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シェフを務めるのは、ひらまつが手がけるイタリアン料理店「リストランテASO」などで腕をふるっていた吉越謙二郎さんだ。吉越シェフは、ホテルのシェフとして白羽の矢が立った際、平松会長に、フランス料理出身ではないことに関する不安を吐露。会長のもと、フランス料理の基礎を一から叩きこまれた。こうして誕生した、イタリアンの経験と、「ひらまつ」のフレンチの技が融合した、いわば両方のいいところ取りをした料理は、ここ「ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原」でしか味わえないものとなっている。

「何もかもが新しい挑戦」と語る吉越シェフは、その新しい挑戦を存分に楽しんでいる。箱根の大地が育む山の幸、近くの漁港に揚がる海の幸と、箱根は食材の宝庫。ホテルのオープン前から積極的に仙石原周辺を歩きまわっていたそうで食材探しには余念がない。箱根山麓で育った豚を使用したリエット、小田原産の甘鯛、駿河湾産の赤座海老など、地元のものを積極的に取り入れながらもそれだけにはこだわらない。契約農家から仕入れた野菜やその時々でもっともおいしい素材を、ひらまつが外食産業で培ってきたコネクションを通じて日本全国から仕入れている。

ひとつの素材を異なる調理法で楽しめる皿も、吉越シェフの得意とするところだ。たとえば、箱根の自然をイメージした「いろいろな魚介のマリネ 根セロリの冷たいスープ」。彼が作りだす料理は、メニュー名から想起したイメージをいい意味で覆す。「次はどんなものが出てくるのだろう」と、わくわくしながら料理を待つ、エンタテイメント性にあふれている。そして、お腹が満たされたらすぐに部屋に戻ることができる。もう少しワインを飲むのも、すぐに至福の寝心地のベッドに身を委ねるのも思いのまま。“滞在するレストラン”にステイする幸福を享受しよう。

搾りたてのジュースからスタートする朝食もひらまつならではのこだわりが光る。メインとなるフォアグラ入りの目玉焼き、温野菜サラダ、ミネストローネなど。そして、数種類のパンなど、見目麗しく、見ているだけでもおいしさが伝わってくるメニューが並ぶ。筆者が国内外でステイしたどのホテル、オーベルジュでも見たことがないオリジナリティを感じさせるラインナップだった。心に残る朝食は、残念ながら盛りだくさんのため完食することはできなかったが、食べきれなかったパンはお土産に持たせてくれた。そんな心配りもうれしい。

シェフを務めていた時代から平松会長には、「いつかは滞在できるレストランを作りたい」という構想があったという。その会長自らがセレクトしたアートに一流のインテリア、備品、厳選したアメニティに質の高い温泉。そして、日本のレストランシーンを牽引するひらまつがこの宿のためだけに作りあげる自慢の料理──。ひらまつが理想とする空間に身を置く幸せな時間をぜひ味わって欲しい。とことん美味しいものを味わいたいとき、普段頑張っている自分を甘やかしたいとき、ぜひ思いだしたいアドレスのひとつだ。

なお、賢島、熱海、仙石原の施設以外に、奈良県桜井市の「オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井」を受託運営している。2018年夏には沖縄県宜野座の6700坪の敷地に、19の客室を備えたリゾートホテル「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 宜野座」をオープンする。ひらまつの挑戦は、まだ始まったばかりだ。


ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原 1245-337
Tel:0460-83-8981
客室数:11室
www.hiramatsuhotels.com/sengokuhara/