スマホ成功のファーウェイがプレミアムノートPC「MateBook X」で狙うジャスト品質な戦略とは

同社のスマートフォンは、エントリーモデルの成功を足がかりに、プレミアムモデルの強化により、ユーザーニーズに合わせた製品作りが確実に消費者にリーチして市場でのシェアを増やしている。
一方で、ファーウェイ・ジャパンはPC市場への進出も図っており、同社初となる本格的なクラムシェル型となるMateBook Xは、格安PCではなく、プレミアム層を狙ったモデルとなっている。
MateBook Xから、ファーウェイの、ものづくりへのこだわりが見えてくる。

新製品となるタブレット型のMateBook Eは、前モデルのデザインを変えずにカバーとして使えるキーボードをブラッシュアップしたリニューアルを行った。
本体のスタンドになるカバーは、角度調整を可能としたことで使いやすくなった。
さらにキーボードはキーの打ち分けがしやすいアイソレーションタイプを採用。
販売価格はファーウェイ直販モデルのCore m3モデルが92,800円、Core i5モデルが133,800円(全て税別)。
MateBook Xは、ファンレスの薄型メタルボディに第7世代インテルCore i7/i5を搭載する。ファンレス化によって常に静かな動作を実現し、動画コンテンツの視聴時には内蔵スピーカーの性能を引き出すことができる。
販売価格はCore i5を搭載したモデルが144,800円、Core i7モデルが173,800円(全て税別)。
MateBook Eは、ペンやタッチ操作が行えることから、クリエイターやスマートフォンやタブレットユーザーをターゲットとしている。
MateBook Xは、ビジネス用途などモバイルPCとして欲しい機能を一通り網羅したモデルだ。
このように、それぞれの立ち位置、ターゲットユーザーを明確にしている。
さて、スマホメーカーが作ったノートPCであるMateBook Xは、優等生ではあるが、強烈に尖った部分がない。
例えば、
モビリティーをアピールするのであれば
「世界最薄○○mm」
「正解最小・最軽量」
を謳ってユーザーの注目を集めるという手法もあったはずだ。
特に日本の販売店においては、こうした”売り文句”が重要だ。
「荷物を減らしたい」
「軽いPCが欲しい」
と言った顧客に対する接客トークとしてもよく使われている。
一方、現在のようにネット通販が増えてくると、ネットの評判が重要という消費者も増えている。
「軽いけど性能が低い」
「軽さを追求しすぎて剛性が足りない」
などといった意見や評判でPC購入を決める消費者も多くなった。
モバイルPCと対極にあるゲーミングPCは、最高スペックを必要とする。
ゲーミングPCは、放熱のために本体サイズは大きく厚くなってしまう。
最薄、最小、最軽量を実現するためには、何かを犠牲にして実現していることが多い。
しかし、モバイルPCであっても、小型・軽量化と相反する高速性や拡張性などを必要とする消費者のために、メーカーは次のモデルでの進化を突き詰めていかなければならない。
高性能なモデルは、開発にかかったコストが販売価格にも響いてくる、
”超”モバイルPCは思った以上に高価だったりする。

MateBook Xは、尖った部分がないと指摘したが、これは良い意味で尖ってないと捉えて欲しい。
デザインはアップルの「MacBook」を意識したもので、シンプルメタルボディながら細部にダイヤモンドカットを施すなど、スマートフォンのボディ加工技術をうまく融合させている。
質感の高いボディは、手に取ってみると意外と軽く感じる。
この驚きや意外性が製品を欲しくなるというきっかけの一つに繋がるのではないだろうか。
MateBook Xは尖ってないとは言っても、攻めてないわけではない。
前述したファンレス化するために特殊な廃熱設計を行っている。
これによってファンの騒音やファン自体の故障を心配する必要がなくなる。
さらにエアフローのための穴を開ける必要がなくなるため、筐体設計もシンプルに尚かつ防塵性も向上するというメリットを得た。
MateBook Xから感じるのは、1番を取るためのものづくりも重要だが、消費者に欲しい、使いたいと思わせるジャスト品質(丁度良い)が必要だということだ。
MacBookもそうだが、多くの人に愛され売れている製品は尖っている必要はないように感じる。
ファーウェイは、MateBook Xという使う人にとって、丁度良い性能と使い勝手を実現したノートPCを世に送り出した、
その次の課題は、MacBookを世に送り出したアップルのようなブランド認知、ブランド力だ
これには、”ハズレ”がない、”ブレのない”良い製品を世に送り出し続ける必要がある。
そういった意味で、プレミアム層を狙ったMateBookシリーズは、ブランド力を強化するための第1歩となる戦略でもあるのだ。
執筆 mi2_303