片づけアドバイザーに聞くオタク、アイドルグッズ収納のコツ

写真拡大 (全8枚)

コンサートに行けば、ペンライトにジャンボうちわ、ツアーTシャツにタオル、パンフレット、ポスター。メンバーが考えたり要望を出したりして作られたグッズはアイドルを応援するファンにとっては宝物。しかも、このタイミングでしか手に入らないグッズとなれば、財布の紐は簡単に緩んでしまう。

それでなくても、CDリリース、映画にドラマ出演ともなれば雑誌の露出ラッシュが始まる。アイドル誌はもちろん、普段は手にしない男性ファッション誌や週刊誌を買い漁り、「an・an」でヌードと聞けば、永久保存用と観賞用に複数買い。CDやDVDも同様、オリコンランキングが危うければ追加購入も厭わないなど、アイドルを応援する手段の一つが購買だ。

しかし、好きなものに囲まれた生活も、やがて限界を迎える。気がつけば収納しきれないほどモノが溢れている……。


ベストセラー『奇跡の3日片づけ』に続き、『夢をかなえる7割収納』を出版した、片づけアドバイザーの石阪京子さんに、オタク向けの収納術について聞きました。

一生大事にしたいモノをどう収納する?「二度と散らからない! 夢をかなえる7割収納


『夢をかなえる7割収納』(講談社)の帯には、「この通りにしまうだけで、家事が劇的にラクになる!」の文字。私にもトライできそうと思う一方で、引っかかるのがタイトルにもある「7割収納」。

好きなものを減らすのは、担降り(ファンをやめること)しない限りは絶対に無理……。その点を踏まえて、アイドルグッズの収納のコツをレクチャーしてもらいました。

「本が好きな方、食器が好きな方、アイドルグッッズや趣味のコレクションがいっぱいある方とたくさんお片づけをしてきました! 先日お会いしたSMAPファンの方は、『二度とSMAPのグッズは手に入らないから一生大事にしたい』とおっしゃっていました」(石阪さん)


CAP/「二度とSMAPのグッズは手に入らないから一生大事にしたいとおっしゃっていました」レッスンを受けた生徒さんがSMAPファンだったそう。

誰かのファンだったり、趣味やこだわりがあったりする人には共通する悩みのよう。そもそも「片付け=捨てること」という思い込みから「うちにはお宝がたくさんあるから片付けはできない」と始める前から諦めている人が多いそう。

「他人から見るとゴミや要らないモノにみえるモノでも自分にとっては一生の宝物と思うモノってありますよね。レッスンでは『大好きなモノや大切なモノは捨てなくていい!逆に大好きなモノは美しく飾り、気持ちの上がる部屋にしましょう!』とお伝えしています」

所有欲に満ちたジャニヲタに、救いの神が現る。
石阪さんは実際に片づけのレッスンを開講していて、これまでに400件以上もの指導にあたってきた収納のプロ。さすが、度量が広い。
(ちなみにレッスンは2年先まで予約が埋まっているそう)

「一生懸命仕事をして、大好きなモノのためにお金を使い、時間を使う。ただシンプルで綺麗な家のために人生の楽しみを削る必要は全くありません。家の中にあるモノが、とても必要なモノとワクワクするほど大好きなモノだけになれば毎日の仕事も、面倒くさい家事も楽しく変わっていくんです」(石阪さん)

「捨てなきゃ、でもめんどくさいなぁ」と重い腰が上がらなかったように、片づけることに対して、ネガティブなイメージしか持ってなかったことに気がつく。そもそもマインドが間違っていたのだ。しかも、ここまでオタクの心境を理解してもらえると、すんなりと作業に入れる。

まずは仕分け!3つの基準で分けるのがポイント


さあ、いよいよ実践。大切なモノを捨てずにどうやって収納する?

「家の中のモノって全部必要!と思いがちなのですが、実は下の3種類のモノに分かけて考えると全部必要じゃなかった!と気づくことになります」
(石阪さん)

1.必ず使っているモノ
2.心が震えるぐらい大好きなモノ
3.あれば便利な無くてもなんとかなるやんっていうモノ

まずは、この3つの軸でモノと向き合うことからスタート。

「『あれば便利な無くてもなんとかなるやんっていうモノ』がなんて多いんだろうと多くの生徒さんはおっしゃいます。下着やタオル、ハンカチ、さほど好きでもない洋服、面白そう!と思って買った便利グッズだけれど飽きてしまって長年邪魔になっていたり。本が大好き!と言っていた方も雑誌や本も心が震えるぐらい好き!という目線で向き合ってみると結構処分できた!ということがほとんどです」(石阪さん)

