「HUNTER×HUNTER」連載再開!34巻発売! 感極まってゴン登場コマ数を数えてみた

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本日26日、週刊少年ジャンプで連載再開される冨樫義博の『HUNTER×HUNTER』。同時に単行本の34巻も新発売した。昨年4月19日から連載再開された同作。作中で少しずつ話が広がっていく新章・暗黒大陸編の高揚感と、巻末コメントに書かれた腰痛持ちの冨樫の苦しみがあった。



私が止める ズズ・・
ああああああ

No.360終わり
次号よりしばらくの間休載いたします。
最下位が決まり次第、本誌でお知らせします。

2016年7月4日。何者かに操られてナイフを持って暴れるサイールドと、クラピカが対峙して不定期休載に入った。



ゴンが全く出てこない34巻


34巻は、舞台は、暗黒大陸へ向かうB・W号、クロロとヒソカがデスマッチを繰り広げる天空闘技場。久しぶりに作中屈指の知略を発揮するクラピカと、欲望に身を任せて凶行にはしるヒソカの狂気が見どころになっている。
主人公が登場する余地がない構成になった34巻は、ゴンが1コマも出てこない。ジャンプで連載を追いかけていたころ、キメラ=アント編、選挙編を読んでいると「そういや、ゴン最近出てこないな」と思うことがしばしばあった。
実際に数えてみると、34巻までに収録された全360話のうち、ゴンの出ない話は111話ある。単純計算で10巻近いボリューム。主人公不在の巻は34巻以外にもあるのかもしれない。ここで、ゴンが登場した各巻のコマ数をまとめたグラフを作ってみた。


なんだかんだ、33巻までは少なくとも数コマは物語に絡んでいる。特に登場コマが少なかったのは31巻。94ページでぼんやりとした輪郭で病床に伏す姿と、123ページのヒソカのイメージ上に現れたぬいぐるみ化した姿だけ。
これ以外にも9巻、30巻、31巻、33巻が比較的、ゴンの影が薄い。ウボォーギンがマフィア相手に大立ち回りした9巻はクラピカが活躍、31巻では危篤のゴンを救うため、キルアが奔走。33巻では、ゴンの親父・ジンがビヨンド隊から信頼を得ていく過程が描かれていた。ゴンと近しい人物が主人公格になるパターンが多い。

ゴンが登場しない間に、他キャラの過去や性格を掘り下げていく


全体の約3割の話が主人公不在のまま進む『HUNTER×HUNTER』。作者である冨樫義博は、主人公を目立たせようとするのではなく、主人公を必要最低限の登場で描いているように思える。
同じく漫画家の浦沢直樹は、ロングインタビューが掲載された『描いて描いて描きまくる』で「天才を登場させると、そのコントラストで市井の人を徹底的に描くことができる」と語っている。
ゴンがもともと持っていた才能は、善悪に頓着なく、自分のペースに他人を引き込んで魅了させる点。それぞれのキャラは、ゴンに会う前とあった後とで、はっきりとした変化がある。自分が殺し屋一家であることに疑問を感じるようになったキルア、復讐に身を焦がすことに疑問を感じつつあるクラピカ、友達が苦しいとき、そばにいてやれなかったことを悔やむレオリオ。ゴンが登場しないところで、影響を受けた人物の変化が丁寧に描かれている。

単行本の表紙も控えめな登場回数のゴン



ゴンが初めて未登場のまま終わった話は、第29話「キルアの場合」。ハンター試験4次で、アモリ三兄弟がキルアに敗北するくだりである。29話が収録された単行本第4巻は、はじめてゴン以外の登場人物が表紙を飾った巻。34巻まででゴンは12回表紙になっており、その回数はトップだが、それ以上にその他のキャラたちが表紙になっている。新刊34巻はクロロとヒソカ。2人とも第12巻以来。クロロは5度目、ヒソカは3度目である。

いまだにゴンが物語に関わる理由が明かされていない暗黒大陸


今回、ジャンプで連載される361話には、クラピカの回想の中でゴンの姿が久しぶりに登場。345話以来である。
ここまで、試験編、ククルーマウンテン編、天空闘技場編、幻影旅団編、グリードアイランド編、キメラ=アント編、選挙編と続いてきた。それぞれに、ゴンが物語に関わる動機があった。しかし、現在続いている暗黒大陸編は、現時点でゴンが参加する意味はない。これから先、ゴンが参加することで、どのキャラクターに変化がもたらされるのか。

(山川悠)