舞台「煉獄」で表現すべき、“時間経過”の表現

改めて、この漫画の世界観が舞台として立体化されることについて、舞台では、どんな魅力を感じることができると思いますか?
漫画を読んだときに、唐々煙さんのこだわりとして強く感じたのは、時間経過の表現でした。漫画でそこをリアルに表現されているということは、今回、我々はそこをきちんと読み取り、先生が「これでしょ!」と思って描いたタイミングを忠実に描かないといけない。そこも原作の再現度に含まれるだろうと思うんです。
漫画で読むときは、読者が各々想像を巡らせながら、原作者の意図する“時間の流れ”を頭の中で感じて読み進めますが、舞台ではそれを体感させないといけない…。
漫画家さんにもよるんでしょうが、唐々煙さんの作品は、明らかに原作の時点で「このリズムで読ませる! そう読むから、この衝撃につながる」という描かれ方をしている。それは、舞台化するうえで、大きなヒントではあるんですが、もしそこを間違えたら…というプレッシャーもありますね。
高度なレベルでのプレッシャーですね…。
そこは、あくまで僕ら役者の技術的な部分で表現すべきところであり、僕らが間違えたら、原作を読んでいるお客さんはもちろん、原作を知らずに見に来ているお客さんにも気づかれると思います。原作と同じような疾走感、心地よさをきちんと感じさせたいですね。
何も知らずに見に行って「なんか気持ちいいな」と思ってもらえたら、成功ですね。
はい。もうひとつ、漫画だとコマ割りやページをめくることでシーンが転換されますけど、今回の舞台はセットがいろいろと動いて、組み合わさることで転換するんです。それは舞台ならではの部分なので、エンターテインメントな転換を見て楽しんでほしいです。
ここまで稽古を進めてきて、カンパニーの雰囲気や手応えはいかがですか?
何度か共演したことのあるメンバーがいて、気心も知れていますし、熱い現場になっています。あと2週間、まだまだブラッシュアップできる部分が見つかってきて、それがうれしいです。「まだまだやれちゃうぞ!」って気持ちですね。
主演という立ち位置で、カンパニーを引っ張る部分も?
以前に一度、ご一緒したのでわかっていたんですが、演出の西田さんが、みんなをまとめ上げるという点に関しては、カリスマともいえるスゴい力を持った方なんですよね。僕も、その大きな船に一緒に乗っているという感覚です。もちろん、自分が締めなきゃいけない場面があればそうするつもりです。決して得意ではないですが…。
これまで数々の舞台で主演を張ってきても、そこに関してはいまだに苦手意識が…。
だって得意じゃないんですもん…(笑)。正直、いまでも、向いている人がそういう役割を果たすのがベストだと思います。でも、その役割を与えられたら、逃げるわけにはいかない。自分が出るべきときは、出ていかないといけないし、それは物語でも一緒ですよね。
と言いますと…?
物語によっては、そんなに目立たなくていい主役もいます。お客さんと同じ目線で、舞台から消えているような感覚でいることが必要な主役もいるんです。でも、今回の佐吉もそうですが、バンッと言うべきときは、ほかの誰にも任せるわけにはいかないんです。

