エジソンにふんしたベネディクト・カンバーバッチ
 - Courtesy of TIFF

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 現地時間10日、第42回トロント国際映画でワールドプレミアを迎えた映画『ザ・カレント・ウォー(原題) / The Current War』の会見が行われ、発明家トーマス・エジソンにふんした「SHERLOCK(シャーロック)」のベネディクト・カンバーバッチが役柄との向き合い方について語った。

 『ぼくとアールと彼女のさよなら』が絶賛されたアルフォンソ・ゴメス=レホン監督が、1880年代後半、エジソンと実業家ジョージ・ウェスティングハウスの間で勃発した“電流戦争”の顛末を描いた本作。アメリカにおける電力送電システム建設に関してエジソンの会社は直流、ウェスティングハウスの会社は交流を推し、州ごとの陣取り合戦のように熾烈な闘いを繰り広げた。

 ウェスティングハウス役に『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』のマイケル・シャノン、ウェスティングハウスの知的な妻役に『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のキャサリン・ウォーターストン、後にウェスティングハウスと組むことになるニコラ・テスラ役に『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のニコラス・ホルト、エジソンの忠実な秘書役に『スパイダーマン:ホームカミング』のトム・ホランドと豪華なキャストが集結。

 ベネディクトふんするエジソンは紛れもなく魅力的な天才だが、才気あふれるニコラを無下にしたり、マスコミを使ってウェスティングハウスを中傷したりとあくどい面も表現されている。ベネディクトは「自分の演じるキャラクターを自分でジャッジするというのは命取りだ。確かに醜い事実だが、とても人間らしいともいえる。個人的にというわけではないけれど、彼のそうした面はよく理解できることだった」とエジソンに共感できたと話し出す。

 「名声が高潔さをどのように毒すのか、というアイデアを掘り下げるのが興味深かった。とても人間的な欠点だ。自分が演じるキャラクターについては僕自身はジャッジせず、見る人々に判断を任せるようにしている。よく見せようとはしていないよ」と役との向き合い方を明かし、「でもそうしたキャラクターたちに愛情を持つのは避けられない。彼らが間違っていたとしてもね」と続けた。

 また、役づくりにおいては、エジソンの日記が役に立ったという。ベネディクトは「確かもう絶版のもので、(監督の)アルフォンソと製作会社がコピーを見つけてくれたんだ。そこには人間的で、とても面白く、自虐的でもあるエジソンの姿があった。彼の夢や、食事や排便の有無(笑)、そして文学への愛についてたくさん書かれていた」と彼の日記を通して、天才発明家である以上に人間くさくもあるエジソンを作り上げたと振り返っていた。(編集部・市川遥)

第42回トロント国際映画祭は現地時間17日まで開催