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●電話を使った詐欺「怒りしか覚えない」

トーンモバイルは敬老の日(9月18日)を目前にした15日、「あんしん電話」、「あんしんインターネット Lite」、「ゆるやか見守り」という高齢者を守るシニア向けサービスの発表を行った。

トーンモバイル代表取締役社長 石田宏樹氏は、これまでのトーンモバイルの軌跡を振り返り、「トーンモバイルは社会問題をテクノロジーで解決してきた」と語る。「スマホが高く、他国に比べて普及率が低いという問題には、2013年11月のfreebit mobile立ち上げで取り組んだ。現在では格安スマホという市場が創出され、スマホ全体の普及率が72%を超えており、一定の成果が出せたのではないか(石田氏)」と話した。

また、石田氏は、子どもがスマホを利用することで起きる様々な問題に対しては、2017年7月に発売したスマホ「TONE m17」(富士通コネクテッドテクノロジーズ製)における、女性誌「VERY」との「TONE×VERY宣言」を含めた取り組みによって解決策の提案ができたと述べた。

○テクノロジーで特殊詐欺の撲滅を図る

そして、トーンモバイルは3つめの課題である「高齢者の特殊詐欺問題」の解決を目指したサービスを提供する。「シニア×(かける)m17」と題し、国内約6000万人のシニアが抱える社会問題に取り組んでいくという。

「高齢者の特殊詐欺問題」は、「オレオレ詐欺」や「架空請求詐欺」などの「振り込み詐欺」、そして「金融商品等取引名目の詐欺」、「異性との交際あっせん名目の詐欺」などの「振り込み詐欺以外の特殊詐欺」の2つに分類されている。被害者の8割以上が60才以上の高齢者で、女性の方が多い。

石田氏は、「振り込み詐欺は電話を使った詐欺であり、振り込み詐欺以外の特殊詐欺はインターネットを通じて行われている。我々が一生懸命作ってきた通信インフラ上で、家族の愛情につけ込んで詐欺を行っている。通信を作ってきた人間としては怒りしか覚えない。トーンモバイルはテクノロジーの力を使ってこれらを撲滅していく」と熱く語った。

●詐欺・セールス電話防止システムを標準に

トーンモバイルは電話を使った「振り込み詐欺」回避のために、詐欺・セールス電話防止システムをすべてのユーザーに標準サービスとして提供する。標準サービスとして提供する理由は、「誰もが”自分は詐欺に合わない”と考えてしまうため、オプションでは防げない。標準で提供することがもっとも有効だと考えた(石田氏)」からだという。

このサービスを「あんしん電話」と名付け、警察庁、迷惑フィルタサービスに寄せられた電話番号を蓄積した外部データベース、トーンモバイルの電話システム、そして「TONEあんしんAI」を「TONEあんしんGateway」で接続して、着信した電話番号が安全かどうかを表示する。もし詐欺の可能性がある電話番号から着信すると、IP電話、090電話ともに「危険な可能性のある着信」と画面に大きく表示される。相手が事業者の場合、連絡帳に登録していない電話番号でもデータベースから事業者名を表示する。

サービスの開始は10月3日からで、対象端末はTONE m15、TONE m17。利用中のユーザーには利用規約への同意を行ってもらうという。

さらにインターネットを介した「振り込み詐欺以外の特殊詐欺」には、「あんしんインターネット Lite」で対応する。Webフィルタリングと専用ブラウザを無料ですべてのユーザーに提供するとのこと。こちらも外部データベースを「TONEあんしんGateway」で連携して実現している。

専用ブラウザでフィッシング詐欺やワンクリック詐欺の可能性があるサイトを閲覧しようとした場合、フィルタリング対象であることが表示され、閲覧できない仕組みだ。こちらのサービス開始も10月3日からとなる。

●緩く見守れる「ゆるやか見守り」をスタート

トーンモバイルは前述した通り、子ども向けスマホにも力を入れている。子ども向け見守り機能「TONEファミリー」は、子どもの現在地の把握や、特定の場所への出入りの感知、歩数や活動量を共有することができる。

しかし、これはあくまで小学生の子どもを想定した見守りサービスであり、大人が使うことは想定されていない。シニアからは「見守られたいがプライバシーは守りたい」という要望があったため、「ゆるやか見守り」というサービスを開始したとのこと。

「ゆるやか見守り」では、アプリのインストール許可やパスコード管理など、子どもの見守りには欠かせない機能を無効にしている。また、現在地の表示は市区町村程度の広域なレベルにとどめてシニアのプライバシーを守る。家族は大まかな現在地や歩数などから普段の生活を送っているかどうかを知ることができる仕組みだ。こちらのサービスも10月3日から開始される。

○NFCや紙の読み取りで簡単に利用できる施策も

また、11月よりNFCを使った「お知らせシール」を販売する予定だ。「お知らせシール」でできることは、「連絡」と「アプリ起動」。「連絡」はGPS情報をメールで送付したり、登録電話番号へ電話をかけることができる。「アプリ起動」はメールやLINE、Yahoo! JAPANなどのアプリを起動させることが可能だ。石田氏は「スマホごとタッチするという動作はシニアにとって非常にわかりやすいユーザーインターフェイスだ」と語り、すでに提供しているスマホの箱に置くだけでサポートが受けられる「置くだけサポート」は3万件の利用があると明かした。

また、最初につまづきやすいスマホの初期設定を簡単にする「らくらく初期設定」も10月18日より提供する。子ども向けサービスとして提供された「親子スマホの約束」と同様に、スマホの利用法を紙に記し、それをカメラで読み取ることでスマホの初期設定を行う。スマホを購入するとき、項目の説明を受けながら記入、設定するということも想定されている。

トーンモバイルは、「贈りスマホ」としてシニア世代へ30〜40代のママ世代がスマホをプレゼントするキャンペーンを開始するという。格安スマホならではの低料金を生かし、スマホの料金を子どもが肩代わりする方式だ。安心してスマホをプレゼントできるように、スマホのサポート体制を手厚く用意したという。まだスマホ普及率の低いシニア層をターゲットとするトーンモバイルの今後に注目される。