今週末9月17日に阪神競馬場で行なわれるGIIローズS(芝1800m)は3歳牝馬による重賞。GI秋華賞(10月15日/京都・芝2000m)のトライアル競走で、秋華賞を占う意味でも必見のレースだ。

 このレースは春の実績馬が出走することが多く、今年も豪華メンバーが揃った。GIオークス馬ソウルスターリングこそ、古牡馬戦線に向かうことになり不在だが、桜花賞馬レーヌミノル、同2着のリスグラシュー、GIIフローラSを勝ち、オークス2着のモズカッチャン、GIIフィリーズレビュー勝ち馬カラクレナイ、JpnII関東オークス勝ち馬クイーンマンボなど春の牝馬重賞戦線の活躍馬が大挙して出走を予定している。

 そんな中でも大きな注目を集めるのがファンディーナ(牝3/栗東・高野友和厩舎)だろう。春は牝馬のクラシックではなくGI皐月賞に出走した同馬は、牝馬の一線級とは初めての対戦となる。


フラワーCまで3連勝(写真)。その後、皐月賞に挑戦した牝馬ファンディーナ

 同馬は今年の1月22日の新馬戦(京都・芝1800m)で2着に9馬身差をつける圧勝で衝撃のデビューを果たすと、続く500万下特別のつばき賞(2月19日/京都・芝1800m)では上がり3F(ハロン)33秒0という驚異の瞬発力を見せ、差し切り。そして重賞初挑戦となったGIIIフラワーC(3月20日/中山・芝1800m)では2番手から楽々と抜け出し、2着に5馬身の差をつけてデビューから3連勝で重賞勝ち馬となった。


 無敗の重賞ウイナーとなったファンディーナ陣営が選んだのは牝馬クラシック・GI桜花賞ではなく、牡馬クラシック第1弾のGI皐月賞。このレースに牝馬が出走することは極めてまれで、過去30年では1991年ダンスダンスダンス(5着)、2014年バウンスシャッセ(11着)に続く3頭目。5月の東京で行なわれていた1940年代こそ、1947年トキツカゼ、1948年ヒデヒカリと2頭の勝ち馬が出ていたが、近年の成績が物語るように、牝馬にとってはかなり高い壁であった。レースでは1番人気に推され、スムーズに内目の好位3〜4番手を追走。直線では岩田康誠騎手の追い出しに応え、一瞬先頭に立ったものの、失速して0秒5差の7着に敗れている。

 皐月賞の敗因を分析してみよう。レース前のパドックを振り返ると、もともとチャカつき気味の馬ではあるが、この日はいつもよりもさらにイレ込んでいるように見えた。そしてレース展開。勝ったアルアインも同じような位置にいたので、力のある馬なら勝ち負けできる展開と言えたが、アルアインに比べると反応がよすぎて早めに先頭に立ってしまったぶん、スタミナがもたずに厳しくなったようだ。

 皐月賞の前半600mの通過タイムは35秒1、1000mの通過は59秒0。ファンディーナがそれまで経験してきたレースの同通過タイムは、新馬戦が36秒8-63秒4、つばき賞が38秒1-64秒1、フラワーCが36秒5-61秒1というもの。どれもスローペースと言っていい展開で、1000m通過タイムでは最大5秒1もの差があった。初めて体験する流れに戸惑った面はあるだろう。


 次にローテーション。皐月賞や桜花賞の春クラシック第1弾に出走する馬は、年明け2戦目か3戦目くらいが一般的。ファンディーナは1月22日と、年明けの遅めのデビューだったので、つばき賞、フラワーC、皐月賞と、中3週の競馬が3回も続いてしまった。過去30年の皐月賞馬で、中3週以下の間隔が3回続いて勝利したのは1999年のテイエムオペラオーのみ。同馬は4歳時に8戦8勝というとてつもない成績を残した極めてタフな馬だった。繊細な牝馬にテイエムオペラオーのような芸当を求めるのは酷だろう。ファンディーナはデビュー時516kgだった馬体重が、レースを重ねるうちに504kgまで減少していた。連戦の疲れはあったに違いない。

 上記のように、ファンディーナの皐月賞における大きな敗因は、「初めて経験したレース展開」と「中3週が続いたローテーションによる疲労」の2点が挙げられる。牡馬の一線級の中に入り、馬群に揉まれる展開になったのも精神的に楽ではなかっただろう。

 牝馬による無敗の皐月賞馬誕生とはならなかったが、ファンディーナが皐月賞で得た経験は大きい。コース内目で揉まれた経験、いつもより速いレース展開、牡馬の強豪と一緒に走った経験は今後に活きてくるはずだ。デビューから3戦で見せた走りは間違いなくGI級のもの。春にオークス、日本ダービーに向かわず早めにリフレッシュさせたことはプラスに働くはずで、この秋の重賞戦線でも力を発揮できれば、勝ち負けしてくる可能性は高い。


 ただ、心配なのは放牧中の調整が思うように進められなかったという陣営のコメントが見られたこと。皐月賞以来約5カ月の休養明けとなる今回は、仕上がり途上での出走となるかもしれない。さらに言うと、賞金的に秋華賞への出走はほぼ可能なので、今回、無理に勝ち負けする必要もないのだ。従って、今回は結果にこだわらず、次につながる内容の走りを見せてくれたらよしとしたい。逆に、今回の状態で勝ち切るようなら、今後はGIをいくつも勝つような名牝に育っていくことも期待できる。

ローズSから勝ち負けするに越したことはないが、大目標は秋華賞であり、今回だけでなく、秋シーズンのトータルでファンディーナを見ていきたい。

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