憧れの存在として名前が挙がることに「不思議な感覚」

ファンにとっては、曇 芭恋(くもう・ばれん)役の崎山つばささんとの共演も楽しみのひとつです。
約1年ぶりの共演ですね。ある取材で崎山くんが「なんだかんだ言って、1年という時間は長かったので、そのぶんの成長を見せます」と言っていて。それは僕も同じで、成長した姿を見せないといけないなと。稽古場では他愛のない話でボケたりしながら、いい感じで楽しんでいます!
2.5次元作品の俳優さんに話をうかがっていると、憧れの先輩、目標としている俳優として、鈴木さんの名前が挙がることが非常に多いです。
え? 本当ですか? それ(笑)。
本当です。
うれしいですけど、不思議な感覚ですね。ファンの中にも僕の初期の頃…原点とも言える時期のことを知っている方はいると思いますが、まったくそんなふうに憧れられるようなタイプじゃなかったし、それは自分が一番わかっていましたから。
今年で俳優デビューから、ちょうど10年。それだけ積み上げてきたものがあり、頼もしい背中を後輩たちに見せてきたということだと思います。
そうやって、周りに言ってもらえることで、それを自覚することができる自分がいます。そこは感謝ですし、自分をさらに磨いていかないといけないなと思います。僕自身、いろんな現場に行くたびに、スゴいなと思える先輩がいて…。そこでできるだけ、いろんなものを盗んで、下の子たちにそれを伝えていけるようになりたいですね。
お話をうかがっていて、常に変化し続けているということ、そして、その変化に自覚的だなということを強く感じます。
それはたしかにあると思います。自分でも変わり続けていることを強く感じてますし。
前回、お話をうかがったのが、30代になって少し経った時点でしたが、そこから約1年ちょっとが過ぎました。30代の歩みをさらに少し進めてみて、いかがですか?
30代になった直後は、まったくピンと来ないまま「責任感が増すんだろうな」とポヤーっと思っていたんですけど、本当にそうなりましたね。
より責任感が増してきた?
そういう力を与えてくれるワードなんでしょうね、「30代」って。20代の頃にはできなかった、引っ張り方をさせてもらえているし、相手からしても30代のほうが「頼っていいんだ」と思えるのかな。そこはうまく利用しつつ、やはりもっと自分自身を磨いていかないといけないなと。
さらにこの先の未来のイメージは思い描いていますか?
漠然と描いてはいますが、しっかりと決めないようにしています。というのは、思い描いた方向に進んでいる最中に「あ、ダメだ」と感じたら、すぐに機転を利かせて方向転換できるようにありたいから。漠然と思い描きつつ、でも臨機応変であることをより大切にしようと考えているんです。
先ほどおっしゃっていた、変化に自覚的であるという部分にもつながる人生哲学ですね。
他人の意見を聞いて、考えを改めることがけっこう好きなんですよ。いま、自分の中で「正解」と思える答えを持ちつつ、他人の意見を聞いて「いいな」と思ったらすぐに変える。いままで俳優としても、そうやって来たし、今後もそうやって頑張っていきたいと思います。
鈴木拡樹(すずき・ひろき)
1985年6月4日生まれ。大阪府出身。AB型。2007年、ドラマ『風魔の小次郎』(TOKYO MXほか)で俳優デビュー。2009年には『仮面ライダーディケイド』(テレビ朝日系)で剣立カズマ/仮面ライダーブレイドを演じる。舞台では、2008年より続く『最遊記歌劇伝』シリーズをはじめ、「戦国BASARA vs Devil May Cry」、『刀剣乱舞』シリーズなど、次々と話題作に主演。舞台『弱虫ペダル』シリーズ、および実写ドラマ版では荒北靖友役を演じている。2017年は舞台「ノラガミ−神と絆−」に主演したほか、11月からは、劇団☆新感線の『髑髏城の七人』Season月 下弦の月への出演も決定している。

出演作品

舞台「煉獄に笑う」
【東京公演】8月24日(木)〜9月3日(日)@サンシャイン劇場
【大阪公演】9月8日(金)〜9月10日(日)@森ノ宮ピロティホール
脚本・演出:西田大輔
<出演>
鈴木拡樹/崎山つばさ/前島亜美/
小野健斗、納谷 健、碕 理人、林田航平、釣本 南/
山下聖菜、村田洋二郎、平塚真介、東 慶介/
中村誠治郎/浅田 舞/吉野圭吾、角川裕明(※Wキャスト)
http://www.rengoku-stage.com/

©舞台「煉獄に笑う」製作委員会
©唐々煙/マッグガーデン

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、鈴木拡樹さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2017年8月23日(水)12:00〜8月29日(火)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/8月30日(水)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、発送先のご連絡 (個人情報の安全な受け渡し) のため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから8月30日(水)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき9月2日(土)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
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