粘るマイスタイルをかわし、外から襲いかかるスワーヴリチャードの追撃も抑えて2分26秒9のタイムで勝利を収めた。


 スローペースを見越して早めに動いたのは鞍上のルメール騎手の好判断だったが、あのような、いわば奇襲策で勝てたということは、それだけ今年のダービーのレースレベルは高くなかったと見ることもできる。ペースの違いはあるとはいえ、ソウルスターリングが勝った前週のオークスの勝ちタイムは2分24秒1。1000m通過は61秒7で、ダービーとは1秒5しか変わらないのに、全体では2秒8も遅いものとなっている。ダービー時点の走りでは、レイデオロに高い評価は与えづらい。神戸新聞杯の後に続く古馬との戦いを考えると、さらなる成長がないと、キタサンブラックなどの強豪には太刀打ちできないだろう。

 今回はダービー以来約4カ月ぶりの出走。同じく、約3カ月半ぶりの休み明けとなったGI皐月賞では5着と敗れているが、調整が遅れての”ぶっつけ”で、GIというレースレベルを考えると、0秒4差の5着は好内容で、休み明けは苦にしないタイプと言っていいだろう。当時に比べ、この夏の調整は極めて順調に進んだようで、関係者のコメントからは心身ともに成長したことが感じられる。皐月賞よりもいい状態で臨めそうだ。

 神戸新聞杯にはダービー2着のスワーヴリチャードが出走せず、ダービー3着のアドミラブルも故障のため戦線離脱。ダービー4着のマイスタイル、皐月賞3着のダンビュライト、GII弥生賞を勝ったカデナなどの実績馬も出走するが、レイデオロが断然の人気を集めそうなメンバー構成となっている。

 レイデオロにとって怖い存在になりうるのが、2連勝中のキセキ。先週のGIIローズSやGIIセントライト記念を見てもわかるように、秋の3歳GIトライアルは、夏の間に力をつけてきた馬が、春の実績馬を破るケースが多い。キセキは500万下(7月15日/中京・芝2000m)、信濃川特別(8月5日/新潟・芝2000m)と連勝中で、前走は上がり3F32秒9と、並みの馬では出せない数字を出して素質の高さを証明している。”夏の上がり馬”としてはこの馬が筆頭だろう。


 休み明けの馬からも、夏の休養中に急激に力をつける馬が出ることはよくある。新馬戦から高い評価を受けながら、春は重賞未勝利に終わったサトノアーサーなども、飛躍を感じさせる素質馬だ。

 しかし、この後にジャパンC、そしておそらく有馬記念への参戦が視野に入っていると思われるレイデオロにとっては、このメンバーでは負けられないところで、余裕を持って勝利を積み上げたい。展開のアヤなどで敗れることがあっても、成長とその後の変わり身を予感させる”負けて強し”と言える内容を見せないと、この秋の主役を張るのは厳しいだろう。ディープインパクトを近親に持つ素晴らしい血統で、まだキャリア5戦の若き3歳馬だけに、パワーアップした走りを見せてくれるはずだ。先も見据えて注目したい。

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