女性にとっては必需品の日傘 (写真はイメージ)

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「日傘さす奴はだいたいブス」「ブスのくせに日傘さすな」――。こんなショッキングな言葉が今インターネット上で話題になっている。

きっかけは、2017年6月18日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ系)にメールで寄せられ、紹介されたある投稿だった。もともとSNSでは言われていたことだが、今回の番組で「日傘ブス」の話は一気に広まった。

SNS上の話題がワイドナショーで取り上げられ...

投稿をしたのは、19歳女性。内容は、日傘をさす女性について、だ。

「最近、ツイッターで日傘と検索すると、『日傘ブス』と出てきます。どういうことかと調べてみると、『ブスのくせに日傘をさすな』『日傘をさすやつはだいたいブス』というつぶやきが出てきました。ブスには日傘をさす権利もないのでしょうか?」

この内容に、コメンテーターの松本人志さんをはじめ、出演者全員が苦笑いする。「そんなこと言う人いる?」と、本気にしていないようだったが、この問題、調べてみると意外に歴史が深かった。

たとえば、2009年には「Yahoo!知恵袋」に、「ブスが日傘を差すのには意味があるんですか?」というスレッドが立っているし、ツイッターで「日傘 ブス」と検索すると、「日傘をさす若い女性のブス率は異常」「日傘さしてるやつ、大体ブスかおばちゃん」など、投稿者が言うような内容が出てくる。

さらに、ママ向けコミュニティ「ママスタジアム」の中でさえも、2015年4月に「日傘さしてる人ってブスかデブかババアじゃない? 都内だけど美人、可愛い、若い人で日傘さしてる人見ない」というトピックスがあがっている。

このように昔から日傘と容姿の関係について発言していた人はいたようだが、今回の番組をきっかけに多くの人が知るところとなり、「ワイドナショー」や「日傘」「日傘ブス」は、18日、ホットワードに入った。

ただ、この放送後は一転、

「皮膚の病気で紫外線を避けなきゃならない人もいる」「命に関わるんだっつーの」「ブスだから日傘さすんだよ」「ブスだと綺麗になる努力どころかアンチエイジングすらも許されないのか」

と、こうした風潮に反発する意見が相次ぎ、中には、「日傘ブスの話、ワイドナショーでしないでほしかった。ああいう影響力のある番組でやったら、今まで意識してなかった人も気になり始めて使いづらくなる」という声もあがっている。

なぜ「日傘ブス」など突拍子もない話題が広まったのか。本当に日傘と容姿には関係があるのか。J-CASTニュースは、心理学者の杉山崇氏に話を聞いた。

ステレオタイプのイメージが原因?

杉山氏は、今回の「日傘ブス」問題は、当然のことながら日傘をさしている人より、それを見ている人に問題があると話す。

「(ワイドナショーの)番組内でゲストのウエンツ瑛士さんもおっしゃっていましたが、日傘をさす人に過剰な期待があるのではないでしょうか。日傘をさしているのは、上品で美しく、どこかはかなげで......と、そんなステレオタイプのイメージがまだ残っていると思います。見る人が勝手に日傘をさす女性の容姿を想像し、そのイメージに当てはまらなかったら『ブス』という強い言葉で叩く、とこういうわけです」

最近は男性の日傘も増えてきたため、「ちょうど今、日傘のイメージの過渡期にきているのではないでしょうか」とも。

では、「ブスだから傘で顔を隠す」という意見についてはどうか。

「たしかに顔を少し隠してキレイに見せる、という女性も多少はいるかもしれません。そういった意味では、マスクが外せない女性の心理と近いものもありますが、数は少ないでしょう。なぜならマスクと違って、屋外しか顔を隠せないからです」

杉山氏は、「いずれにしても日傘と容姿はなんら関係がありません。今回のような誹謗・中傷の拡散は、ネット特有の攻撃性と匿名性に原因があると思います」と言い切る。

ブスとは容姿のことではなくマナーのこと

ところで、今回の「日傘ブス」問題で、見過ごせない意見も出てきた。それは、日傘のマナーだ。

「思慮が足りない人が多いから言われるのだと思う。人混みだろうがさし続ける人の多いこと」「人混みで日傘をさす行為が危険で人様に迷惑をかける」「日傘ブスってそういうことか。てっきり他人の迷惑考えずに行列や人混みで日傘を差してる人のことかと思ったよ」

など、ブスとは容姿のことではなくマナーのこと、という意見も相次いでいる。