米少女の「日本風」写真が炎上。なぜ「文化の盗用」騒ぎが続くか?
アメリカ人の小さな女の子が和装をして自分たちで考えた「日本風のお茶会」を楽しむ風景。ちょっとヘンテコな白塗りのお化粧が、とっても微笑ましく映ります。しかし、今この写真を掲載したブログが大炎上しているのだとか。NY在住で『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の著者・りばてぃさんが、「ネット上で批判する人」をテーマに、有益なネット情報の選び方について持論を展開しています。
アドラーの「原因論」と「目的論」でネット情報を選べ?!
(1)関係ないのに批判する最近、アメリカで、興味深い出来事がインターネット上で話題になった。
アメリカ人の母親がブログに載せた幼い娘とそのお友達による可愛らしい日本風のお茶会の様子が、
「人種差別だ!!」
「文化の盗用だ!!!」(cultural appropriation)
などと炎上したというのだ。
どんな内容かと気になって、問題になった「the gala gals」というブログの「Japanese Tea Party」という記事を見にいって、正直、驚いた。
和服姿のアメリカ人の小さな女の子たちが、おままごと感覚で、彼女たちなりに演出した日本風のお茶会を楽しんでいる。
ただそれだけなのだ。
Mom accused of cultural appropriation after throwing her daughter a Japanese tea party. https://t.co/NZ4AXkWDvN pic.twitter.com/wLmV97rk8B
- Babble (@BabbleEditors) 2017年8月7日
実に、微笑ましい。
日本人の皆さんなら、まったく問題ないと思うだろう。
いや、それどころか、アメリカの子ども達が伝統的な日本の文化に興味を持ってくれたことに、ささやかな喜びを感じたり、ちょっぴり幸せな気分にすらなるかもしれない。
批判どころかお礼や感謝の言葉を伝えたくなるだろう。日本人なら。
ところが実際には、この素敵な日本風のお茶会風景が、
「人種差別だ!!」
「文化の盗用だ!!!」
などと炎上した。
信じられない話だ。馬鹿げている。
〔ご参考〕
Japanese Tea PartySomeone Called This Girl’s Japanese Tea Party Racist, But Then This Japanese User Stepped Inなんで炎上したのだろう?とインターネット上の論争をよく読んでみると、この記事を批判したり、文句を言ってるのは、実に興味深いことに、当事者である『日本人以外の誰か』だった。
いや、もしかするとその第三者が日頃から持論としている主義・主張に基づいて、批判し、文句を言っているのかもしれないけれど、いずれにしても、第三者は第三者、どうでもいい『日本人以外の誰か』だ。
ぜんぜん関係のないはずの人物が、「人種差別だ!!」、「文化の盗用だ!!!」と批判し、文句を言っているのである。
なんじゃそりゃ、だ。
もしかすると、彼らは、ただ文句を言いたいだけ、誰かを叩きたいだけなのかもしれない。
あるいは、ますます海外で評価が高まる日本文化に嫉妬したり、その足をひっぱりたいということなのかもしれない。
いずれにせよ、インターネット時代ならではの現象と言えるだろう。
そう言えば、今年2月、これとよく似た・・・というか、問題の本質はまったく同じと言っていい出来事があった。
すでにブログの方では詳しくご紹介しているが、一流モデル(モデルだけで年収5億円超)でありながら、NYでIT起業家目指して勉強中に最もイノベイティブでインスパイリングな女性にも選ばれたカーリー・クロス(Karlie Kloss)さんが、ファッション誌「ヴォーグ」(Vogue)の今年の3月号の特集で、日本の伊勢志摩ロケで撮影してきた日本風の写真を披露。
一般的な日本人の感覚なら、「綺麗、美しい、素敵」と感じる素晴らしい写真ばかりだ。
