高速道路の路肩に停車しているあいだに、後ろから追突されて命を落とす事例があります。走行車線ではないはずの路肩で、なぜ追突されるのでしょうか。また、やむを得ず路肩に停車する場合、どのようにすればよいのでしょうか。

路肩に停まっているクルマに「追従」する?

 高速道路上は本来、駐停車が禁止されていますが、故障などやむを得ない事情で停車しなければならない場合もあるでしょう。その際、本線から離れて路肩に停車しているにもかかわらず、後ろから来たクルマに追突されるという事故が起きています。


高速道路の路肩は、走行車線と同じくらいの幅が確保されているところもある。写真はイメージ(2017年3月、中島洋平撮影)。

 交通事故の分析・調査を行う交通事故総合分析センター(東京都千代田区)の資料によると、高速道路における路肩停車中の追突事故は2015年に33件(うち死亡事故1件。以下カッコ内は死亡事故件数)、2014年に34件(1件)、2013年には62件(3件)発生しています。

 高速道路の路肩はふだんクルマが走らない場所ですが、走行車線と同じくらいの幅が確保されているところも少なくありません。にもかかわらず、路肩への停車中に追突事故が起こるのはなぜでしょうか。NEXCO西日本に聞きました。

――路肩に停車しているクルマに、なぜ後ろからクルマが突っ込んでくることがあるのでしょうか。

 前方を誤認して追突するケースが考えられます。つまり、路肩に停車中のクルマが走行中であると誤認し、追従しようとして追突してしまうのです。

三角板に発煙筒 それでも本線上は危険

――やむを得ず路肩に停車する場合、どのようにすればよいでしょうか?

 ハザードランプを点灯させるだけでなく、自車の後方に三角板(停止表示器)、発煙筒を設置するなどして後続車に対する安全措置を取ってください。また、運転者も同乗者も全員クルマを出て、周囲に注意しながらガードレールの外など安全な場所へ速やかに避難してください。

――事故防止のために気を付けるべきポイントはありますか?

 路肩側に非常駐車帯がない場合は、クルマを本線にはみ出ないようなるべく左に寄せ、車外に避難する際は、自車の前方ではなく後方(手前)にいることが大切です。万が一追突された場合の二次災害を防ぐことにつながります。

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 交通事故総合分析センターの資料によると、疲れて意識レベルが低化したドライバーは「ハザードランプであろうと、テールランプであろうと関係なく追従する危険性がある」とのこと。NEXCO西日本は、そのためにも三角板や発煙筒で後続車へ存在を周知することが大切だといいます。また、それらを設置したからといって、路肩でパンク修理やタイヤチェーンの脱着などを行うことも危険だそうです。

 NEXCO西日本は、「安全を確保してから、携帯電話(110番あるいは道路緊急ダイヤル#9910)や高速道路上に設置された非常電話(受話器を取れば道路管制センターにつながる)で通報をお願いします」と話します。

【写真】高速道路上では「非常駐車帯」「非常電話」の利用を


非常駐車帯は故障車や緊急車両が駐車するためのスペース。約500mおき(トンネル内では約750mおき)にあり、非常電話も設置されている(画像:photolibrary)。