日本初!20世紀にスイスやドイツで活動した画家“オットー・ネーベル”の回顧展

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1920年代に、抽象絵画の創始者とされるカンディンスキーや自由な色彩表現で有名なクレーと出会い、その後も友情を育んだというオットー・ネーベル。彼らや憧れの画家などのさまざまな画風を実験的に取り入れながら、独自の作品を創り出していったネーベルの、日本初の回顧展が開催される。知られざる画家のアートな人生の軌跡を、同時代の作品と共にチェックしてみよう。

◆影響を受けた同時代の画家の作品や、絵画以外のマルチな活躍を示す作品群も展示

2017年10月7日(土)から12月17日(日)まで、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムでは「オットー・ネーベル展 シャガール、カンディンスキー、クレーの時代」が開催される。

今回は、ネーベルが後半生を過ごしたスイス・ベルンのオットー・ネーベル財団の全面協力で行われる、日本初の回顧展。ネーベルが影響を受けた同時代の画家たちの作品も紹介することで、20世紀美術の流れの中で、その創作活動がどんな軌跡をたどったかが分かる展示に。

また、画業はもちろん、版画家、詩人などマルチに活躍したネーベルの、バラエティ豊かな作品も一堂に集めて紹介するという。多才な彼が21世紀に生きていたら、どんなアーティストになっていたのだろう。



オットー・ネーベル 《ナポリ》『イタリアのカラー・アトラス(色彩地図帳)』より、1931年、水彩・紙、オットー・ネーベル財団

◆現代美術に新風を与えた「バウハウス」での出会い、憧れの画家の影響を思わせる描写

ベルリンに生まれ育ったネーベルは、建築の専門学校や演劇学校にも通い、若い頃からいろいろなことに広い関心を持っていたそう。

やがて、現代美術の世界に大きな影響を与えた伝説的なドイツの教育施設「バウハウス」で働く女性との結婚を機に、学校のあるワイマールへ移り住むことに。そこでワシリー・カンディンスキーやパウル・クレーと出会い、友情を育むことになる。今回は彼らの作品も展示され、まさに友情出演のような形に。

当時のネーベルの作品には、彼らをはじめ、憧れだったフランツ・マルクやマルク・シャガールの影響を思わせる表現があり、写真の作品《アスコーナ・ロンコ》ではシャガール風の幻想的な風景が描かれている。



オットー・ネーベル 《アスコーナ・ロンコ》1927年、水彩、グアッシュ・紙、ベルン美術館

◆旅先のイタリアで魅了された風景は独特の色と形によって美しいスケッチブックに

さらにネーベルは、旅先で得たインスピレーションからも、作風を大きく変えている。1931年に3カ月にわたって滞在したイタリアでは、その風景に大いに魅了されたのだとか。そこで、風景の中にある建物や木などのモチーフを四角い面に置き換えて、都市の個性を表現しようと試みる。

例えば写真の作品《ポンペイ》は、イタリアの古代都市・ポンペイを描いたもの。イタリアの都市を独特の色と形によって表現した『イタリアのカラー・アトラス(色彩地図帳)』は、美しく秀逸なスケッチブックでもある。



オットー・ネーベル 《ポンペイ》『イタリアのカラー・アトラス(色彩地図帳)』より、1931年、水彩・紙、オットー・ネーベル財団

◆建築や音楽など多彩なモチーフをもとに絵画の実験を続けたユニークな画業をたどる

このほかにも、建築を学んでいたことから建物を単純な立方体や結晶体の姿で表現したり、音楽を感じさせるような絵画をめざしたというネーベル。写真の絵は、移住先のスイスで試みた実験的な絵画《ドッピオ・モヴィメント(二倍の速さで)》だけど、このタイトルはまさに音楽用語そのもの。

さらに、古代のルーン文字や古代中国の書物「易経(えききょう)」への関心と結びついたり、1962年に訪れた近東のイメージを取り込んだり。年を重ねても好奇心は衰えることなく、豊かな精神性あふれる世界観を生み出していったという。



オットー・ネーベル 《ドッピオ・モヴィメント(二倍の速さで)》1936年、ラッカー塗料・紙、オットー・ネーベル財団

展覧会には、さまざまなオリジナルチケットもあり、7月14日(金)までなら「早割チケット」(1000円)がおトク。

このほかにも、7月15日(土)から10月6日(金)まで販売されるスペシャルチケットでは、週末の美術展デートにも使えそうな「秋の夜長を楽しむ<金・土限定>ナイトペアチケット」(2200円・一般のみ)や、オリジナルクロッキーブック1冊とセットになった「クロッキーブック付 前売券」(1800円・一般のみ)もおススメ。

知られざるユニークな画家の軌跡をたどる日本初の回顧展で、20世紀に花開いた自由な表現を楽しんで。



TEL.03-5777-8600(ハローダイヤル)
東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura ザ・ミュージアム
アクセス:東急東横線・田園都市線、東京メトロ半蔵門線・副都心線「渋谷駅」3a出口より徒歩5分、JR線「渋谷駅」ハチ公口より徒歩7分、東京メトロ銀座線、京王井の頭線「渋谷駅」より徒歩7分
※「渋谷駅」宮益坂口(東急東横店)から12〜15分間隔で無料シャトルバスあり

会期:2017年10月7日(土)〜12月17日(日)
休館日:10月17日(火)、11月14日(火)
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)、毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
入館料(前売):一般1500円(1300円)、大学・高校生1000円(800円)、中学・小学生700円(500円)
<スペシャルチケット>
販売期間:2017年7月15日(土)〜10月6日(金)まで
◆「秋の夜長を楽しむ<金・土限定>ナイトペアチケット」2200円(一般のみ)
※会期中の夜間開館日(金・土)17:00以降の利用のみ可能。1名で2回、あるいは2名で利用可能
◆「クロッキーブック付 前売券」1800円(一般のみ)
※本展オリジナルクロッキーブック1冊付(会場グッズ売場にて引換え)

WRITING/NAOKO YOSHIDA (はちどり)

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