趣味関連は2に該当するので、1と3に分けたものを片付ければスペースを空けることができそう。
好きなものでも、改めて「心が震えるかどうか」を基準にしてみると思いのほか見つかった。
貼ろうと思ったままクローゼットの奥にしまった数十枚のポスター。今後も貼らないならば、写真に収めて欲しい人に譲ってもいいかも。

意外とかさばっていたのが新聞紙。その都度スクラップしていれば、だいぶスペースが空いたと反省。ペンライトも同じものが2つあったり、自作したうちわがボロボロだったりと、状態を把握する意味でもいい機会になった。

初めから収納を考えてしまいがちだけど、まずは家中のモノを厳選し、スペースが空いたら収納を考える。私は順番を履き違えていたのだ。

なんとなく着ていた部屋着を捨て、何度か着用したツアーTシャツを部屋着にしたり、昔のコンサートで数回使っただけのツアータオルを日常使いにしたりと、取り掛かる前には想像もしなかった、思い切った決断をしたのがちょっとした変化だった。

モノを厳選したら収納を考える


「大好きなモノはどこにあれば気持ちが上がるだろう!と妄想してみてくださいね。ある方はキッチンの吊り戸棚の内側にこんな風に大好きなアイドルの写真を貼っています。面倒な洗い物をする時間もワクワクあっという間におわるそうです」(石阪さん)



その手があったか!水に強いクリアファイルならではの使い道。
コンサートでは一枚600円ほどで販売されているクリアファイル。好みの画像が使われている場合も多く、かさばらないこともあって買い集めていた。
しかし、いざ使うとなると擦り傷がつくことを恐れてお蔵入り……。
(ちなみに、クリアファイルを収納する「クリアファイル収納ホルダー」なるものも販売されているので、まとめて収納しても良さそう)

「使ったモノを元に戻すのが面倒!クローゼットの中に洋服をしまうのが面倒!という方には扉を開けてアイドルがにっこりしているこの方法がオススメです。『今日もお疲れさま!ありがとー!着た服元に戻してくれて!』と好きなアイドルが微笑み返してくれます(笑)」(石阪さん)

扉の裏に飾って妄想するのは朝飯前。片付けや収納は楽しみながらするものなのか。

ペンライト一つにも住所を決める




家族がいれば収納スペースはさらに限られてくる。その場合も、まずはモノを厳選してもらい、その上でスペースを作る。置く場所を決めることで、堂々とディスプレーできる。


「旦那様がプラモデルが好きであちこちにプラモデルを置く!散らかる!と
嘆いていた生徒さんにはご自身が管理できるモノをまず厳選してもらい、旦那様には心置き無く飾れる旦那様のスペースを作って差し上げました。奥様が優しく、『このスペースはあなたのために作ったのよ』と旦那様にお伝えすると旦那様はとても喜んで常にキレイをキープしてくれているそうです」
(石阪さん)

賃貸物件は特に収納も限られ、釘一つ打てないケースも多い。ならば見せる手も。

「壁面に一面をみつけて高さいっぱいまで使いきれば相当のものが置けます。背の低い家具をたくさん置くと面積がせまくなるので、奥行きが薄ければ圧迫感もさほど感じません。置きたいもののサイズをはかり、突っ張りタイプの棚を置くなどすれば大好きなアイドルのグッズもキレイに飾れるコーナーができますよ!」(石阪さん)


CAP/大好きな本を基調に収納。ここでゆっくりお茶を飲みながら過ごす時間ができたのだとか。

シンプルなファイルボックスを複数用意して、カテゴリ別にざっくり分けて入れるだけでもOK。ツアーごとに形が異なるペンライトも、入れ物を統一するだけですっきり見える。オタクを隠している人にとってもいい方法だ。

「大好きなモノを飾る際にも重要なことはギッチリとモノを置かない!ということです。 常に7割収納までにし、3割の空き空間を残しておきます。ぎちぎちにモノを詰め込めば埃がかぶりメンテナンスもできず、せっかくの大切なモノが痛んでしまいます。ゴールは7割収納で是非是非大好きなもののための片づけやってみてくださいね」(石阪さん)

詰め込みすぎて傷んだうちわのことを思えば、多少のゆとりをもって収納したいのは確か。

書籍では洋服からキッチン、リビングなどの大きな収納から、つい溜め込んでしまう化粧品サンプルなどの日常にありがちな小さなことに対する向き合い方までアドバイスされています。3つの軸で部屋中を見直すことで、趣味のモノを置くスペースが作れると思えば、重い腰も上がる。

テンションが上がって闇雲に購入していたグッズも、用途の傾向や収納のスペースを把握しておくだけで、お金の使い道も変わりそう。

(柚月裕実)