ピンク(P!nk)


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今年のMTVビデオ・ミュージック・アワード(VMA)。最近のアワードは、印象的なスピーチにも注目が集っているけれど今回の主役はピンク! 「私は醜い」とつぶやいた娘に贈った言葉とは? 全文を公開。

時間がないのは分かってるんだけど、ちょっと話ができればって思う。
最近、娘を学校に送っていたときの話。「ママ?」って言うから「何、ベイビー?」って反応したら、いきなり「私はいちばん醜い女の子だと思う」って言ったの。
「ハァ?」ってなった。「だって私、髪の毛が長い男の子みたいだもん」ですって。
頭のなかがオーマイガッよ、もう。たった6歳でなぜ? どこのどいつが何を言ったのよ!? (何か言ったかもしれない)どっかの6歳をドついちゃダメかしら……いやでもホントどうして……って感じだった。
 
私は何も言えなかった。家へ戻って、娘のためにパワポでプレゼンの用意をしたわ。
パワポ資料にはね、アンドロジナス(両性具有的)なロックスターやアーティストの写真を詰め込んだ。
彼らは生前、常に笑いものにされたかもしれない。でもそれを続けたことで、私たちを刺激し勇気づけてくれた。
マイケル・ジャクソン、デビッド・ボウイ、フレディ・マーキュリー、アニ・レノックス、プリンスにジャニス・ジョプリン、ジョージ・マイケル、エルトン・ジョン、その他大勢のアーティストの写真を入れたの。(彼らを知らないから)娘の目はシラ〜っとしちゃったんたけど。
で、私は言ったの。「なぜそんな風に自分のことを考えてしまうのか、ママはそれを本当に知りたいの」。
彼女はまた「だって私、男の子みたいなんだもの」って言うから、「じゃあママのことはどう思うの? 男っぽいわよ私」って。
そうしたら「ええと、ママはキレイよ」ですって。
「な〜るほど、そういうこと。ありがと。でもね、人がママを笑いものにするときも、そういうこと言うの。男の子みたいだとか、男性的すぎるとか、意見を言いすぎるとか、身体が頑丈すぎるとかいろいろ言うのよ」。 
 
だから彼女に訊いた「ママに髪を伸ばしてほしい?」って。そしたら「ううん、ママ」。
「体型を変えてほしい?」って言っても「ううん、ママ」。
「私、変身しました! みたいな感じで人前に出てほしい?」「ううん、ママ」。
「じゃあ、世界中でアリーナ席完売させてほしい?」と言ったら「うん、ママ!」ですって。
「OK! そうよベイビー。私たちは自分を変えない。私たちが、貝殻と石を合わせて真珠に変えるの。私たちが、そんな人を変われるよう助けてあげるの。彼らがもっといろいろな美の価値観を知ることができるようにね」。
 
ここにいるアーティストのみなさん、私はあなたたちから影響を受けている。
そのままの自分でいてくれてありがとう。私たちの行く末を照らすために……。
あなたたちが私を鼓舞してくれているの。
音楽界ではすっごく素敵なことがたくさんある。それを貫いて。私たちが理解することができるように照らし続けて。
そして私のダーリン・ガール、あなたは美しい。愛してるわ。
MTVにお礼を言います。
この素晴らしい夜に。
ありがとう、エレン(・デジェネレス)。とっても大好き。
ありがとう。おやすみなさい。

行間から「私がこうだから娘がいじめられたのかも……」と心配しているようにもとれるピンクのスピーチ。それでも絶対に嘲笑する人に屈して、自分を変えてはいけないと強く訴える言葉には、感動のあまり涙を流す人も多数。社会が均質化に傾いている今、多様性を必死でキープしようとする米音楽界の内側からのパワーに国自体の未来がかかっているのかもしれないと考えると、やっぱりアメリカのミュージックシーンはすごい。

Courtesy of MTV