下戸は歓迎されない?

写真拡大

「私、お酒は一滴も飲めないけど、飲み会の雰囲気は大好き!」と、女子会のお誘いにホイホイ乗っているアナタ。本当は、飲める女子たちはアナタが来るのを嫌がっているかもしれませんヨ。

今まで飲み会に参加していた下戸女子が、実は「迷惑な存在と思われているかもしれない」と悩む投稿がインターネット上で話題になっている。

下戸の人は、「それだけで気を使わせる存在」

「下戸の飲み会参加は迷惑ですか?」という投稿が載ったのは、女性向けサイト「発言小町」(2017年7月24日付)だ(要約抜粋)。

「私は、体質的に酒は一口さえもNGの下戸です。でも、皆でワイワイすることや居酒屋の雰囲気が好きなので、飲み会に参加し、酒を飲める人たちと楽しく交流していたと思っていました。ところが、先日、レストランで食事をしていると、近くの席のグループが、『本音を言うと、飲めない人には飲み会に来て欲しくない』『飲める人だけで楽しみたい』という話をしていました。頭ごなしに下戸を否定するのではなく、『本人に非がないからこそ、来るなとは言えない』という吐露でした。私は今後飲み会に参加しないほうがいいのでしょうか」

この投稿の最後には「忌憚のない意見を聞かせて下さい」とあったためか、「正直言って、飲めない人が来るのは迷惑」という声が9割以上に達した。ほとんどの回答者が下戸の参加を嫌がっているのだ。代表的な意見はこうだ。

「来てほしくない理由は4つ。(1)飲んでバカバカしいことを言っているのをシラフの人に聞かれるのは恥ずかしい。次に会う時に気後れがする。(2)下戸の人がいると、『あんなに飲んで...』と心の中で軽蔑しているのではないかと気になる。(3)お会計が面倒。飲まないからいくら割引するかと計算するのが大変。(4)何かを共有(この場合は『飲み』)するために集まっているのに、共有そのものをしない人がいるのは違和感がある。サッカーの応援グループの中に『サッカーなんてどうでもいい』と思っている人が混じっている状況に近い」

また、下戸の人自身の中にも「遠慮すべきだ」という声が目立った。

「飲める人同士で『ワイン会に行こうよ〜』と、1人で飲むには高額のワインをみんなが割り勘で楽しんでいたりします。私が『割り勘でいいから気にしないで』と言っても、『いやいや、それはできない』となります。下戸はそれだけで飲める人に気を使わせる存在なのです。グルメ会にスパゲティーしか食べられない偏食の人は出るべきではないのと同じです」

もっとも、飲める人の中にも下戸大歓迎の人もいる。理由はこうだ。

「お会計の時に、シラフの人が冷静かつ正確にさっと計算してくれるので、大助かりです(笑)。下戸だろうと、飲兵衛だろうと、ノリがよくて明るく楽しく過ごせる人とならご一緒したいです」

下戸の心得「最初の乾杯からウーロン茶はダメ」

さて、職場の宴会などで、下戸でも参加しなくてはならない場合もあるだろう。そんな時にどうしたら周囲の雰囲気を壊さずに、自分も楽しめるだろうか。女性向けサイト「GLITTY」の「下戸女子でも飲み会を楽しめるコツ」(2015年1月5日)では2つのポイントをアドバイスする。

「最初の一杯はノンアルコールカクテルで。1杯目からウーロン茶やジュースを頼むと、お酒を飲む人たちは『飲めない子だったっけ? 知らずに誘ったけど、無理して来たのかな』と気を使います。同じノンアルコールのドリンクでも、ビールやカクテルと名がつくものだと、一緒にお酒を飲んでいる雰囲気を味わえるので、まわりも安心。そして、2杯目以降から、ウーロン茶など好きなドリンクを飲むようにしましょう」
「食べ物は好きなメニューをどんどんオーダー。下戸女子が混じった飲み会で、みんなが気を使う瞬間がお会計。『私はお酒を飲んでいないから割り勘は嫌』なんて言ったら、その場が凍りつきます。それならお酒を飲まない代わりに、どんどん食べちゃいましょう。事前に『お酒が飲めない代わりに、好きなものを食べるね!』と声をかけておくと、お会計で雰囲気を乱すなんてこともありません」

下戸が無理して酒を飲むとがんの発症率が7倍に

さて、「こんなに気を使うなら、少しは飲めた方がいい」と無理して飲む練習をしたりするのは、もってのほかだ。生まれつき酒に弱い体質の人が酒を飲むとがんになるリスクが驚くほど高くなるという研究が相次いでいる。

2016年2月、愛知県がんセンターの松尾恵太郎研究部長らのチームは、酒を飲むとすぐ顔が赤くなる体質の人(酒が非常に弱い人)が長年飲酒を続けると、80歳までに食道がんや咽頭がんになる確率が約20%になるという研究を発表した。実に5人に1人の割合だ。ちなみに、飲んでも赤くならない人(酒が飲める人)が同じがんになる確率は約3%だから、飲める人の7倍も高い。

なぜ、飲めない体質の人が酒を飲むとがんになりやすいのか。アルコールを分解する酵素の働きが生まれつき弱いからだ。そのためアルコールの分解過程でできる有害物質のアセトアルデヒドが体内に残ってしまう。アセトアルデヒドは非常に強い発がん性物質なのだ。アセトアルデヒドが肺まで血液で運ばれると、揮発性が高いので気化して食道や口腔内に出てくる。よく酒に弱い人はゲップをするが、アセトアルデヒドの「毒ガス」を吐いているのだ。その毒ガスが食道やのどの部分にたまり、食道がんや咽頭がんを発症させる。

くれぐれも下戸のアナタは、飲み会の楽しい雰囲気を壊さないようにするのにとどめ、無理をして飲むことだけはやめよう。