はや「夏競馬」も残り2週。8月27日には札幌競馬場でGIIIキーンランドC(芝1200m)が開催される。

 小回りで、直線の短い舞台でのスプリント戦だけあって、実績上位の馬を人気薄の”伏兵馬”が負かすことも十分に考えられるだろう。実際、過去にもそうした波乱劇は何度か起こっている。

 最大の番狂わせは、2008年。レコードタイムでレースを制したのは、最低16番人気のタニノマティーニ。単勝配当は1万6140円という超大穴で、2着にビービーガルダン(2番人気)、3着にキンシャサノキセキ(1番人気)と人気馬が入りながらも、3連単は56万1610円の高配当となった。

 また、2009年には13番人気のドラゴンウェルズが2着と健闘したり、2015年には8番人気のウキヨノカゼ、9番人気のトーホウアマポーラがワンツーを決めたりといった波乱の決着があった。

 まさに”荒れる”要素は十分。穴狙いに徹するのも悪くない。そこで、今年はどんな馬が波乱の主役となり得るのか、過去の10年の結果をもとに探ってみたい。

 まず目につくのは、「牝馬の強さ」だ。

 ここ10年の勝ち馬を見ると、7頭が牝馬。2013年からは4年連続で勝っている。さらに、2013年は1〜3着までを牝馬が独占し、他にも3着以内に牝馬が2頭入った年が5度もあって、牝馬の強さが突出しているレースなのだ。

 2013年を除いて、牡馬より出走頭数が少ないことを踏まえれば、かなり色濃いレースの特徴と言える。であれば、今年も狙うべきは牝馬だ。

 ただ、ソルヴェイグ(牝4歳)やナックビーナス(牝4歳)あたりは人気が予想されるため、ここではブランボヌール(牝4歳)を推したい。

 昨年の覇者ではあるが、その後はスプリント重賞を3走して、11着、13着、9着と凡走を繰り返し、今回は人気落ち必至。それでも、過去に好走した牝馬を詳しく見てみると、不振に陥っていた重賞勝ちのある実績馬がここで復活を遂げている例が多々ある。

 例えば、先述したウキヨノカゼは、約2年半ぶりの重賞制覇だった。2014年のローブティサージュも、2歳時にGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)を勝って以来、1年半以上の間隔をあけて重賞タイトルをモノにした。

 同様に、今年はブランボヌールが1年ぶりに重賞制覇を果たす――そんな筋書きを夢見てはどうだろうか。

 過去の結果を見ると、もうひとつ、出走頭数が少ないわりに活躍している馬たちがいる。それは、「3歳馬」だ。

 2016年は1着ブランボヌール、2着シュウジと3歳馬がワンツーを決め、2007年には3歳牝馬のクーヴェルチュールが優勝。2009年も3歳牝馬のグランプリエンゼルが3着に食い込んでいる。

 しかも、その4頭には共通があった。それは、芝1200m戦のオープン特別か、重賞をすでに勝っていた、ということ。この時期、古馬相手に結果を出すには、やはりそれだけの実績は必要なのだろう。

 その観点から、今年も1頭の穴候補が浮上する。メイソンジュニア(牡3歳)だ。

 同馬は昨年、オープン特別の福島2歳S(2016年11月13日/福島・芝1200m)を勝利。また今春には、GIIIファルコンS(3月18日/中京・芝1400m)で3着、GIIニュージーランドトロフィー(4月8日/中山・芝1600m)で2着と、重賞戦線でも好走している。

 前走のGIII CBC賞(7月2日/中京・芝1200m)では12着と大敗したが、3カ月の休み明けや、久々のスプリント戦だったことが影響した可能性がある。ひと叩きしたことで良化していれば、一発あっても不思議ではない。

 さて、冒頭で2008年に16番人気で勝ったタニノマティーニと、2009年に13番人気で2着となったドラゴンウェルズのことを記した。過去10年で、10番人気以下で3着以内に入ったのはこの2頭だけである。

 そこで、2頭に共通する部分はないかその戦績を見てみると、いずれも前走は北海道開催(札幌、函館)のスプリント戦に出走。それも、オープン特別で、2頭とも5着とまずまずの走りを見せていたことがわかった。

 そして今年、同じような過程を踏んでいる馬がいないか探してみると、1頭の馬に目がとまった。ノボバカラ(牡5歳)である。


芝レース2戦目でさらなる上昇が期待できるノボバカラ

 同馬は、前走でGIII函館スプリントS(6月18日/函館・芝1200m)に出走。着順は7着だったものの、勝ち馬とはコンマ7秒差と決して悪い内容ではなかった。2着馬とはコンマ3秒差で、スムーズなスタートさえ切れていれば入着もあったかもしれない。

 そもそもデビューから一貫してダート戦を使われてきたノボバカラ。初の芝レースだったことを考えれば、かなりの善戦である。

 芝レース2回目となる今回は、慣れも見込めて、上昇の余地は大いにある。芝スプリント戦を主戦場とする好メンバーがそろう中、ダートから転戦してきたこの馬が”波乱の使者”となってもおかしくない。 確たる中心馬がいない今年のキーンランドC。どの馬にもチャンスがありそうだが、そんな状況であれば、なおさら人気薄馬の激走に期待したい。

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