夏の中京開催もいよいよ最終週を迎える。フィナーレを飾るのは『サマーマイルシリーズ(※)』の初戦、GIII中京記念(7月23日/芝1600m)。夏のマイル重賞にリニューアルされた2012年以降、過去5回とも1、2番人気の連対はなく、うち4回は3連単の配当が20万円以上と、現在の日本列島同様、非常に”アツい”レースとなっている。
※夏競馬を盛り上げるために2006年から行なわれている重賞のシリーズ戦。6月〜9月に開催される指定重賞での成績をポイント化し、その総合得点を競うもの。芝のスプリント戦(1000m〜1200m)を対象にした『サマースプリントシリーズ』をはじめ、芝マイル戦の『サマーマイルシリーズ』、芝2000m戦の『サマー2000シリーズ』がある。

 そして今年も、予断を許さないメンバーが集結し、波乱ムードが漂っている。はたして、その一翼を担うのは、どの馬なのだろうか――。

「この時期の中京コースはタフで、東京や京都で大きいところを勝つようなキレッキレのマイラーより、そういったタフなコースを得意とし、スピード面で少し足りないようなイメージを持った馬に向いていると思います。言い換えれば、長く、それなりの脚を使えるけれども、勝ち切れないタイプ」

 このレースの特徴をそう語るのは、デイリー馬三郎の木村拓人記者。そして、こう続ける。

「というわけで、毎回過剰人気でちょい負けしているグランシルク(牡5歳)あたりにはこれ以上ない舞台。むしろ、ここで勝てないなら、どこで勝てるの? という感じです。ただ、今回も人気にはなると思うので、馬券的な”旨み”はないかもしれません」

 グランシルクは3歳時、重賞未勝利ながらGINHKマイルC(東京・芝1600m)で1番人気に推されたほどの期待馬(結果は5着)。5歳となった今年も、オープン特別で2着が、重賞で3着がそれぞれ2回ずつある。戦績だけ見れば、木村記者の言う「それなりの脚を持っていながら、勝ち切れないタイプ」に当てはまる。

 ただ、木村記者も語るように「穴馬」とは言えない。そこで、木村記者は別の推奨馬を挙げてくれた。

「前走のGI安田記念(6月4日/東京・芝1600m)も大敗(12着)し、おそらく年齢的なこともあって人気を落とすであろう、サンライズメジャー(牡8歳)がオススメ。今回は絶好の狙い目だと思います」


年齢的な衰えは感じられないという8歳馬のサンライズメジャー

 4歳の年末にオープン入りしたサンライズメジャーは、どちらかと言えば、晩成型。これまで重賞勝ちはないものの、オープン特別では3勝を挙げている。前走はGIということもあって、勝ち馬から1秒2も離されたが、GIを除けば重賞でも好走経験があり、確かに侮れない存在だ。

「8歳という年齢を不安視する声もあるかと思いますが、年齢的な衰えはそこまで感じさせません。もちろん、全盛期のキレはなくなってきましたが、この馬はもともとマイルでの勝ちタイムが1分33秒台以上。速い時計のレースは向いていません。その点、過去5回の中京記念はすべて1分33秒台以上の時計がかかっています。高速決着ではなく、力の要る馬場はむしろ望むところでしょう」(木村記者)

 木村記者が指摘した馬場の特徴から、マイネルアウラート(牡6歳)を推すのは、日刊スポーツの松田直樹記者だ。

「(マイネルアウラートは)梅雨時期のタフな馬場をこなせる馬力があり、さらにペース次第では上がり33秒台の脚も使える。このレースに、かなりの適性を感じます」

 マイネルアウラートも重賞は未勝利。しかし、松田記者は目下の成長度を強調材料として挙げる。

「オープン特別で連勝を飾った昨年暮れのリゲルS(2016年12月17日/阪神・芝1600m)、今年初戦のニューイヤーS(1月15日/中山・芝1600m)では、強烈な先行力が光りました。その後、GIII東京新聞杯(2月5日/東京・芝1600m)、GIIIダービー卿CT(4月1日/中山・芝1600m)と、重賞でも連続して4着と健闘。この半年でかなりの地力強化を感じさせます。そのうえ、休み明けも苦にしないとなれば、強豪相手にも重賞初制覇のチャンスは十分にあるでしょう」

 一方、関西デイリースポーツの大西修平記者は、昨年3着のケントオー(牡5歳)と、もう1頭、意外な臨戦過程で臨む”実績馬”の名前を挙げた。

「ケントオーの昨年3着は、使いづめの中でのパフォーマンス。今年はしっかりと間隔を空けて、フレッシュな状態でレースを迎えることができますから、さらなる好結果が期待できます。7月13日に行なわれた1週前追い切りでも、栗東の坂路で51秒1(4ハロン)という自己ベストの時計をマーク。体調は申し分ありません。

 そしてもう1頭、距離短縮が人気の盲点になるなら、3年前のダービー馬、ワンアンドオンリー(牡6歳)に注目したいですね。前走騎乗した横山典弘騎手の進言もあって、久しぶりにマイル戦に臨みますが、そもそもこの馬自身の初勝利は阪神・芝1600mの未勝利戦でした。

 最近のレースでは、最後まで集中力が続かずに力を発揮し切れていない状況にあります。そうした現状と、母父が名マイラーのタイキシャトル、母ヴァーチュが挙げた3勝もすべてマイル以下という血統から、変わり身があるとすれば、今回なのではないかという気がしています」 マイル戦となってから波乱が続いている中京記念。夏休みを前にしたあなたへ、”ビッグボーナス”をもたらしてくる馬がこの中にきっといるはずだ。

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