9番なのに10番的。大迫勇也こそが日本を救う道
8月31日。オーストラリアとの大一番を控えたいま、最も期待したい選手は誰か。アタッカー陣で言えば大迫勇也になる。乾貴士を推したい人もいるだろうが、彼は、前戦のイラク戦に先発出場はおろか、交代選手としても出場していない。ハリルホジッチから高評価を得ているとは思えないので、推すに推せない状態にあると言うべきだろう。
大迫である理由はわかりやすい。相手ゴールの一番近くで構える選手。センターフォワードであるからだ。勝利に直結するのはこのポジション選手の活躍。10番ではなく9番のデキだ。
一方で、日本は長い間、中盤至上主義、10番幻想に支配されてきた。偉いのは9番より10番。テレビ実況も「中田英寿のスルーパスにフォワードが反応できませんでした」的な言い回しを、定番スタイルとしてきた。
両者の立場はここに来てようやく逆転した格好だ。10番タイプである香川真司、本田圭佑のプレイに輝きが失われていることも、大迫に目が行く原因の一つ。少し前までスタメンを張っていた岡崎慎司とのタイプの違いも見逃せない。ボールが持てるのは大迫。ポストプレイが得意なだけではない。9番(センターフォワード)なのに10番的。パスも巧い。ゲームメーカー的なセンスがある。
味の素スタジアムで行われたシリア戦(親善試合)。巧いなと思ったのは、後半29分、ボールを受けてから本田にパスを出すまでの一連のプレイだった。左サイドで倉田秋からボールを受けるや、ディフェンスの網をかいくぐりながらドリブルで前進。真ん中に進出すると、本田の走る鼻先に寸分の狂いもない、巧い! と唸りたくなる優しいラストパスを送り込んだのだ。
本田が放った右足シュートはGKの正面を突き、ノーゴールに終わったが、それに至る大迫のアクションこそ、この日一番と言いたくなる質の高いプレーだった。
9番なのに10番的。シュートよりアシスト好き。これは以前から引き続く傾向だ。そしてそれはどちらかと言えば、好ましくないものとして捉えられていた。センターフォワードなのだから、もっとシュートを。ゴールを狙え。その一歩手前で発揮されるプレーについて、高い評価を得られずにいた。
いまなおその傾向がある。それは大迫ありきの発想ではないからそうなるのだと思う。4−2−3−1あるいは4−3−3。ハリルホジッチは主にこの2つの布陣を使用するが、それぞれのセンターフォワードは1トップだ。最先端に位置する。ここに大迫をシンプルに当てはめれば、そのプレーのキャラクターとの間に差が生まれる。その差がこれまではヨシとされてこなかった。ハリルホジッチは大迫に修正を求めてきた。
だが、所属のケルンでは主に4−4−2の一角でプレーする。脇にはアントニー・モデストというフランス人ストライカーが構えている。1トップで先頭を切る感じではない。よって、下がってボールを受けても大きな問題にはならない。ハリルジャパンとケルン。大迫のキャラにプレーの環境が合っているのはケルンの方だ。
4−4−「1」−1の「1」。1トップ脇。大迫が最大限に力を発揮しそうなベストポジションは、ここなのだと思う。想起するのは、かつてのアーセナルでアンリと2トップを組んでいたデニス・ベルカンプ。当時、布陣表記は3分割が主流で、アーセナルのこの布陣も4−4−2として紹介されていたが、実際は4−4−1−1だった。そこでベルカンプは背番号10をつけ、アンリとのコンビネーションで多くのゴールを演出した。
名古屋グランパス時代のストイコビッチも、ベルカンプ的だった。
10番と9番の間。そのキャラを認めざるを得ない力を現在の大迫は持ち合わせているのか否か。
大迫である理由はわかりやすい。相手ゴールの一番近くで構える選手。センターフォワードであるからだ。勝利に直結するのはこのポジション選手の活躍。10番ではなく9番のデキだ。
両者の立場はここに来てようやく逆転した格好だ。10番タイプである香川真司、本田圭佑のプレイに輝きが失われていることも、大迫に目が行く原因の一つ。少し前までスタメンを張っていた岡崎慎司とのタイプの違いも見逃せない。ボールが持てるのは大迫。ポストプレイが得意なだけではない。9番(センターフォワード)なのに10番的。パスも巧い。ゲームメーカー的なセンスがある。
味の素スタジアムで行われたシリア戦(親善試合)。巧いなと思ったのは、後半29分、ボールを受けてから本田にパスを出すまでの一連のプレイだった。左サイドで倉田秋からボールを受けるや、ディフェンスの網をかいくぐりながらドリブルで前進。真ん中に進出すると、本田の走る鼻先に寸分の狂いもない、巧い! と唸りたくなる優しいラストパスを送り込んだのだ。
本田が放った右足シュートはGKの正面を突き、ノーゴールに終わったが、それに至る大迫のアクションこそ、この日一番と言いたくなる質の高いプレーだった。
9番なのに10番的。シュートよりアシスト好き。これは以前から引き続く傾向だ。そしてそれはどちらかと言えば、好ましくないものとして捉えられていた。センターフォワードなのだから、もっとシュートを。ゴールを狙え。その一歩手前で発揮されるプレーについて、高い評価を得られずにいた。
いまなおその傾向がある。それは大迫ありきの発想ではないからそうなるのだと思う。4−2−3−1あるいは4−3−3。ハリルホジッチは主にこの2つの布陣を使用するが、それぞれのセンターフォワードは1トップだ。最先端に位置する。ここに大迫をシンプルに当てはめれば、そのプレーのキャラクターとの間に差が生まれる。その差がこれまではヨシとされてこなかった。ハリルホジッチは大迫に修正を求めてきた。
だが、所属のケルンでは主に4−4−2の一角でプレーする。脇にはアントニー・モデストというフランス人ストライカーが構えている。1トップで先頭を切る感じではない。よって、下がってボールを受けても大きな問題にはならない。ハリルジャパンとケルン。大迫のキャラにプレーの環境が合っているのはケルンの方だ。
4−4−「1」−1の「1」。1トップ脇。大迫が最大限に力を発揮しそうなベストポジションは、ここなのだと思う。想起するのは、かつてのアーセナルでアンリと2トップを組んでいたデニス・ベルカンプ。当時、布陣表記は3分割が主流で、アーセナルのこの布陣も4−4−2として紹介されていたが、実際は4−4−1−1だった。そこでベルカンプは背番号10をつけ、アンリとのコンビネーションで多くのゴールを演出した。
名古屋グランパス時代のストイコビッチも、ベルカンプ的だった。
10番と9番の間。そのキャラを認めざるを得ない力を現在の大迫は持ち合わせているのか否か。