左からシャイア・ラブーフ、ステラン・スカルスガルド、スベリル・グドナソン
 - Courtesy of Alberto E. Rodriguez Getty Images For TIFF

写真拡大

 現地時間7日、北米最大の映画祭・第42回トロント国際映画祭(カナダ)が開幕し、スウェーデンのビョルン・ボルグとアメリカのジョン・マッケンローというテニス史に残るライバル関係を題材にしたオープニング作品『ボルグ/マッケンロー(原題) / Borg/McEnroe』のワールドプレミア上映が行われた。先んじて行われた会見には、冷静沈着で“アイスマン”の異名をとったボルグ役のスベリル・グドナソン(『ストックホルムでワルツを』)、それとは対照的に審判や観客にブチ切れまくる“悪童”マッケンロー役のシャイア・ラブーフ(『トランスフォーマー』)、ボルグのコーチ役のステラン・スカルスガルド(『ドラゴン・タトゥーの女』)らが出席し、製作秘話を明かした。

 現在でも名勝負の一つに数えられる、ボルグとマッケンローによる1980年のウィンブルドン決勝を、二人がそこに至るまでのフラッシュバックと共にスピーディーに描いた本作。大会5連覇がかかった試合の重圧に人知れず追い詰められるボルグ、プレーではなくその言動ばかりが注目されることに苛立つマッケンロー、そして一見正反対ながら根っこの部分では同じ二人の関係性が興味深く、メガホンを取ったデンマーク人監督ヤヌス・メッツ(『アルマジロ』)が「テニス、スポーツの映画ではなく、キャラクターについての映画にしたかった。心理スリラーといえると思う」と語るのも納得だ。

 もちろんテニスシーンも重要であり、未経験だったスベリルとシャイアは6〜8週間のブートキャンプを行い、シャイアに至っては練習中に足を骨折してしまうなどかなりハードなものだったよう。しかし、シャイアいわく「テニスそのものとは別物で、メトロノームに合わせてダンスをするのに近かった」とあくまで映画としてどう見えるかに重点を置いていたという。

 一方、少年時代のボルグを演じたのは、ボルグの実の息子レオだ。メッツ監督は「ビョルンの少年時代を演じる13歳の子供を探していたら、レオがオーディションに参加したいと手紙をくれたんだが、最初はためらった。なぜなら、もしビョルンが気に入らない映画になったら、彼が夕食の席で大変なことになると思ったから」と笑うも、実際起用してみると、伝説的なプレイヤーの血を引くだけにその存在がリアルで、テニスも抜群に上手く撮影も簡単だったと振り返る。レオと共演したステランは「ストックホルムでの記者会見で『あなたは、お父さんが13歳の時と同じくらいテニスが上手なんですか?』と聞かれたら、彼は『僕の方が上』と答えていたよ」とその大物ぶりを明かした。

 また、ステラン演じるコーチがボルグに「考えるな。考えるな」と言い聞かせる印象的なシーンがある。俳優の中にも“役づくりとして全てを学んだ上で、カメラの前ではそれらを忘れて内から出てくるもので演技をする”と語る人が多くいるが、両者には確かに似ている点があるとステランは言う。

 「実際は本当にバカだけど、本当にいい俳優というのはたくさんいる」と切り出してシャイアや会場を笑わせたが、ステランは至って真面目な顔。「カメラの前で考える必要はない。選択はキャリアの助けになるけれど、カメラの前では関係ない。思考のプロセスというのは“流れ”を止めてしまうんだ。カメラの前の流れというのは、感情だったり、リアクションだったりそういうもの。何が起こっているかに素早く反応しなくてはならない。それはテニスをするときと同じで、思考以上に直感が重要になるんだ」と分析していた。(編集部・市川遥)

第42回トロント国際映画祭は現地時間17日まで開催