わざわざ伊勢志摩まで行って撮影するなんて「感動した、スバラシイ!!!」と絶賛する声が出ても不思議じゃない力の入れようだと思う。
ところが、なぜか日本人以外の民族や人種の方々から、この写真は「日本人に対する差別だ、馬鹿にしてる、黒髪のカツラとかかぶせるくらいなら日本人のモデルを使えばいい」等々の厳しい批判や苦情が噴出して、社会問題的なニュースになったのである。
本当に馬鹿げている。
そう、このケースでも、ぜんぜん関係のない人物が、批判し、文句を言っているのだ。
〔ご参考〕
米ファッション誌Vogue、黒髪・和服姿スーパーモデルによる伊勢志摩特集を掲載したら謎の炎上?!(2)「目的論」の方が解決につながるこのように、世の中にはいろいろな人がいて、関係ないのに批判したり、文句を言う人もいる。
関係ないどころか、根拠がなかったり、認識が間違っていたり、平気でウソをつくような人も少なくはない。
インターネット上には、そのような人々が発信する情報も飛び交っていて、正しい情報や間違っている情報、良質な情報や悪質な情報等々を選別し、見定める能力が、年々、ますます重要になってきた。
そこで、最近、インターネット上の情報を見定める際に役立つんじゃないかな?と感じているのが、心理学者のアドラー(Alfred Adler)が示した「原因論」と「目的論」という考え方だ。
「原因論」とは『行動や感情は、過去の体験から生み出される』
という理論。簡単に言えば、
『行動や感情は、自分のさじ加減で何とでもなる』
なおアドラーは、「変えられない過去にとらわれているので無駄、価値がない」ってことで、「原因論」を完全否定。トラウマも否定。
「目的論」とは『行動や感情は、目的のために創りだされる』
過去ではなく、未来へ目が向けられているので、『解決につながりやすい』というのが「目的論」の特徴。
つまり、「原因論」で考えると、過去にとらわれてグダグダと批判や文句しか出てこないのに対し、「目的論」で考えると、解決策、向上策、より良いアイデアが出てくる傾向が高い、ということ。
ここで冒頭に挙げた「人種差別だ!!」、「文化の盗用だ!!!」などと炎上した日本風のお茶会の記事を改めて見てみると、やはり批判や文句の多くは、批判や文句を言いたいがためのものであり、アドラー的「原因論」の考え方に近い発想になっている印象が強い。
で、そういう情報は無駄、価値がないというのは明白だ。
だから、そういうゴミのような情報ではなくて、未来へ目を向けた(あるのが見えずに潜んでいるかもしれないが)解決策、向上策、より良いアイデア等々、つまり、「目的論」の考え方に基づく情報の方を選ぶようにする。
なぜなら、その方が『解決につながりやすい』し、自分の未来をより良い方向へ変えられるから。
非常にシンプルだ。
最後にもう1つ分かりやすい具体例を挙げておこう。
今年7月、NHK取材班による「夕張市破綻から10年「衝撃のその後」若者は去り、税金は上がり…」という記事が話題になった。
副題に『第2の破綻を避けるために』とハッキリ書いてあるが、肝心の問題の解決策も、状況を改善するためのアイデアや参考情報も、この記事中にまったく一切書かれていない。
ただひたすら問題を指摘するだけの記事。
これじゃ、関係ないのに批判したり、文句を言う人々と同じ発想だ。
ブログの方でも、『それじゃ「夏休みの宿題」やらない子に言い訳を聞くのと同じ』と題し、問題提起させて頂いた。
〔ご参考〕
それじゃ「夏休みの宿題」やらない子に言い訳を聞くのと同じこのNHK取材班の記事も、要するに、典型的なアドラーの「原因論」の考え方に基づいて書かれた記事になっている。
そんなもの読む価値がない。
無駄だ。
そうではなくて、この手の記事は「目的論」の考え方で書かれるべきだろう。
だって、なぜなら、自分の未来は、過去にしばられてどうこうするものではなく、結局のところ、これから自分で作っていくものだから。
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出典元:まぐまぐニュース!