夏のローカル開催を締めくくるGIII新潟記念(9月3日/新潟・芝2000m)。重賞勝ち馬が5頭参戦し、一見好メンバーがそろったように見えるが、それぞれ一長一短あって信頼度は薄い。また、予想を悩ます微妙なハンデキャップが設定され、レースの難解さは増している。

 レースを占う穴党記者たちの見解は、「ローカルのGIIIと言えば、それらしいメンバー構成ではあるが、そのレベルにはやや疑問がある」という点、さらに中心視されるアストラエンブレム(牡4歳/父ダイワメジャー)の取捨については、意見が一致する。

 アストラエンブレムについて、デイリー馬三郎の木村拓人記者はこう語る。

「気性的にも2000mの距離は若干長そうに感じます。折り合いがつくようになったとはいえ、もともと行きたがるタイプ。新潟の外回りはスローになりやすい、という点でも不安があります」

 スポーツ報知の牧野博光記者はこんなふうに見ている。

「調教師は『今回が試金石』としながらも、その言葉からは”正直ギリギリかも”というニュアンスも感じられました。また、アストラエンブレムは重賞未勝利にもかかわらず、ハンデ56.5kgというのは見込まれすぎた感があり、最後の最後でそれが影響しそうな気がします」

 とすれば、今年の新潟記念はいよいよ波乱ムードが漂う。

 では、狙える馬はどういったタイプか。馬連配当が9万円超えの大波乱となったレパードSで、本誌コラムでも11番人気で勝利したローズプリンスダムを推奨してくれた木村記者は、第一に「他の競馬場とは明らかに異なる、新潟競馬場への適性がカギになる」と強調する。

「例えば、前走でGIII小倉記念(8月6日/小倉・芝2000m)を勝ったタツゴウゲキ(牡5歳/父マーベラスサンデー)は小回り向きに見えますが、新潟の外回りと相性がいいマーベラスサンデー産駒だけに、今回も面白いと思います。

 逆に、前走で同じく重賞のGIII函館記念(7月16日/函館・芝2000m)を快勝したルミナスウォリアー(牡6歳/父メイショウサムソン)は、勝ち方が鮮やかすぎて、条件がこの馬にハマッたという印象。新潟で同様の走りができるかは疑問です」

 まずは好調馬について、そうジャッジした木村記者。そのうえで「大穴ならこれ」と推すのが、ラストインパクト(牡7歳/父ディープインパクト)と、シャドウウィザード(せん7歳/父ハーツクライ)の2頭だ。

 前者は一昨年のGIジャパンカップ(東京・芝2400m)で2着の実績があるが、2014年12月のGII金鯱賞(中京・芝2000m)からおよそ2年半も勝ち星がない。後者も2015年5月の1000万条件を勝って以来、勝利を挙げておらず、重賞どころか、準オープンのレースでも馬群に沈み続けている。

 まさに”大穴”ではあるが、なぜそれらの馬が狙えるのか。木村氏が言う。

「ラストインパクトは7歳でも馬体を見る限りは、まだまだ衰えたという印象はないんですよね。前走のGIII鳴尾記念(8着。6月3日/阪神・芝2000m)は超スローに泣いて、その前の2走はダート戦と度外視できます。これまでの実績を考えれば、今回は3枚落ちのメンバーで、トップハンデの57.5kgも”恵まれた”と言っていいでしょう。

 シャドウウィザードは、新潟の芝レースでは8戦2勝、2着2回(着外4回)と好相性。前走、準オープンの佐渡S(7月29日/新潟・芝2000m)では4着にとどまりましたが、前が詰まり通しでした。これも度外視していいと思います」

 一方、牧野記者は新潟記念の傾向についてこう語る。

「馬場状態に左右されるため、年によって傾向がまちまちなんですよね。先週の流れから見て言えるのは、内側の芝がはげてきてはいるものの、最後方からの追い込みが利かないということでしょうか。ある程度、自力で好位置を取れて、最後まで伸びるような脚がないと厳しいと思います」

 そのうえで、牧野記者は「ディープ産駒がカギ」という見解を示す。新潟・芝2000mで行なわれる古馬の重賞は、新潟記念と例年5月に行なわれる新潟大賞典とふたつあるが、新潟大賞典では今年を含めて過去5年で3勝、新潟記念も過去5年で3勝と、計10回のうち6回もディープ産駒が勝っているのだ。

 今回は、前出の木村記者が推すラストインパクトをはじめ、ソールインパクト(牡5歳)、ハッピーモーメント(牡7歳)、ロイカバード(牡4歳)と、4頭のディープ産駒が登録している。その中で、牧野記者が推奨するのはどの馬なのか。

「他の競馬場ではちょっと足りないようなディープ産駒には、平坦で、プラス直線の長い新潟のコースが結構合うんですよ。今回の4頭の中では、2歳時にGI馬のサトノクラウンや重賞2勝のシャイニングレイと、重賞で僅差の勝負をしていたソールインパクトと、前走のGII目黒記念(5月28日/東京・芝2500m)で3着だったハッピーモーメントが推せます。ともに勝ち味に遅いですが、相手なりに走れる強さがあります」


新潟・芝2000mという舞台が合いそうなハッピーモーメント

 日刊スポーツの木南友輔記者も、ここではディープ産駒に目を向ける。

「(新潟の芝レースでは)どうしても前にいけて、速い脚を使える馬を狙いたくなるところですが、新潟記念に関しては、近年の結果を見ても、そこまで前残りを意識しなくてもいいのかな、と思っています」

 そう語って牧野記者同様、展開面に利がありそうなハッピーモーメントをまず推す。そしてもう1頭、ロイカバードの名前を挙げた。

「ロイカバードはサトノダイヤモンドのデビュー戦の相手だった馬ですが、アメリカでGIを勝ちまくった母アゼリのデビュー戦は3歳秋でした。そのことを考えれば、血統的には超奥手のはず。4歳になってからが本領発揮と思っていました。前走の佐渡Sもほぼ完ぺきなレースで2着。今回は格上挑戦の身ですが、ハンデは軽くなりますし、素質的にはここを勝ってもおかしくないものを感じます。

 7歳のハッピーモーメントも、晩成のダイナカールの牝系。柔軟性の高い馬体で、6歳だった昨年よりも今年のほうが走りに力強さが出ている印象があります。

 あと、もう1頭挙げるなら、マイネルスフェーン(牡3歳/父ステイゴールド)ですね。ベストの距離で、ハンデ52kgというのは魅力ですね。昨年末のホープフルS(中山・芝2000m)では、のちのダービー馬レイデオロからコンマ2秒差の2着。その比較から、一発あると見ています」 ひと筋縄ではいかない夏の新潟のハンデ戦。プロをも悩ます難解な一戦だが、ここでひと儲けして、いよいよ始まる秋の大一番に備えたい。

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