上半期の締めくくりとなるGI宝塚記念(阪神・芝2200m)が6月25日に開催される。

 このところ、同レースでは牝馬の好走が目立つ。

 2010年、2011年と、ブエナビスタが連続して2着。2013年にはジェンティルドンナが、2014年にはヴィルシーナが3着入線を果たした。さらに、2015年には、デニムアンドルビーが2着、ショウナンパンドラが3着に入り、そして昨年、ついにマリアライトが優勝。牝馬では2005年のスイープトウショウ以来、11年ぶり3頭目の勝ち馬となった。

 グランプリレースは消耗戦。有馬記念にしても、宝塚記念にしても、体力で劣る牝馬には「厳しい」と言われたのも、もはや遠い過去のこと。今や、「牝馬のためのレース」と言っても過言ではないほど、宝塚記念は牝馬が牡馬一戦級と互角か、それ以上に戦えるレースとなっている。

 今年も1頭、牝馬の参戦がある。

 一昨年のオークスと秋華賞の二冠を制したミッキークイーン(牝5歳)だ。

 GI7戦の戦績は2勝、2着1回、3着1回、着外3回。昨年暮れの有馬記念(2016年12月25日/中山・芝2500m)では、勝ったサトノダイヤモンドからコンマ4秒差の5着。その実績は、ブエナビスタ、ジェンティルドンナほどではないが、十分に戦えるレベルにある。


宝塚記念での逆襲が期待されるミッキークイーン

 だが、それにしては、前走のヴィクトリアマイル(5月14日/東京・芝1600m)があまりに負けすぎ。これが、この馬の評価を難しくしている。

 その前走、単勝1倍台の圧倒的な1番人気に支持されながら、ほとんど見せ場なく7着と惨敗した。自慢の末脚も完全に陰を潜めていた。

 これが、この馬の実力なのか。現に「早熟。オークスを勝った3歳時がピークだった」という声が競馬関係者の間からも聞こえているが、本当にそうなのか。

 まずは、その前走の敗因を探ってみたい。

「(敗因の)一番は、距離が合わなかった、ということでしょう」

 そう分析するのは、関西の競馬専門紙記者である。

 しかし、昨年のヴィクトリアマイルは2着。同じくマイルの前々走、阪神牝馬Sは楽勝している。それゆえ、陣営は当初、ヴィクトリアマイルのあとは、6月4日の安田記念(東京・芝1600m)に向かうローテーションを組んでいた。

 その点について、専門紙記者はこう語る。

「ミッキークイーンは、もともと能力が高い。メンバー次第で、あれ(昨年2着のヴィクトリアマイルや快勝した阪神牝馬S)くらいは走れます。でも、本質的にはマイラーではない。その弱点が、前走のようなレースになると出てしまう」

 ミッキークイーンの弱点は、何よりも勝負どころで反応が鈍いこと。そのことひとつを取り上げても、確かにマイラーっぽくはない。

 前走でも、直線に入って2着になったデンコウアンジュとほぼ同じ位置にいながら、外からデンコウアンジュがスパートすると、まったくついていけず、逆に怯(ひる)んだ。一流のマイラーなら、あそこで後れを取ることはない。相手を弾き飛ばすようにして抜け出してくる。

 先述の専門紙記者もそこを指摘する。

「あそこで、急に戦意喪失という感じになりましたからね。この馬はマイルが向かないうえに、もまれ弱い。その弱点がもろに露呈したのが、前走だったということでしょう」

 陣営は、その前走の負けっぷりを見て、最初に故障を心配したらしい。しかし、そんなアクシデントはどこにもなく、馬は元気いっぱいだという。

 そこで急きょ、安田記念出走はやめて、距離的に向く可能性が高い宝塚記念に矛先を向けてきた。

 実は、ミッキークイーンのオーナーは、「同じレースに複数の持ち馬を出走させたくない」という考えの持ち主で、宝塚記念には同オーナーの持ち馬であるミッキーロケット(牡4歳)が出走することが決まっていたため、最初は難色を示していたという。

 そのオーナーを説得して出走に踏み切った陣営の意欲は買える。

 そうは言っても、競馬となれば、話は別。第一、今回はキタサンブラック(牡5歳)という現役最強馬が立ちはだかる。勝ち負けまでは「厳しい」と見るのが、普通だろう。

 ただ一方で、こんな見方もある。先の専門紙記者が言う。

「東京競馬場でオークスは勝っていますが、この馬が最も力を発揮できるのが、輸送のない関西圏の競馬です。それも、宝塚記念の舞台となる阪神競馬場が最も得意。これまで6戦して3勝、2着3回と連を外していませんからね。

 また、前回は『勝って当然』というプレッシャーがあった浜中俊騎手も、今回は『負けてもともと』と開き直って騎乗できる。そこは、大きなメリット。距離も合いそうですし、ひょっとしたら馬券圏内、いやそれ以上の好走の可能性だってありますよ」 近年の宝塚記念では「牝馬が強い」。その傾向が、今年の紅一点となるミッキークイーンに味方することは、大いに考えられる。

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