HUAWEI P10がもたらしたiPhone超え、一眼レフすら超える可能性とは? ダブルレンズが写真を再定義する

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SIMロックフリー市場で勢い今一番勢いのあるのがファーウェイだ。
そのファーウェイが、満を持して市場に投入したのが、ハイエンドモデル
・「HUAWEI P10」(以下、P10)
・「HUAWEI P10 Plus」(以下、P10 Plus)
である。
SIMロックフリースマートフォンが「格安スマホ」と呼ばれるなかで、両機種ともに税込7万円を超える高額モデルで勝負を挑んできたのだ。

P10シリーズは、前機種である「HUAWEI P9」(以下、P9)から、独自の2つのレンズのダブルレンズを搭載する。この技術により、デジタルカメラにはない高い処理能力を持つスマートフォンだからできる新しい写真表現を可能としている。

P9から進化したダブルレンズを搭載する「HUAWEI Mate 9」の流れを受け継ぎ、さらに進化させたP10シリーズのカメラには、どんな可能性が秘められているのだろうか。

P10シリーズは、搭載する2つのレンズを人間の眼に見立てて、被写体との距離を認識する。
この機能によって、ピントを合わせた位置の前後で、一眼レフカメラのようなボケ効果を作り出すことを可能にした。

ファーウェイは、この機能を「ワイドアパーチャ」と名付け、強く打ち出している。

同様の機能は、アップルの「iPhone 6s Plus」および「iPhone 7 Plus」でも簡易的に実現しており、こちらは背景をぼかした人物撮影をイメージして「ポートレートモード」と名付けている。




実際にP10とiPhone 7 Plusでこの「ボケ」機能を撮り比べてみると、iPhone 7 Plusのポートレートモードは、被写体との距離などに制限が多い。
一方、P10では、そうした制限はなく、自由に被写体に寄って、どの距離でも「ボケ」をいかした撮影ができる。
このように、P10とiPhone 7 Plusでは、カメラとしての使い勝手が大きく違う。


iPhone 7 Plusは、レンズが望遠側に切り替わり、さらに被写体とは50cm以上離れる必要があり、逆に250cm以上離れると効果が得られなくなる。



一方のP10は、撮影する画角はそのままでいつも通り撮影するだけでその効果を得ることができる。単なる背景ぼかしだけではなく、点光源の”丸ボケ”も再現している。注意点としては被写体や背景にある程度距離があること、平面でないことなど大きな効果を生むためには工夫が必要だ。


どちらの撮影結果も、被写体以外をぼかすことができる。
ただし、画像を構成する全てのポイントで距離を測っているわけではない。
したがって、
・細かい部分がボケていない
・被写体の輪郭が甘くなる
など、技術的には、まだ未熟な部分もある。
とはいえ、スマートフォン単体で一眼レフカメラのような「ボケ効果」のある写真が楽しめるところに価値があるのだ。

P10シリーズは、プロ撮影モードに切り替えるとデジタル一眼レフカメラのようにイメージセンサーの情報をそのまま記録した「RAW」データでの撮影も可能となる。

リアルタイムに近い画像処理を必要とするP10のカメラ機能では、どうしても判を押したような均一な画像となる。
ところが、RAWデータの場合は、PCのマシンパワーでホワイトバランスや明るさ、ノイズ処理などこと細かく調整して本格的に写真を仕上げることができる。もはやこれはデジタルカメラそのものだ。


<P10 Plusで撮影したもの>



極端な例で恐縮だがRAWデータからHDR風にして周辺減光を入れて仕上げたもの>


そんななかで、ふとワイドアパーチャ機能は後からでもピント位置やボケの量を調整することができることを思いだしだ。

これはiPhone 7 Plusのポートレートモードではできない独自機能だ。

そこで、特にピント位置やボケ量を設定せずに普通のワイドアパーチャをスマートフォンのカメラとして撮影を行ってみた。

撮影後、帰りの電車のなかでワイドアパーチャ機能をつかって撮影した写真をいじりだしたところ、これが意外と面白い。

スマートフォンの画面と言うことで、細部まで気にならないと言うこともあるが、後からピント位置や絞りをいじるだけで同じ写真でも、まったく異なる表現ができる方法だという発見があったのだ。
筆者は。すっかりこの調整に夢中になってしまい、気がつくと最寄り駅だった。




写真撮影は、
・ピント合わせと絞り
・シャッタースピード
・構図
・光と影
など、思った通りの写真を撮るために学ばなければならない知識は多い。

しかし、「写真の知識」それよりも大事なのは、理屈ではなく、もっとシンプルに
・写真が楽しい
・写真が楽しめる
ことだと思う。
そういった意味では、「Instagram」の写真加工や「SNOW」のような写真もアリなのだ。

そして、P10シリーズのワイドアパーチャ機能も、高価なカメラシステムや専用機を必要とせずに、写真の楽しさを知ることができる。
そんなきっかけとなる可能性を秘めている。




今はまだ、ボケの範囲や輪郭の甘さも目に付くが、大容量メモリーと処理能力が向上することこうした問題も解決しワイドアパーチャ機能のクオリティーが高くなるのでは? と期待もしている。

今感じているこの違和感がなくなったとき、デジタルカメラではできない新しい表現として、スマートフォンが写真の再定義をすることになるのではないだろうか。


執筆 mi2_303