カジノ解禁に伴う出玉規制強化で、 市場規模はピーク時の半分以下に?

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パチンコ業界が断末魔の叫びを上げている。7月11日、警察庁が風営法施行規則を改正し、パチンコの出玉を大幅に減らす方針を打ち出したのだ。

ギャンブル性の低下により、ユーザーのパチンコ離れは必至の状況。今回の規制強化の真の目的とは? 今後、業界で何が起こるのか?

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まずは今回の出玉規制の詳細を、パチンコ業界誌の記者が解説する。

「この方針が実施されると、一回の大当たりでこれまで2400個の出玉があったものが1500個ほどになります。また、出玉率も大幅に下がり、現行1時間の遊技時間で300%が220%未満に抑えられる。イメージとしては、現行のパチンコ台の性能が3分の2にスペックダウンすると考えればよいと思います」

この方針に頭を抱えるのは都内のパチンコ店関係者だ。

「ここ数年、パチンコ業界は不況で、参加人口はピーク時(1994年)の約3000万人から940万に激減してます。さらにパチンコ台のスペックが下がれば、その940万人もホールから遠ざかってしまいかねない。警察庁の発表後は、毎晩、ホールがガラガラになる悪夢にうなされています……」

北関東の準大手チェーン店の店長もこう心配する。

「今、ホールに通っているのは一攫千金(いっかくせんきん)が望める、いわゆる“爆裂機”目当てのヘビーユーザーが中心。しかし、新基準の台になると出玉が抑えられ、パチンコは小さな勝ち負けをダラダラと繰り返す退屈な遊びになってしまう。これでは一日で十数万円勝つことも珍しくない現行のパチンコシーンに慣れたヘビーユーザーが満足するはずがない。『パチンコはつまらなくなったからやめた』となりかねません」

前出の都内パチンコ店関係者によれば、ここ数年のパチンコ不況で、店は売り上げを2、3割落としているという。

「そこに今回の出玉規制ですから、売り上げは現状からさらに3、4割減るかもしれない。数年前に比べると、50%近い売り上げ減となる計算です。これではパチンコ店は経営が成り立ちませんよ」(都内パチンコ店関係者)

前出の業界誌記者も同意見だ。

「95年に全国に1万8千店舗あったパチンコ店は今では1万店以下。このままでは7千店程度に減少する日も遠くないと悲観していましたが、今回の規制でそれどころの騒ぎではなくなる。業界にとってメガトン級のショックです。傷が深くなる前に店を畳み、別のビジネスを始める経営者が続出するのは確実です。へたをすると、パチンコ店は5千店前後に激減することになるかもしれません」

深刻なのはすでにパチンコ店だけでなく、パチンコメーカーなどの関連産業にも悪影響が及んでいる点だ。前出の業界誌記者もこう言う。

「15年に老舗メーカーのマルホンが民事再生、奥村遊機が破産したことでもわかるように、現状、メーカーの半分近くが赤字決算に沈んでいます。業界誌も青息吐息で、今年になって広告の出稿量がガクッと減りました。

パチンコ産業の従事者はホールだけで約31万人、メーカーなどの関連産業も含めると50万人近くになる。パチンコ市場が縮小して大量に失業者が出ると、日本経済への悪影響も避けられません」

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(取材・文/本誌ニュース班)